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2009年10月15日

わりと有意義だった視察・・・その①

 常任委員会の視察から帰りました。駒ケ根市→名古屋宿泊→京都経由→大津市・・・という行程は結構ハードスケジュールだと思っていましたが、他の常任委員会はもっとハードなスケジュールをこなしたとも聞いています。生活環境常任委員会では淡路島まで足を運んだと。視察先については受け入れ先自治体の事情もあるので、思いどおりにいかないことも多いのですね。駒ケ根市の視察については私にとっては「念願の」という感じ。実は昨年も視察候補地の一つでしたが、先方の都合とあわずにお断りされたのが経緯です。

 そんなわけで、遠路はるばる(本当に遠くてびっくり)と電車移動で駒ケ根まで。駒ケ根市の方から名物の「ソースかつ丼」をぜひご賞味くださいと推奨をいただいていたために、昼食は駅前の食堂で「ソースかつ丼」を。満腹を抱えながら、駒ケ根市の子ども施策、行政の一元化の話を聴くことになってしまいました・・・・。


 駒ケ根市は教育委員会が母子保健を含み、子ども関連課を集めて途切れのない子育て・子育ち支援をしています。とても大所帯の「子ども課」というのがあります。正規職員は100名ほど所属しているとか。駒ケ根市の正規職員は全体で300人ほどということなので、実にその3分の1が「子ども課」の職員ということになります(でも、ここには公立幼稚園、保育園などの先生なども含まれるので、実際に事務局として仕事をしているのは25名ほどらしいです。)

 この発想については、すでに退任されているそうですが元の教育長さんの強い思いが発端にあるようで、当初は「子ども行政の一元化特区」の認定を受けてスタートしています(今は法律が変わったので特区認定は不要です。)。いまどき、多摩市のように教育委員会に属してきた生涯学習部門(社会教育を含む)を市長部局に編入させようとする自治体は多いわけですが、その逆・・・市長部局で掌握(っていうとイメージ悪いが)していたものを教育委員会に分権(?)していくというのは珍しいと言えば珍しいような気がしますね。


 その自治体ごとにやり方があるとはいえ、私としては母子保健分野も編入し「妊産婦→乳幼児→保育園(幼稚園)→小学校→思春期」までが同じ課内に所属して、トータルにフォローし合える関係が構築されている(しようとしている)駒ケ根市のやり方には学ぶところが多いような気がします。
 駒ケ根市の説明で「一貫した理念に基づく施策の展開ができる」というのもその通りだと思います。もちろん、説明をしてくださった職員さんは、「一元化をしなくても、職員の横の連携が上手くいっていれば問題はないですよ。」と言っていましたが、「でも、意思決定をスムーズにするという点ではやはりメリットは大きいように思う。」という話や、連携が円滑にいくかどうかは残念ながら個々の職員の力量に帰する点も否めないと指摘されていました。そういう意味ではやはり一元化しておく利点はあるのかもしれません。個人情報保護の観点からいっても、情報の共有をしやすい環境にあることは間違いありません。課、部(それも市長部局と教育委員会ということになればなおさらのこと)をまたいで情報を共有し合うところに立ちはだかる壁は低くないので。


 
 子ども課の中に、子育て家庭教育係、母子保健係、幼児教育係、学校教育係とあるわけで、子ども課長さんが必要とあれば保育園にも学校にも出かけて現場を見にいくことは日常的なこと。多摩市の場合だと縦割りになっているので保育園のこと、学校のことを担当している課長さんは別々。その課長さん同士の連携関係などがどのくらいスムーズで円滑化と言えば・・・お世辞にも「ものすごく上手くいっています」とは言えないのが実情ではないかと感じるわけです。だいたい物理的に考えても保育部門と教育部門が入っている建物は別々ですし、日常的に課長さんどうしが顔を合わせて軽く打ち合わせや意見交換や相談事をできるような環境にはないのです。


 ってわけで、私としては駒ケ根方式は学ぶべきではないかと思うのですが、「まあ、今の教育委員会で駒ケ根のようにやろうと思ったとしてもそれはかなりの無理があるわね。」と理想と現実をしっかりと見据えた議員さんの意見も。教育委員会の力量にもよるということなのでしょうね・・・・・。


 うーん、厳しい。

 説明を下さった駒ケ根市の課長さんからは実際の現場の事例もお話をいただいたり、あとは「発達支援を専門とする小児科医が不足をしていて困っている」という話も伺ったり、子どもたちの様子や支援体制の充実への課題も示唆いただきました。

 視察を終えて、駒ケ根市のおいしい空気を満喫する間もなく、私たちは高速バスで名古屋に向かいました。「駒ケ根市まで地元の人間が滅多に乗車をしない飯田線でお越しくださって、本当にありがとうございます。」とのことでしたが、それもそのとおり・・・名古屋まで電車移動しようと思えば6時間はかかるのだとか。高速バスだと3時間かからず到着するわけで、空気のおいしい場所にすむとなれば車の免許が欠かせないのだと改めて思いました。電車網が発展していない場所に住んだことがなく、常に自宅から駅まで徒歩10分圏内に住んでいる私は免許がない不便さに困り果てたことはないのですが・・・・。


 まずは駒ケ根市の報告でした。いろいろと先進事例を学ぶことは意義あるわけですが、やはりそこに自治体のスケールの差異を十分に加味することが必要ですね。

投稿者 hisaka : 2009年10月15日

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