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2003年10月07日

多摩市の財政計画を点検!

  行財政診断白書ができたことがきっかけで、「財政分析の会」というグループが発足しています。前回は別の用事(第1小学校の建替え検討委員会)と重なってしまったので、今回からの参加です。この会では3チームに分かれて活動をすることになっています。多摩市の財政の歴史を調べるチーム、物件費(主には委託費)や補助金の調査チーム、それから白書に採り上げられた重点項目の11事業についてをもう少し詳細に検証するチームです。
 私は補助金調査チームに所属することにしています。特に、外郭団体であるパルテノン多摩などに的を絞って調べてみようかという話も出ています。

 さて、今日は講師の先生による多摩市の財政計画のありかたについて学びました。なるほど、こういう視点を持ちながら、財政分析をするんだ!と改めて思いました。多摩市がどうやって財政運営をしようとしたのか?、思わぬ見こみ違いもあり(長びく不景気など)歳入が激減しているので、このままでは計画通りにまちづくりが進められない…というのが白書などでの説明です。 

 ところが現在進行中の第四次総合計画が始まってから、一年ぽっきりで計画に無理が出てきたなんて言うのは、本当に見こみ違いもいいところ…というのは誰しも感じることだと思います。一体どんな財政計画をたててきたのかと思わずにはいられないわけです。

 ということで、今日は多摩市の第三次総合計画における財政計画を検証して、多摩市の財政フレームがどうたてられているのか?を検証してみると言うことです。
 ちょうど第三次総合計画が策定された1991年(平成3年)3月はバブル崩壊の年とされています。これは10年間の長期計画と言うこともあり、5年後の1996年(平成8年)3月には改訂がなされています。その後半5年間に行政が作成した財政フレームを眺めてみると、いかに市の計画見込みが甘いのかがわかります。

 なぜ甘くなってしまうのか…。この原因は簡単です。誰もお金がなくなるなんて事は想定したくないし、計画の中ではたくさんのやりたいことが詰まってしまうわけです。例えば政治家である市長や議員の要望をくまなく計画で活かそうと思えば、当然に財政的な裏づけも必要なわけで、それらを見こんでしまえば歳入もめいっぱい増やしておく必要があるのです。という中で、おそらくは計画がたてられたに違いないと思っています。

 この計画とあわせて、実績をつきあわせてみると・…例えば歳入で言えば地方税は計画では1996年から2001年までで1,535億円という見込みを経てていたわけですが、実績では1,464億円。ここにはマイナス71億円の乖離が生じています。ところが、歳入合計を見た時には計画では2,561億円で実績は2,606億円!実にプラス45億円になっているのです。
 つまり地方税が減っているけれども歳入が増えている・…なぜかと言えば借金(地方債)が増えているからなのです。地方債については計画では5年間に142億円を予定していたのに、実績は206億円です。計画よりも64億円も多い借金をしている。
 これはまず第1番目のポイントです。それから多摩市は「運よく国や都からの収入があった!」そうです。そして当時の市長は「(ハコモノについて)建てられるうちに建てておく」という姿勢を貫いていたそうです。「銅像はいらないけれど…」と仰っていたとのことですが…。

 この「建てられるうちに建てておく」という姿勢が顕著なっているのは、建設事業等についても計画では501億円なのに実績が521億円であることからもわかります。・…と思いながら、今度は財政フレームないの歳出計画に目を移すと面白いのは人件費について。さすが人件費における見こみはほぼばっちり合致しています。計画では463億円で実績が460億円だからです。
 ところが物件費は計画437億円が実績470億円、ちなみに補助費は計画415億円から実績397億円。そして一番腹立たしいと言うか、ひどいのが維持補修費。計画では82億円なのに実績では、なんと四分の1の24億円なのです。いかに多摩市が維持補修を適正に行ってこなかったかがわかります。
 そしてそのことが今ツケとしてきていることはわかると思います。今後維持補修費に莫大なお金がかかる…と白書では喚起されていましたが、そんなのは当然のこと。しかもきちんと維持補修点検をしておけば、長持ちするものでも、長年放置したがために状態の悪化が激しい!例えば総合体育館などはとてもひどいと聞いていますが、維持補修にお金をかけずに、新しい建造物をつくり、さらに維持補修費がかかる結果になっているなんて・・・・悪循環もいいところなのです。

 この責任がどこにあるのかを追求しても、難しい面もあります。でもやっぱり財政計画の意義もないようなまちづくりのやり方が見えてくると腹立たしいと言うか、今まで何やってきたんだろうなあ…とがっかりしてしまいます。
 でも、がっかりもしていられないので、やっぱりますます財政について知っていく必要があると思うし、議員だけでなく、市民がちゃんと財政をわかり、自分の納めた税金の行方を見れるようになることが一番だなあと痛感したのでした。

投稿者 hisaka : 2003年10月07日

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