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2005年01月18日

情報の非対称

 多摩南地区にある自治体の国民健康保険運営協議会会長会が主催の講演会に参加しました。「今後の保険医療福祉のあり方について」ということで、東京医科歯科大学大学院の河原教授より話を聞きました。言うまでもなく、保険医療福祉問題は少子高齢社会における財源確保が最重要課題になっており、制度そのものの見直しは緊急課題となっています。

 将来の展望がなかなか描けずに不安だけが増す状況は誰しもが抱えていることだと思います。しかしそれを克服する道筋が見えないわけです。今日も何か示唆を仰ぎたいとの思いで各自治体からの参加者が話を聞いていたと思いますが特に目新しい視点を得たとの感想はありませんでした。しかし「情報の非対称」を克服し、消費者(患者)主権を確立する必要性を再認識しました。

 「情報の非対称」の問題というのは、医者と患者との関係で考えれば、その情報量において対等な関係にはなく、情報不足の患者は常に医者よりも弱い立場に置かれてしまうということです。つまり情報が多い方が有利な立場に立つことが出来るのは当然で、患者本位の医療をどのように確立していくのかが求められていると言うのです。そのことが、制度そのものの見直しを考える際の重要な視点の一つになるわけです。医者に言われるがままの医療を受けることが本当に望ましいのかどうか患者自身で判断できることが大切であり、そのことはまた医療費の抑制などにもつながるとしているのだと思います。私も同感です。
 特にカルテ開示はこれからますます必要です。「選択肢が多いことが豊か」とも言われるように、セカンドオピニオンを受けることででよりよい治療環境、納得の出来る医療が受けられると言えます。患者本位を確立することは、実は自己決定権の根幹をなすものだと思います。

 それにしても「情報の非対称」を是正していくことは、医療分野などに限らない課題だと思います。行政と住民との関係しかりです。地域医療計画などにもきちんと住民の意見を反映させる策定プロセスを踏むことが大切だとの指摘もありました。なぜプロセスへの参加が必要なのか。その理由はやはり、参加していくことで住民、市民の理解が深まるからというのです。現状に対する理解を共有することにより、市民自身もまたその行動を見直すことにもつながるのだと思います。
 まさに生活習慣病が増大傾向にある中では、食の問題も含めた自己のライフスタイルそのものを考え直すことを迫ります。これは私たちにとっても厳しいことです。とは言うものの、自分たち自身が自らの将来を見据えるためには、まずは「情報の非対称」が解決されなければなりません。これは同時に情報を受け手としての個々人の能力が問われることとも言えます。いいも悪いもきちんと知り、把握することを要請するからです。だから‘厳しい’わけですが、ここを避けて通ることは出来ない時代にある・・・そう感じています。

投稿者 hisaka : 2005年01月18日

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