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2010年10月16日

[視察報告その2] 選択できるスクールランチ

 視察2日目は・・・福井県越前市へ。合併前の武生市です。ITを活用して選択できるスクールランチ。実際に私たち視察団の昼食も伺った武生第二中学校にて。

 「持続可能で発展できる学校給食を目指す!」

 財政的な困難を乗り越えて、中学校にも学校給食を導入するための苦肉の策ではないかもしれませんが、民間委託にて実施している事例を見に行きました。「財政難を乗り越える=持続可能」になる点を否定していなかった教育委員会の担当者の姿勢は正直。でも、「小学校は自校式!」と言いきっていたところ、明確なる教育委員会というか市の方針が示されてすっきりです。もともとは中学校は弁当持参だったところに学校給食を導入してほしいという市民の要望をどうやって実現できるのか、財政的にも無理のない形として結論を導いてきたところに保護者、市民も納得しているようです。


 民間委託導入をただ単に行うのではなく、ITを駆使した「選択制」にすることが理解を得られたポイントのようですね。スクールランチの形式は①弁当②ランチルームメニュー③ランチボックスメニューです。武生第二中学校の場合にはランチルームが狭いため、生徒は一週間交代制でランチルームを活用します。ですのでランチルームを活用する週と教室活用する週とで選択できる内容も変わってきます。教室の場合はランチボックスメニューを選びます。事前に視察時に食べたい給食メニューを選ぶために、ホームページを見ていた際、なぜメニューが4種類でそのうち2種類がランチボックスなんだろう・・・と思っていた疑問はここで解消です。ランチルームが必ずしも利用できない場合もあるということですね。

 
 さて、スクールランチシステムですが、まさにお弁当ではなくて「給食メニュー」を選ぶ生徒が増えてくれたら事業としては成果あり。喫食率と言うらしいですが、これを上げることが担当者としての目標。食べてくれる生徒が増える、そのためにランチ内容を日々向上させる努力が必要となります。美味しさの追求はもちろんですが、事業者とともに献立内容も工夫をしているようなのでまさにパートナーシップということなのかしら?と思いながら伺っていました。日常的に何かあれば「伝言メモ」のようなものを活用しながら、意思疎通を図っているのだとか。調理場で、配膳するルームで・・・・気がついたことはすぐに報告がなされ、ランチメニューなどの改善に活かされていくそうです。例えばメニューによっては残さいが多かったとか・・・・。

 ちなみに喫食率は、民間事業者に対する委託金額の査定に大きく関係するために、まさに気が抜けない緊張感のある学校給食の調理業務と言えそうです。もちろん民間事業者のみならず、実際の発注側としての教育委員会だって同じくらい緊張感持たねばならないでしょう。


 食べ比べをしていないので、越前市の小学校給食と中学校給食を比較できなかった点は残念ですが、スクールランチに対する苦情など等はほとんど皆無。「何か苦情があるかと思ったけれど、全然耳に入ってきません。もしかしたら他にはどこかであるのかもしれませんが、教育委員会としては全く苦情を受け付けていないんです。これは本当です!」とのことでした。


 確かに、私たち一行はそれぞれお気に入りのメニューを選んでランチin武生第二中学校だったのですが、学校給食と思えば、まあ頷けない味ではなく、そしてまた、生徒たちも喜んでいる様子で、評判の良さを実感できました。ランチルームか教室かというのはどうやらクラス単位で決まっているようで、弁当ランチの子どもたちはランチルームにマイ弁当を持参し、給食ランチを食べている子どもたちとテーブルを囲みながらワイワイおしゃべりにも花が咲いていたのが印象的です。お弁当の日もあれば、スクールランチを選べる時もあり。選んだ分だけ集金されるシステムは前払い方式なので、給食費の滞納もありません。もちろん、何らかの理由でキャンセルした場合には返金処理もできるそうです。メニューについても事前に選択をしておきますが、3日前まで変更可能ということで、保護者にもやさしいシステム。一日の献立を考える家人にとっても、利用しやすいですね。

 中学校の校長先生の話によれば、子どもたちは教室で食べるときとランチルームで食べている時の表情が全然違うんですよ!とのエピソードは学校現場でもスクールランチが評価されていることを表しているように思いました。
 
 ランチルームには配膳する場所があって、イメージとしてはまるで学食。なので、配膳する方々と生徒たちは顔見知りの関係。配膳員さんは作り手ではありません(温めなどはやりますが)。でも、配膳員さんたちが子どもたちの顔を見れば、ご飯の量がわかる・・・というくらいの関係性になっていることは大事なことで、直接の作り手ではないかもしれませんが、作り手と子どもたちとの間をしっかりとつなぐ人になっていることは確かです。民間事業者は調理から配送、配膳と一連の流れを全て受託しています。ンチルームにいる配膳員さんは民間事業者に雇用されている方々です。

 それにしても、私はIT技術がこんな風に学校給食にも活用されているなんて・・・と、かなり目から鱗状態でした。「悪くはありません!」。とてもいいシステムだと思いました。


 もちろん・・・食育をどうやっていくのかについて言えば、スクールランチ方式での限界もありそうに思いましたが、何しろ豊かな自然が残り、見渡せば高いマンションなどはなく、美しい空と山並みが見える越前市の環境。子どもたちが食べているのは越前市産のお米。都会で求められている食教育の内容とは違います。


 私たちは帰り際にお土産をいただきました。武生第二中学校の生徒たちが丹精こめて作った黒米。そしてそのお米でつくったおかき。今週の一枚に掲載したいと思います。

投稿者 hisaka : 2010年10月16日

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