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2003年09月12日

住民基本台帳カードの手数料のこと

 6月議会で否決された手数料条例。住基カードの発行手数料の新設と屋外広告物設置手数料の値上げについてですが、結局、またまた9月議会にも全く同じ形式で条例案が出てきたので、「賛成できる理由が見つからないよな。」と非常に困っていました。
 基本的に住民基本台帳ネットワークシステムに反対なので、もちろん住基カードの発行もとんでもないわ!と思っているわけですが、そうとは言え「法律に基づいて事務を執行しているだけ。」と淡々と説明をされれば、「ふーん、そうですか。」と一応は納得をしてみて、それなら・…と手数料を500円では安すぎるので、1,500円にするべきだと修正案を出しました。

 行政側も6月議会での結果を受けて、とてもていねいな資料を作成してくれました。
①手数料の設定根拠の妥当性②住基カード公布に関する事項の説明不足③住基カードセ
キュリティ対策不足④住民基本台帳ネットワークシステムを会しての個人情報漏洩の心配⑤公的な身分証明を希望している市民への対応…以上5点を重く受けとめて対応を検討したそうです。

 もちろん行政は初めからカード公布希望者には応分の負担をしてもらう(受益者負担)考えですが、6月議会で条例が否決されてしまったので現在は無料交付という事態になってしまったのです。
 これについても、一言。たま広報には「なぜ当分の間無料公布」になったのかについて全く説明がありませんでした。

 さて、住基への接続に賛成反対ではなく、手数料をどう考えるかについて審議をすべきだと…そういう整理の中で議論が行われました。
 でも、やっぱり反対の立場にあるからこそ、手数料の設定にクレームをつけたくなるのです。これについては最終日に反対討論をするので、これからまとめなくてはなりませんが、一番納得が出来ないのは、やはり「他市との均衡を図って」という部分です。他の市と手数料が違うことで行政に対する不信感を招きかねない…との説明には思わず笑ってしまいました。「不信感を招く」ような行政であってはならないわけで、なぜ他市と手数料が異なるのかを説明すべきだからです。手数料については自治体ごとに決定すること権利があります。
 
同じ住基法に基づく自治事務で住民基本台帳の閲覧がありますが、これの手数料については自治体ごと(ことに多摩市はいつも三多摩地域26市と同じであることを主張しますが)に足並みが揃っているわけではなく、個人情報に対する考え方によって手数料はバラバラです。多摩市は率先して、他の市よりも割高な手数料を取っています。つまり、考え方一つで、他市と手数料が違っても何ら問題はないのです。

 …とかなり色々な議論を経て、最終的には住基接続反対の立場から500円にも、1,500円にも反対が1名、同じく接続反対の立場から1,500円に賛成は2名、そして行政の原案通り500円に賛成が3名…最終的に委員長判断で原案が通過することとなりました。

 ところで修正案を提案するのは、委員会の開会前と決まっています。今回、修正案を出すことを決めたのは開会の5分前。どうしようか・・・と会派で迷いに迷って提出したので、とても準備不足でした。何せ、また前回と同じ500円で提案をしてきた…という行政側の姿勢に納得できない…ので修正案を出す必要もないだろうと判断していたからでした。でも、500円がイヤだと言うなら、ちゃんと対案を出せと迫られたので、とっても困り修正案を出したのでした。1,500円の根拠は住基カードのコスト分析ではカード原価や諸々の人件費含む雑費で1,915円だからです。
 もし、市民全員がカード発行を希望した場合(そんなこと絶対にあり得ない)には、全部でコストが2億7384万5千円かかります。手数料が500円なら、回収出来るのは7150万円。電子政府政策は公共事業だと言われています。その通りのことが現実には起きています。ネットワークシステムは日々進化するし、それにどんどんお金をつぎ込まなければならないからです。今回の補正予算でも福祉関係のネットワークシステムをリニューアルするということで予算がくまれていました。これも全体では1億2千万円を見込んでいるわけです。初期投資だけでなく、メンテナンスも考えると恐ろしい話です。今後、どのくらいの投資をしなければならないか全く予測は出来ません。
 
住基カードの利便性を享受する人、使いこなす人はどれほどいるでしょうか?そのことを考えても、私自身は見合った額の手数料をきちんと負担していただく方がいいと考えています。

投稿者 hisaka : 2003年09月12日

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