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2003年05月24日

イマドキの小学校の授業見学

 今日は午前中、北諏訪小学校の学校公開に足を運びました。どうしても小学校3年生の社会の授業「わたしたちのすむまち」(授業テーマ)を見たかったからです。ところが、予定の社会は算数へと科目変更、残念ながらお目当ての授業を見ることはできませんでした。
 そこで、私は6年生の社会の授業を見せてもらうことにしました。その理由は2クラスともに同時限に同じテーマを扱うわけで、先生の個性が発揮されるだろうなあと思ったからです。私の考えた通り、2クラスとも「平安時代の貴族のくらし」についての学習でした。
 一方のクラスは黒板に「平安時代の文化」と書かれ、先生が国風文化の説明をしていました。途中では「春はあけぼの・・・・」と枕草子も紹介しながら、当時の文化について教科書に沿った話が進んでいました。
 もう一方のクラス。私はこちらの授業にはとても感激をしました。ここには「イマドキの授業」があったからです。「貴族のくらし」ということで教科書にのっている「絵」、いわゆるお殿さまとお姫さまに宮殿の図を見ながら、3分間で班ごとに何でもいいから気がついたことを書くことから授業がスタート。ワークショップ形式で、先生がみんなにポストイットを配りました。その後、出た意見をそれぞれ班ごとに発表しあいます。
 まず、平安時代の人については顔と服装について、色白、丸顔、服が重そう(十二単)、色とりどりの服、ひげがピンとしている、贅沢なくらしをしてそう、いいモノを食べて太っている等と意見が出ました。
 次に住まいについてです。扉がないから涼しそう・・・・すると先生「おっ、じゃあ夏はイイよね、でも冬は・・・・寒いよね」ということで、貴族のくらしをみんなで想像しながらの授業が進みます。「貴族の人たちはたたみの上に布があるでしょ、そしてその上で寝るんだよ。着物を脱いで・・・どうだろう。」すると「寒い」「眠りにくい」「夜中に起きちゃいそう」・・・と子どもたちの中から意見が飛び出てきます。「貴族の人たちってどうなのかなあ・・・昼間は何をしているんだっけ?」「ケマリ」「宴会」「つり」「囲碁」・・・「そうそうこの間みんなで学習したよね。・・・でもどうだろうか?住んでいる所は寒いでしょう。平安時代の人たちって、贅沢な暮らしをしているって意見が出たよねえ。その当時の人って本当に健康だったのかな?今は寿命が男の人は78歳くらいで女の人は80歳くらいだけど、さあ、どうでしょう?この時の人たちの寿命をちょっと班で話しあってみて!」
 こんな具合で授業が進んでいくのです。子どもたちはそれぞれ自分たちの想像力をふくらませながら、そして自分の意見を積極的に発表します。私の小学校時代よりも、格段に教育技術が上がっている…というのが感想です。それはそれは、とても素晴らしい授業でした。
 私のことを思い出せば、教科書を読むのが授業というイメージしか残っていません。先生が子どもたちみんなの関心を上手く引き出しながら、授業を進めていく、そしてどの子どもにも発言の機会を与えていくという先生の技法に感激しました。

 イマドキの先生にイマドキの子ども、思ったよりも子どもたちは楽しそうで、これは学校公開週間だからなのかもしれないけれど、私にはマスコミで話題になっているような「学級崩壊」はあまり感じられませんでした。先生たちも熱心に授業をするし、子どもたちもわりと静かに学習しています。
 とにかく土曜日なので、お父さんが学校に来てくれた!という喜びが子どもたちの中にあるように思いました。1年生の教室はさすが、その他の学年とは違って父母であふれていて、これは昔の光景と変わらないようです。中休みの様子を見ても、アクロバットのように一輪車に乗ってフラフープを操っている子どもの姿がありました。特にチャイムと同時にボールをもってグランドに走っていくやんちゃな男の子達は、授業が終わりにさしかかるのを待ち構えているのが後ろで授業を見ていた私には伝わってきました。

 私は先生の数も低学年では先生が二人体制で授業しているクラスもありました。明らかに昔よりは恵まれた環境かなと思います。そして先生の教え方も発展しているように感じます。
 でも、その中にあって「教育の危機」が語られている、今日の学校公開では見えなかった部分がたくさんあるのだと考えます。現場の先生たちは何に悩んでいるのか、そして子どもたちと学校、家庭との関係は・・・?今日、たくさん集まってきた父母たちはどんな感想を持ったのだろうか?子どもたちを取り巻く環境の複雑化で、学校と地域とのつながりがますます重要になってくる・・・でも、地域はどうやって学校を支えることができるのだろうか?色んなことを考えながら、学校を一周しました。授業の風景を見ている(子どもの発言を聞いていると)と何となく「女の子しっかりしてるな・・・。」と感じるわけですが、私の小学校時代と変わらず、女の子のほうが「おねえさん」なのかもしれません。

投稿者 hisaka : 2003年05月24日

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