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2003年03月15日

地域の問題を普遍化すること

 全市的に見ると本当にさまざまな課題があります。その課題に優先順位をつけて解決していかなければなりません。行政の仕事として一番大きな割合を占めるのは、言うまでもなく「福祉」だと考えています。
 でも「福祉」とはとても難しい言葉です。「幸せ」な生活を送るために行政がやるサービス分野と考えれば、すべて行政がやることは「福祉」につながるわけです。
 今日、諏訪団地の建替え問題の話しを聞きました。私はこの問題を解決する糸口を早く見つけなければならないと思っています。諏訪団地の問題は約10年ほど前から取り組まれています。ニュータウンでも初期入居地域、築30年を超えています。当時はとにかく住居を造れと国策によって開発された土地と建物、建物はトッカン工事、じっくりと建築された建物とは全く異なります。建物の老朽化は激しく、長持ちできないわけです。
 今年度は多摩センターの活性化と子育て支援のサービスを強化していくとの市の方針が出されていますが、私はニュータウンの建替えにも目を向けなければ、みんなが沈んでしまうように考えています。市域の6割、人口も半分以上がニュータウン在住です。何とかして、大規模団地建替え計画を市として持つ必要があると思います。国や都に働きかけることはもちろんです。国と言えば公団ですが、公団も都も、ニュータウン区域にある未利用地売却に全力を注いでいるようで、市としては、同時並行的に、多摩センター駅前未利用地の活用方策に頭を悩ましているようです。でも、それこそ同時に、ニュータウン老朽化のことについて、もっと強く公団や都に働きかけなければ、「負の遺産」として市が負わされるツケはタダならぬものだと思います。
 「廃墟」という言葉があります。私たちは世界のさまざまな遺産をめぐると思います。海外の巨大都市を見物に行くと思いますが、私はもしこのまま何も出来なければ、ニュータウンも世界遺産の一つになっているかもしれないと心配しています。雨ざらしになり、風にさらされ、コンクリートは劣化していく・・・・・人はみんな快適な住まいを求めて、ニュータウンに別れを告げる・・・・こんな状況も想像できないわけではありません。
 母の友人には多くの建築家がいます。最近知ったのですが、「居住福祉」という権利があるそうです。「安心して、快適に雨露を凌げる家がなければ、人は心を落ち着かせて生きていくことは出来ない」というわけです。私は今、ニュータウンで課題になっているのはまさに「居住福祉」をどう保障するかだと考えています。
 今日は建替え問題に取り組んでいる管理組合の方に話しを聞くことが出来ました。彼らは自分たちの問題がニュータウン全体の問題であると言いました。私も同感です。目先の利益だけを考えただけではないのです。今、団塊の世代の方々が多く住んでいるそうです。私の両親世代です。私と同世代の子どもたちは皆、転出しています。私の同級生も、ほんの数人しか残っていません。彼らもそのうち出て行くと思います。取り残されているのは年配者。ひっそりとした「まち」が未来に「遺跡」となってしまうやもしれません。最悪の事態は避けたいです。そのためにはニュータウンに対する危機感を市民ひとりひとりが自分の問題として考える必要があると思います。
 私の出来ることは、この問題をもっと多摩市全体に普遍化させて考え、そして理解者を増やすことだと考えています。

投稿者 hisaka : 2003年03月15日

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