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2004年06月03日

「移動の自由」は自己実現の条件

 今回の一般質問はかなり自分にとっては難しかったテーマです。「誰もが自由に移動できる社会づくりを目指して」ということで、ネットで取組んでいる「移動サービス」充実へ向けての提案活動の一貫として質問をしました。
 「移動の自由」という問題は新しくて古い課題です。これが政策課題として浮上してきた裏には、障害者自らの当事者運動があるのですが、やはり高齢化社会を迎えて、ますます移動困難な状況に置かれる人の増加が、政策としての優先度をあげてきたと言えます。
 
 多摩市はニュータウンが市域面積の6割で、何しろエレベーターなき集合住宅群が立ち並ぶところです。建替問題もあり、それと同時にエレベーターを設置することや、現状の住宅にエレベーターを設置するための補助金の準備はありますが、実現可能性的にはあまり期待できないという実状。だからといって、それを待っている間にも高齢化はものすごいスピードで進んでいるわけで、集合住宅の上階に住む人が高齢者となり、階段の昇降が厳しくなることは目に見えているわけです。これを「縦移動」の困難性として、ニュータウン問題の大きな課題だと位置付ける必要があると考えています。
 年をとっても、その人らしく楽しく生きることを考えた時、やはり社会との関わりを持ちつづけることは大切です。高齢者の社会参加を広げていこうと行政でも取組みが進められていますし、実際にまちに出かけてみると元気な高齢者をたくさん眼にします。活動をしている高齢者を見る限り、やっぱりいきいきとして、はつらつとしていると感じます。だからこそ、私は家に閉じこもらなければならない状況、体が弱くなり、階段の昇降がネックになり、外出できない環境をつくらないように何とか策を講じるべきだと考えているわけです。

 もちろん、高齢者のみならず、そのことはハンディを持つ障害者でも同じことですが、とにかく多摩市にとってはエレベーターなき集合住宅と世界一のスピードとも言える高齢化にどうやって対応していくのか、そこに効果的な政策を打ち出していく必要があります。
 「移動の権利」という観点で質問をすることは、政策の中に「縦移動」の問題をしっかりと据えることが必要だと主張するためですが、やはり今回の質問で最も知りたいことは、市長が「移動の自由」という問題をどう考えているのか?という部分です。
 そこでまずはじめに、そのことを尋ねましたが、市長は「『移動の自由』は一人一人の自己実現にとって不可欠なものである」という認識を示しました。私はこれはとても大きなことだと思っています。つまり、「自己実現」とは生きがいとかやりがいと言う、生きていく上で一番大事なことだと思うのですが、それを叶えるための条件であるというからです。市長の答弁は多摩市として政策の方向性を見定めていく時の鍵になります。そのことが事業を選択していく時にも、大きく左右するからです。その意味で、ものすごく力強い発言だなと思いました。期待したいです。

 今日の質問は、私はいつもよりも「難しかったな…」と自信がないままに本番を迎えたわけですが、市長のはじめの答えを聞き、事業の進め方を詳細に見た時にはズレがあるかもしれないけれど、根本の考え方や見ている方向性は同じであることがわかり、よかったなと思いました。

投稿者 hisaka : 2004年06月03日

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