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2006年01月23日

学校が多すぎる

 行財政改革の中で「効率」を求めるのは当然のことかもしれません。でも「効率」一辺倒で行財政運営を考えるだけで、何が無駄であったのかを適切に検証しているのか疑問を感じる今日この頃です。

 昨日は午前中、竜ヶ峰小学校で行なわれた「学校の一定規模及び適正配置等に関する審議会」主催の地域懇談会に参加しました。昨年、既に決定済みの「多摩市立小・中学校の一定規模及び適正配置等の基本方針」では「竜ヶ峰小学校・多摩第二小学校」「豊ヶ丘中学校・貝取中学校」が見直しの最優先校とされています。この方針に基づいた取組みが着々と進められています。

 そもそも全国的に見ても、少子高齢化社会において、既存の学校をそのまま維持し続けること自体に無理と考えるのは当然のことでしょう。それは公立学校だけではなく私立学校においても同様です。何と言っても通学生の確保が課題だからです。子どもの絶対数が少ないわけですから、学校が供給過剰状態におかれるのは仕方がない事です。


 「そんな中で公立小・中学校をどうしていくのか」について財政的な観点からも大きな課題になっていることは確かです。児童数の多い少ないに関わらず、ひとつの学校を管理するために一定の経費はかかります。その流れの中で、多摩市でも示されたのが「一定規模及び適正配置」という考え方だと思っていました。しかしながら、昨日の説明では財政的な問題以上に「教育的な効果」という観点から適正規模の確保が必要との認識が繰り返し強調されており、どうやら多摩市では財政問題とは切り離したところで、学校の再配置問題が検討されていることが明らかになりました。(本当にそうなのか疑問に思う点もありますが)
 特に「児童生徒の発達に必要な集団活動が十分にできない」ということ、そして「クラス替えができない」「中学校では教科担任を専任でおけない」「子どもたちの希望する部活動ができない」というデメリットの克服が必要であるということが説明されました。

 これに対し、地域懇談会の参加者からは「一般的な問題や課題はわかるけれど、特に現在の竜ヶ峰小学校で起こっていることは何か」ということ、「大規模校のデメリットは語られていない」という指摘などもありました。現在の竜ヶ峰小学校の一人ひとりの子どもに行き届いた指導などが却って学校の特色にもなり、大きな特徴になっていること、そのことが学校の魅力になってるとの意見もありました。学校選択制を利用して、わざわざ竜ヶ峰小学校に通学している児童もいるようです。
 
 財政問題を理由にしないのであれば殊更に「教育的」な観点から市民にも納得を得られる説明がされるべきでしたが、昨日の懇談会では残念ながらそのような状況にはなりませんでした。
 もともと私自身は審議会が主催する地域懇談会だと思って参加をしたのですが、内容的には「一定規模及び適正配置」の市の方針の説明会であり、説明者も参加者からの質問にも答えていたのは行政職員。おまけに、その説明や回答がまるで議会における行政答弁そのままの様子。質問にもはぐらかすような回答ばかりで、参加者の間には不満の声が広がっていました。

 「教育的な効果」を期待しているわりには、それ相応の教育ビジョンが語ることができず、ただ一貫して「統廃合は決して財政的な問題からではない。」と主張している説明する職員に同情してしまいました。逆に言うと、教育ビジョンが語られないことで、そもそもこの話自体が行財政を問題した効率的な行政経営の中で浮上してきた話に過ぎないことが明らかになったようにも感じました。
 


 教育のことを「効率」だけで考えてもいい問題なのかという意見が出されましたが、私もそれには全くの同感でした。現状で非常に素晴らしい教育内容が存在しているのに、財政的な理由でそれを無くしていくという方向が本当に多摩市のとるべき選択肢なのだろうか・・・・そう感じざるを得ませんでした。確かに学校は多すぎるかもしれない。でもその多すぎる学校を多摩市として、どう活用していきたいのか。まず市民にも共感の得られるような教育ビジョンを先に出すべきだろうと感じています。
 教育長は、市長は・・・・子育て・子育ち環境の充実の中で学校の問題をどう考え、今後どうしていきたいのでしょうか。色々な選択肢があることが大事なことだと感じています。小規模校があってもいいし、必要かもしれない・・・という視点もありかなと思います。

投稿者 hisaka : 2006年01月23日

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