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2003年06月26日

国民皆保険の制度

 毎日のように‘改革’という言葉が飛び交っていて、医療保険制度についてそれは同じです。
 国民保険運営協議会のメンバーになり、今日がはじめての会合でした。保険医薬剤師代表が4人、被用者保険代表が2人、それから被保険者代表として公募市民4名に、公益代表として多摩市では議員4名によって構成されています。協議会の会長は公益代表から選出すること決まりです。予め4名の話し合いで決定していたのですが、一応、形式的に協議会が始まり、会長などの選出を行いました。そういうやり方は世の中にはたくさんあるのかもしれませんが、私はあんまり好きじゃないなあと思いました。何だか「わざとらしく」感じるからです。議会の常任委員会などで委員長や副委員長を決定した場面と同じような雰囲気を味わいました。

 今日の会議では保険者の代表である市長から「国民健康保険税の税率などの改正について」が諮問されました。私も「保険料高すぎる。」という声をよく聞くわけで、もちろん何とか安くする方法を見つけられるといいなと思うわけですが、現実をつきつけられると「安く」なんてことはとてもじゃないけれど言っていられないことがわかります。
 「保険料は安く、だけど医療福祉は厚くしてもらいたい。」というのが市民の本音ですが、そんなことは虫が良すぎる話・…、もやは幻想の世界でしかないと思ってしまいます。私は「どうしてこんな風になってしまうんだろう?上手く行かない理由がよくわからない。」というのが正直なところです。みんなで保険料を出し合って、それを運営しているのに…と思います。確かに「医療費そのものが高すぎる」のも一因かもしれません。

 国民健康保険は特別会計として、いわゆる一般会計とは別のお財布により運営されています。それは当然のことです。国民健康保険に加入している人もいれば、サラリーマンなどは企業の健康保険組合に加入しています。皆保険なので、誰もがどこかで相互扶助の仕組みには参加するわけですが、今、そのバランスが崩れ始めているのです。
 多摩市の国民健康保険特別会計は本来、独立採算性をとらなくてはなりません。ところが一般会計からの持ち出しが16億円ほどあり、この額は東京都からも「持ち出ししすぎ」と注意を受けるほどになっています。
 国民健康保険は、ほかの健康保険には加入できない人の受け皿になります。無所得者や低所得者層の加入割合が高くなるのは当然のことです。失業者が増えて、さらに多摩市はこれから退職者も一気に増えるわけです。つまり、ますますその運営が圧迫されるのが目に見えるのです。だから、今回も保険税率アップが諮問されたのだと理解しています。いろんな角度から見て、今後の方針を決めていく必要があります。今日はとりあえず多摩市の厳しい現状の話を聞いて終わりました。

 私自身は「保険料を納めない人」の多さにビックリしています。もちろん、どうしても納められないほど苦しい生活を強いられている人もいるわけですが、ちゃんと所得のある人でも滞納している人がいることには驚きます。
 それは他の税などでも同じですが、支払う能力がある人は「払って当然」…「払いたくない」気持ちがあっても、助け合い社会の中では「払わなくちゃ」という義務感が生まれるはずなんだけど…というのが私の考えなので、滞納者のあまりの多さが信じられません。でも、それが現実。源泉徴収されるサラリーマンの不満に、むしろ同感してしまいます。
 このままだとますます不公平感が募る世の中になります。かと言って、じゃあ自助努力で…というわけにはなりません。どこかで相互扶助の仕組みを持っていなければ、それは「不幸」な社会になると思います。排他的になり、もっともっと階層が広がる社会になります。治安も悪くなるし、それこそ不安な社会になるからです。
 だから私は相互扶助の「国民皆保険」という考え方、その制度はいい仕組みなはずなのに…と思います。でもこれだけ厳しい実態をつきつけられると「本来はどうあるべきか?」という根本から考え直さなければならなくなります。市民一人一人がこの現実と向き合うことでしか、本当の解決策が見つからないのかもしれませんが、運営協議会のメンバーになってしまった私の責任も重いなと感じます。

投稿者 hisaka : 2003年06月26日

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