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2004年05月17日

もしも、スイスのように・・・

 朝日新聞の夕刊で目に留まったのは「スイス政府、国民投票‘三振’」の記事。年金、税制改革などの是非を問う国民投票が実施されて、すべてが大差で否決されたとのこと。スイスというと中立国で牧歌的で平和そうなイメージしかなかったので、私にとってはとてもインパクトあるニュースでした。
 何と記事によると、年金改革法については約7割の国民が反対したとのこと。投票率など詳細は調べてみなければわからないものの、結果はどうあれ、私自身は、この国民投票は改革に反対する国民が規定の5万人以上の署名を集めて投票実施にこぎつけたという事実に「すごい」と考えさせられたのでした。
 ちょっと調べてみたところ、スイスの人口は720万人くらいなので、単純に5万人以上でとなれば、人口の約7%以上の署名があれば国民投票が実施できる計算です。日本では地方自治の現場にて住民投票がありますが、例えばこれを住民発議でやるためには、有権者の50分の1…つまり2%以上の署名が必要です。しかし、これは相当大変です。
要するに、厳密に比較しなくても、スイスで5万人以上の署名を集めたということがどんなにか「すごい」ことなのかがわかると思います。
 
 さて、慌ただしくてドタバタしている「年金改革」。これについて今朝の朝日新聞では今国会での改革法案の成立反対が70%だという世論調査の結果です。これは、スイスの国民投票の結果とほぼ同じ数字なのですが、しかし行く末がどうなるのか…。自衛隊の派遣が決まった当初のように、国民の意識と国会での結論との「ねじれ現象」で終わってしまうのでしょうか?
 しかしながら一方で、ニュースなどを見ていると国会劇「年金改革の巻」みたいになっている状況があり、例えば朝日新聞の世論調査にしてみても法案の内容をきちんと理解した上で「成立反対」なのかどうかも疑問です。この状況では年金制度への信頼回復自体もそっちのけで、政治への不信感ばかりが増幅してしまうばかり。私たち自身も本来考えるべき事項をきちんと捉えられていないようにも感じます。
 スイスのように直接民主主義は魅力的ですが、今の日本の状況でスイス同様に国民投票を導入したとしたら…。これは考えさせられる問題です。スイスにおける政治状況や国民投票の実態をもっと知る必要はありますが、国民投票をするためには国民自身が正しく事の本質をつかめるように政府が説明責任を果たさなければなりません。おそらくスイスでは説明責任のあり方が、今の日本で私たちが置かれている状況と異なっているだろうと考えたのでした。
 それにしても署名を集める国民パワーに脱帽です。「喉もと過ぎれば熱さ忘れ」がちな日本社会の状況(例えば消費税導入とかのケース)とは相当違いそうです。国民性の違いとして片付けられることではなさそうです。

投稿者 hisaka : 2004年05月17日

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