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2004年01月20日

公立幼稚園の廃止問題

 行財政の再構築プランで2005年度で多摩幼稚園が廃止という素案が出されました。実は、この問題経過をたどるとものすごく複雑です。そもそも公立幼稚園が廃止される!ということについては市長が方針として市民に打ち出す前に、ある市議のレポートの中で公表されてしまい、関係者たちはおお慌て。これが2002年の夏のことでした。もちろん公立幼稚園の存続を求める市民からはすぐに反対運動、署名活動が展開され、すったもんだの事態となりました。
 その後、今年度になり夏に行財政診断白書が出されました。その中では重点見直し事業の一つにやはり「多摩幼稚園」が浮上したのです。公立幼稚園に対する賛否両論はさまざまあるものの、実は、前市長の段階では幼少一貫ということで北豊ヶ丘小学校との連携も視野にいれた研究なども開催されていました。しかしながら、市長が交替してしまうと方針はもちろん大転換をとげるわけで、公立での幼少一貫の話は消え去り、民間経営の私立幼稚園が閉園を迫られる中、そして公立としての一定の役割は果たせたということや、一番は「経費」、特に公立幼稚園では先生たちの加齢とともに人件費が伸びていくわけで、それらのことを総合的に考えて「廃園」の方針で決定したようです。

 今日は多摩幼稚園の存続を求める会の方からの話を伺いました。一番の主張は「廃園という方針を白紙に戻してもらいたい。」ということですが、よくよく話を聞いてみると、とにかく市長が廃園を進めようとしているその手法にまずは納得ができないと腹立たしさを感じているのです。
 これまで議会でのやりとりでも公立幼稚園については数名の議員より行政に対する質疑がありました。その際には、子育て支援検討市民懇談会での話合いを踏まえて…との説明がありました。ところが聞いてみるとこの懇談会で公立幼稚園については十分に議論が尽くされずに終わったと言うのです。私も議事録などを確認してみようと思いますが、たまたま懇談会からの最終報告書が手元に届き、公立幼稚園という部分での詳しい記述はなく、やはり文面を読んでみれば、「これを踏まえれば、行政側はいかようにでも解釈して方針を出せるようになっている。」という印象を受けました。

 多摩市は子育てが重点施策です。そこから考えれば公立幼稚園を残していくと言うのも一つの選択肢になるのかもしれません。しかしながら、何はともあれ私が一番驚いたのは、今日、話に来て下さった方々が、「やっと勝ち取った感じ」と語るように、市長が今月末に初めて多摩幼稚園の保護者に向けた説明をする約束をしたとのことです。もちろん市長説明会などにも保護者は手分けをして足を運んだそうですが、市長自ら幼稚園に出向くことは一度もなく、いつも教育委員会任せだったそうです。もちろん幼稚園は教育委員会の管轄事項で、市長としては教育委員会の独立性という観点に配慮をしたのかもしれませんが、教育委員会は独立しているとは言え、財政・・お財布を握っているのは市長です。例えば、市長は同じ教育委員会管轄である多摩第一小学校の建替えワークショップが中座してしまうという際には自ら説明をしにきました。これと全く同じケースではないかと思います。
 しかも「子育て」という面では、さまざま子育て中の市民との対話をしているように聞いていますが、公立幼稚園には少なくとも保護者が知っている限りにおいては、足を運んでいない様子…というのはやはりいかがなものかと思います。何と10月から交替した教育長も昨日あたり初めて多摩幼稚園に来たとのことですが、これについてもまたビックリせずにはいられません。
 
 「廃園」という方針を持ちながら、それに対する市民、特に保護者に対する理解をどう求めていくのか…なんとなく必死さが伝わってこない気というのが正直なところです。財政的に苦しいので、少子化の波もあり・…という部分だけでは納得できない思いが実際に園児を抱える保護者にはあるのです。その気持ちを安心させることが必要だと思います。
 おまけに、私がもっとビックリしたのは、この4月から入園する子供たちは一年後には園児募集が停止されるので、単学年で過ごすということになってしまいます。保護者としては、幼稚園でも学年を超えた交流が欲しいと考えている場合もあるにも関わらず、募集要項などにはそのことには一切触れられていなかったと言うのです。もちろん、まだ方針が固まっていなかったからかもしれませんが、その面でも不安を抱える新入園の方々もいるのです。
 なんだか市の物事の動かし方がちぐはぐ…に感じてしまいます。これでは市民からの本当の協力が得られない気がして不安です。きちんと意見交換をし、対話を積み重ねることが「情報共有」ということではないのでしょうか?

投稿者 hisaka : 2004年01月20日

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