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2005年11月28日

当事者の声を生かす努力

 健康福祉推進プランの見直しにあわせて行なわれる障がい者基本計画の策定作業が進んでいます。今日は策定委員会の最終回を傍聴しました。

 健康福祉推進プランの見直し作業は4つの部会(保健医療/障がい者/地域福祉・生活援護/高齢者・介護)に分かれています。このうち保健医療部会については「けんこう多摩手箱プラン」として検討内容の発表が行なわれました。発表会を見に行きましたが、保健師さんたちの活躍ぶり、市民が楽しく計画策定作業を進めた様子が本当によく伝わりました。参加した市民たちが寸劇や歌という工夫を凝らしながら、議論した内容の発表をしている姿から「市民参画のまちづくり」は楽しくなければ続かないこと、そして<四角四面>という職員のイメージでは対応できず、職員(この場合は主に保健師さんですが)が柔軟性をもって市民の話合いをサポートすることが大事だと言うことを確認した気がしました。あんまりにも「お堅い」と参加していても肩凝りしそうですし、自由に意見を言えるような雰囲気がない場合が多いですので・・・。

 さて、今日の障がい者部会のほうですが、ここでは計画策定委員会のもとで、障がい種別に分かれたワーキングチームが結成され、その中でそれぞれの課題抽出と問題提起が行なわれ、そこでの結果を策定委員会にて集約して、とりまとめする流れです。
 事務局である職員は、時間の制約がある中で、できるだけ策定委員メンバーそれぞれの意見に耳をかしていこうとする姿勢があることを感じました。多摩市では自治基本条例が制定される前から市民参加が推奨されていましたが、条例施行とともに市民参画が必須項目になったとともに、そのあり方が質的に問われるようになっています。従来のように行政がおぜん立てをしてシャンシャンで終わってしまうような市民参画のありかたでは参加した市民は納得しないのは当然ことです。そのことを肝に銘じながら、職員は職員という立場で努力をしているように思っています。ただ、事務局の職員の努力があったとしても、最終的にはその職員の上司である管理職のみなさん、市長などの意見の方が優先されてしまうので、そのときに現場職員の努力が報われるのかどうかだとは感じています。
 
 今日の議論は、ほぼ最終案として作成された「障がい者基本計画(後期)」の案について内容の確認とさらに委員の意見を聞いていくかたちで行なわれました。メンバーの中に重度障がい者の方がいらっしゃいますが、彼が「重度障がい者」の立場がわかるような文言を盛り込むべきだとの主張をしました。重度障がい者は、福祉的就労や一般就労に参加すること自体がきわめて困難であり、行政がそのことをもっと認識すべきで、その上で支援することが必要だというわけです。重度障がい者に対応できる支援内容があれば、どの障がい者にでも対応できるわけです。ぜひとも「重度障がい者」のことを入れてもらいたいという当事者の声には説得力がありました。
 これに対しては「障害の種別に関わらず」という文言で表現しきれているのではないかという意見もありましたが、「重度障がい者」への対応がまだまだ遅れていることを考えると挿入することが望ましいのではないかとの意見も出され、最終的には事務局である行政が最後の最後の文言整理の中で、どのように取扱っていくのかが注目されます。
 
 行政計画はその内容が非常に重要です。「あいまいな文章」にしておくと、読み取る人の立場それぞれによって理解の仕方も異なるので、できる限り具体的で、誰が読んでも共通理解できるような内容になっていることが理想です。その意味でも、今日の「重度障がい者」の部分については明記しておくべきだと感じました。
 市民参画には時間がかかり、職員が費やす労力も大変なものかもしれません。さまざまな価値観や立場の市民が口々に述べる意見を集約するのは簡単とは言えません。まだまだ不十分だという市民もいるかもしれないのですが、私自身は職員が従来の手法から時代の要請にあわせながら、市民の声を一生懸命に取り纏めようとしている努力を認める必要があると感じています。特に、保健医療部会や今日の障がい者部会の取組みを見る限りでは、そのように思いました。

投稿者 hisaka : 2005年11月28日

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