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2005年01月21日

父親の育児休暇のすすめ

 内閣府男女共同参画局が発行しているメールマガジンで、調整官(これは役職名のよう)をしている方が「親父のための育児休業!!」として、自身が育児休業を取得した経験を綴っていました。「なんでも内閣府では3人目、管理職では初めてだそう」ということです。男女共同参画を進めている部局でさえ、父親の育児休業にはまだまだ積極的とは言えない状況のようです。そのとおり今回の経験についても、「今回の育休は、天の利(時代の趨勢)、地の利(仕事の状況)に加え、人の利が合わさって、初めて取得できたものと思っています。」と上司と同僚に感謝の言葉で締めくくられています。周囲の人的環境が鍵を握っていると言うことと思いますが、その上、彼の立場が管理職であったことの意義は大きいと考えます。
 「この文章を読んで、一人でも多くのお父さんが、育休に関心を持ってもらえれば本望です。」としているとおり、男性の育児休業について、まだ今は「関心」を呼び起こす段階で、関心はあっても実際に行動へと変えていくためには、天の利、地の利、人の利含めた環境づくりへのハードルが高いということがわかります。制度が出来たとしても、やはりそれを運用する「人」の問題が課題といえるでしょう。意識変化には多大な時間を要します。
 正直、まだまだ父親の育児休暇については消極的な人も多く、かつての生活者ネットワークの政策であった「父親の育児休暇を義務づけする。パパクオーター制度」についてもなかなか理解を得られない状況です。メールマガジンでは次のような感想がありました。

「確かに育児は妻一人でもできないわけではありません。事実、私の上の世代は、ほとんどの人がそうしてきたのでしょう。しかし、育休の間に得た思い出は何物にも代えられないものだと思います。それは、家族が家族であることの意味であり、自分が家族の一員であることを再確認するというとてもかけがえのない時間です。敢えて言えば、育休は妻のためではなく「お父さんが自分のために取れる」休暇です。仕事は待ってくれませんし、それぞれ職場での立場も難しいものがあるかもしれません。  しかし、取れるのであれば是非、お父さんには育休を取ってほしいと思います。仕事はせいぜい30年~40年ですが、家族は死ぬまで家族です。育休は生涯にわたっての財産をもたらしてくれるものと思います。」

 この「敢えて言えば、育休は妻のためではなく「お父さんが自分のために取れる」休暇」…これが貴重な体験を通じての実感なのだと思います。おそらく体験した人にしかわからないことでしょう。体験できたこと自体が本当に稀なラッキーなチャンスだったとも言えますが、だからこそ、この体験がこれからの男女平等施策へとつながるのではないかと思いますし、つなげてほしいと願います。
 女性の立場向上という視点が強調されながら進められてきたのが男女平等施策でしたが、少し発想を変えて男女平等施策を捉えてみると、風潮的に広がっている女性施策へのバッシングももう少し緩和されるのではないかと思います。「男女平等条例」は女性のためでなく、男性のためにも制定する必要があるという気運が高まる必要があります。そのことを語ることができる男性の存在が求められていることを感じます。

 多摩市でもまだまだ育児休業取得の経験がある男性はごく少数に留まります。休暇の取得を強制することには賛成ではありませんが、しかし休暇の取得を促すような職場の雰囲気をつくっていくことで、状況は変化していくのだと思います。「性別役割分業」をあまり意識してこなかった私と同世代の女性も就職活動や就職を通じ、そのことを強く感じさせられたとの感想を聞きますが、これは男性にとっても同じだと思います。私たち世代が受けてきた教育からすれば、男性も育児休業を当たり前のように取得できる状況がないことの方が不思議です。
 異なる時代背景の中で生きてきた上司の‘力’は大きいのだと思います。例えば、子どもが生まれることがわかった時点で父親の育児休業を取りたいかどうかの調査をし、取得を望む人がいるのならば、取得時期に向けた職場の体制づくりをしていくことができるはずです。女性で育児休業を取得し、職場復帰した時に仕事がなかった…という話はよくあることですが、そうしないためにはやはり管理職のさい配が問われるのだと思います。
 このメールマガジンを書いた調整官も一ヶ月間の取得です。一ヶ月なんて短いと言う人もいるかもしれませんが、私自身はこの一ヶ月でさえもとても大きな意味を持つ時間だと思います。「一ヶ月」からの父親の育児休業を積極的に進めて欲しいと考えます。

 ちなみに調整官の書いた文章について、「本稿中,意見にわたる部分については筆者の個人的意見であって,男女共同参画局の見解を表明したものではございません。」という但書き…これが現在の状況を物語っているのだと思います。

⇒リンクページへ(推奨)
http://www.gender.go.jp/magazine/backnumber0080.html
※関連資料もリンクページからどうぞ。
⇒男女共同参画局ホームページTOPへ
http://www.gender.go.jp/

投稿者 hisaka : 2005年01月21日

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