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2008年01月28日

「協働」という悩み。

 今日は‘とある’市の「市民と行政との協働に関する庁内会議」の勉強会にお招きをいただきました。私とほぼ同世代の職員さんがメンバーになっている庁内会議だったのですが、そのものずばり「市民と行政との協働に関する指針策定に係る職員勉強会」ということで、私が依頼されたのは多摩市の事例を踏まえて「協働」について考えていることや経験談を話すこと。

 実はこのテーマをもらってから、色々と考えてみたのですが、当の私自身も「協働」って言われると実は具体的にその内容を説明することはなかなか難しいと悩みました。それは「協働」というのは個々のケースによって様々な姿があることがわかるからです。けれども一つだけ私が思うことは、「協働」の考え方が上手く機能しているところでは、協働をしている者どうしに信頼関係が存在しているということです。「協働」というのは信頼の上に成立することだけは様々な事例を見た時の共通点ではないかということです。

 ちなみに、多摩市の場合には自治基本条例において「協働」や次のように規定されています。

「協働 市民、市議会及び市の執行機関が、それぞれの役割及び責任のもとで、まちづくりのために、ともに考え協力し、行動することをいいます。」
でも、そのことを日常的に意識をして活動をしている人はほとんどいないでしょうね。でも、それでいいのだと私は思っています。多くの場合は日常活動に積み重ねの上に、結果として、後から振り返れば「美談」として語れる「協働の事例」になっているものが数多くあるように思います。わざわざ「協働している」なんて意識を持たなくても、「協働事例」になることってたくさんあるはずです。


 にも関らず「協働」というものを取り出して考えようとすると悩み深まっていくように思っています。今日もとても真面目な職員の方々・・・・・「協働ということについては不勉強なので。」という発言がありました。なのでちょっといじわるく「協働ってどうやって勉強するんですか?」と尋ねてしまったのですが、協働ってやってみなければわからないものなのでしょうね・・・・きっと。
 そして「実際に自分の住んでいる場所、自治体で市民参画や市民協働と思えるような活動に参加していますか。」と尋ねてみるとその答えも「だんまり」。


 「職員である前に(議員も同じだけれど)、自分自身も帰宅をすれば一市民。」ということで、一市民として何か市民活動なりに参加をしてみたりすると「協働」のイメージとか「協働」の意味とか考え方も深めることができるのでは?・・・そんなことを大学時代の友人とも話したこともありますが、そこから「職務として考える『協働』の中味」が新たな視点で見えてくるのかもしれませんね。


 さて、多摩市の「協働」ってことからすると、私は「協働事例集」は他の自治体にも紹介したい取組だと考えています。そこでは「地域の公共サービスの多様な担い手が、それぞれの持ち味を生かしながら対等な立場で協力(=協働)」ってなっているようですが、それはさておき・・・・多摩市の場合には「協働指定委託事業」というものを予め決定し、その事業終了した時点で行政側と受託団体側双方で同じ評価シートを用いて、「事業のふりかえり」を行っています。そのふりかえりをすると面白い結果が見えてきます。行政側と受託団体側との認識のズレが明らかになる場合があるからです。その「ズレ」の部分が大事。なぜ「ズレ」が生じたのかについて双方で議論する機会やきっかけをつくることができます。実はそこから生まれるコミュニケーションが「協働」の質を高めていくのではないかと思っています。 
 また、「協働事例集」の冒頭に「協働のまちづくりに向けて」という市民活動推進課としての考え方が書いてあるのですが、その文章は共感できる市民の方が多いのではないかと思います。もちろん私も大いに共感している一人です。
 

 今日の機会は私にとっても貴重な体験でした。再度、多摩市の「協働」を振り返ることもできてよかったですし、まず何よりも多摩市の職員が悩んでいる現場に立ち会える機会は得られないと思うのですが、今日の現場には多摩市にも共通する場面があるのだろうなあと想像できる議論も展開されていました。そこは大きな収穫でした。

投稿者 hisaka : 2008年01月28日

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