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2006年03月15日

予算特別委員会3日目~総務費 民生費

 今日は総務費と民生費中心に質疑が行なわれ、衛生費に入ったところで終了しました。


 総務費については「市長選挙執行費用」に関する質疑がありましたが、現在、市長選に出馬するのではないかと噂されている市議会議員に対して向けられた痛烈な批判としか思えない内容でした。市議が市長選に出馬すると言うことになれば、市議会議員の欠員が出ることになり、本来であれば市長選と同時に市議会議員補欠選挙が行なわれます。しかしながら、補欠選挙が行なわれるためには告示の10日前までに議員を辞していることが条件となります。ちょうど市長選の告示日(4月9日)10日前とは3月29日になるのですが、この日はまだ3月定例会終了直前にあたります。つまり、市議会議員として3月定例会を全うし、その後出馬表明するとなれば、市議会議員の補欠選挙は実施に至らないわけです。そうなった時には「欠員補充」が不可能となり、次の選挙まで、議席に空席が生じた状態が続くこととなります。
 それに対し、今日の質疑では「欠員が出ることについてはいかがなものか?」そしてまた「市議会議員としての負託を受けており、途中で辞するのはどうなのか?」と意見が述べられましたが、仮に市議会議員としての負託を受けていたとしても、時と場合によりけりで、途中で辞めてステージチェンジすることもあるでしょう。「立候補する権利」はいつでも認められており、他人がいちいち口出しするべきではありません。なぜ、そんなことを議場で発言するのだろうか・・・・と思いました。上記のような質疑に対し答弁を求められた選挙管理委員会の事務局長は当り前のことですが、始終困惑していました。「聞かれても困りますよね・・・」というのが本音だと思います。


 次に民生費です。ここでは昨日の活動報告にも書いたとおり、私が取りあげたのは「母子相談事業」についてです。東京都は「ひとり親家庭自立支援計画」策定しましたが、特に急増している母子家庭に対する支援の強化は重点課題となっています。
 平成15年3月に厚生労働省が示したガイドラインでは、母子家庭の抱える深刻な状況が綴られています。そしてまた、国会における会議録などを読んでも、母子家庭の自立のために公的な支援がいかに重要であるのかがわかります。何よりも母子家庭の経済的自立(母子家庭の平均年収は約229万円)が最重要課題になっており、就労支援が一層望まれる状況にあります。

 母子家庭の自立を支援のため、「母子・寡婦福祉法」に基づき、多摩市には東京都から派遣された「母子自立支援員」が配置されてきました。その設置については東京都の役割とされていたからです。
 ところが平成14年に「母子・寡婦福祉法」の改正があり、母子自立支援員の配置は市の役割という変更が行なわれました。そこで、東京都では市に派遣していた母子自立支援員を平成17年4月から順次引き上げることを決定したのです。
 この急遽の決定に、各自治体は大慌て・・・・なぜなら、各自治体とも引き続き「母子自立支援員」として即戦力になる人材のを配置することが求められますが、そのための準備がほとんどありませんでした。都のの引き上げ決定は一方的なものだったため、東京都市長会はこの方針に対し反発。結局東京都は平成17年4月からの順次引き上げを一年先延ばしすることとしました。その期限が今月末に迫り、多摩市からも都派遣の母子自立支援員が撤収されることになったのです。


 ところで、多摩市では派遣の中止について早い時期から察知し、母子自立支援員の引き上げ対策として、平成16年8月から市職員を母子自立支援員として一名配置し増員しました。市職員に母子自立支援員としての経験を積ませ、都職員の撤退後に備えようとしたわけです。これは前向きな対応であり、評価できる部分です。
 しかし、今日の答弁でも明らかになりましたが、母子自立支援員としての高いスキルを磨くには時間がかかります。そういう意味で、平成16年8月から今までの短期間で精一杯頑張ったとしても、人材育成の面からはもう少し時間が欲しいところです。

 要するに、都職員の撤退は多摩市にとっても大きな痛手となることが予測されます。他市の生活者ネットワークでも話題にのぼっていますし、他市議会の議事録検索などを行なってみると、どこの自治体でも「母子自立支援員」の引き上げに頭を悩ませていることがわかりました。
 そして他市の状況を調べてみると、都職員を市職員として採用するという手法により、母子家庭の自立支援体制を維持する方針を決定したところもあるようです。


 多摩市の対応では、都職員の穴埋めとして、新たに誰かもう一人(女性職員)を母子自立支援員として任命する予定です。しかし、母子自立支援員としての経験を持つ職員は存在しておらず(今まで母子自立支援業務は市の事務ではなかったので)、即戦力として引き続き相談業務などに臨める人材配置が可能かどうか、つまり、相談体制が今後どうなっていくのか心配です。相談する側にとっても、不安の声があるのです。


 そしてまた、現在、都職員のもとで研修を積んでいる市職員には、新たに任命された人を育成する業務が追加されることになります。ただでさえ、母子相談、DV相談などは増えており、問題も複雑化、困難ケースも増えている現状にも関わらず、経験としてはまだ十分と言えない市職員が相談業務+αで人材育成業務まで請負うことがどれだけ大変であるのか・・・・その状況を察します。(母子自立支援員の業務はそれだけハードなのです。実態を聞いてみるとわかります。相談を受ける側のメンタルヘルスの問題も大きな課題で、その意味でも一人にあまり多くの業務を集中しすぎるのは好ましくないでしょう。)
 相談を受ける側に最も重要なことは心の余裕を持ち業務に臨むことでしょう。あと一年、どうにか都職員を引きとめておき、もう一人の市職員の増員をしながら、相談体制の構築を目指す方策はとれなかったのだろうか?残念。
 今日の説明によると、難しい相談は東京都の女性相談センター等にもアドバイスを求めると言うことで、どうやら東京都もスーパーバイズ機能を強化するようですが、それでも市職員が日常業務をやりこなしながら・・・と想像してみると、それがあるからといって安心できるとは言えないでしょう。


 さて、引き上げ決定した東京都からは、2年間で600万円の財政支援が約束されています。この財政支援をどう活かすのかが鍵でしょう。ここは、いかに「母子相談の質の向上」を図るのかに税金を使ってもらいたいと考えます。
 「質の向上」とは・・・・やはり人材育成抜きに語ることはできません。そのために600万円(1年間300万円)を有効活用してもらいたいわけですが(例えば市職員二人体制を確立するために、母子自立支援の専門職の嘱託職員をアドバイザーとして雇用するとか)、今回の予算書で提示されたのは「車輌購入」。もちろん出張相談などで車輌を活用できることは、一面では相談体制の充実かもしれません。でも本来必要で、相談業務に求められる「質の向上」にどれだけ結びつくのかは疑問です。


 質疑の後、担当部長と話しをしたところ、「相談体制づくりにはしっかり取り組んでいきますので。」と意気込み十分だったので、ぜひ期待したいし、そうしてもらわなければ相談したい市民も困ってしまいます。
 2003年に改正された児童扶養手当法では、支給開始から5年間経過した場合、母子家庭の母親に対する児童扶養手当の一部減額措置が導入されました。その実施時期(平成20年度から)も迫っています。そのことからも母子自立支援員が母子家庭の経済的自立のために果たさねばならない役割は重大なのです。市職員の人材育成が急務です。
 
 

 ・・・というわけで、今日の質疑により、ほぼ私は自分の発言時間を終了してしまいました予算委員会の残り2日間はボーッとしているしかなさそうです。

投稿者 hisaka : 2006年03月15日

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