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2003年02月15日

生活クラブ運動グループの原点

 コミュニティスクール・まちデザインの「まちづくり実践講座」に参加しました。これは生活クラブ運動グループが中心となって主催しています。今日のテーマはまさに、私自身も常に問われている「生活クラブ運動グループの連携のあり方を問う」でした。私はもともと生活クラブの組合員ではなく、どちらかというとローカルパーティとしての生活者ネットワークを知ってから、その歴史や仕組みを知り得たので、生活クラブ運動グループなるものの発起人から直接話しを聞けたこと、特に現状と課題をどう分析しているのかについては参考になりました。だいたいは自分自身が抱えている問題や頭の中での理解とそれほどかけ離れていたわけではなかったことには安心しました。
 生活クラブ生協と他の生協との違いとはただ単に「購入」する消費者だけではなく、「生産」する消費者として組合員を位置づけしているところです。だからこそ政治も自分たちで創り出そうという動きを生み出しました。それが生活者ネットワークです。そもそもはトレースアビリティ、「材」の素性を確かめるから出発しています。例えば「しょうゆから世界を見る」・・・しょうゆは大豆から作られているけれども、しょうゆは国産だけれど、大豆は輸入である、そしてそれは海外のどこが産地なのか、生産過程で使用されている肥料は?農薬は?そこには貿易という経済摩擦の問題もあり・・・・としょうゆからでも世界が見えてくるのですが、究極求めているのは「食の安全」です。つまりこれを政治の世界に置き換えて、「素性を確かめる」ことが生活者ネットワークの原点です。そうなればやはり物事を決定する議会に対して直接参加をしなくてはいけない必要性がおのずと見えてきます。だから生活者ネットワークでは議員は「代理人」として議会に送りこんでいるのです。素性を確かめ、「素性」の形成についても、みんなで参加をしていく窓口として代理人が存在しています。
 たった一人では無理ですが、何人かで集まり「共同購入」することで消費材を作ることが出来るのです。自分たちの欲しいモノ、自分たちの求める安心な食卓、そのためにはみんなで安全な商品を作り、そしてみんなで購入することで維持していく・・・これが生活クラブ生協の精神で、生活者ネットワークも自分たちの望んでいる暮らしは自分たちでしかつくれないという、まさに「自治」を重んじて活動を続けてきていると言えます。だから私は共感出来るのだと思います。
 さらには生活クラブ生協があり、生活者ネットワークがあり、ワーカーズコレクティブ、NPOアビリティクラブたすけあいがあります。これらが運動グループを形成しています。ワーカーズコレクティブもNPOたすけあいも、まさに地域で自分たちに必要なサービスを創り出します。ワーカーズは地域社会に必要な雇用形態、たすけあいは地域事情に即して、地域に住んでいる人たちのニーズに沿ったきめ細かい福祉サービスを提供しています。全てが「自治」を原点にして、自分たちの身近な地域からスタートしているものばかりです。改めて運動グループの話しを聞くと、生活クラブの運動の広がりは地域社会づくりに果たしてきた役割は小さくないと思いました。
 そしてもう一つ、共同購入というところには「班」があります。今では時代の変化とともにライフスタイルも変わり、個人加入もできるようになりましたが、原則は班を結成して消費財を購入していく仕組みがありました。例えば班で豚を一頭買います。そして班で豚一頭を食べるのです。ある班員はロース、ある人はヒレ・・・のような形で班員どうしでその都度順番に豚の部位を分け合うのです。これが「自治」です。分配するにはコミュニケーションが必要です。班員どうしが「豚をどう食べるのか?」という問題を解決していくからです。面白い仕組みだと思います。
 これらの運動ですが、一見、生協などを含め「女性中心」と思われがちですが、実はアイデアは女性が出したというよりも男性にあったのかなあ?という気がします。今日も生活クラブ連合会の会長の男性が話しをしてくれました。まさに男性に支えられてきた運動でもあると思いました。むしろ男性がアイデアを出し、それを女性が社会の中で実践部隊として活動しながら、女性自身を高めてきたように感じました。
 私は女性だけで何でも上手くいくとは思いません。やっぱり男性もいるからこそいいバランスの中で物事が動いていくのです。この間もコミュニティビジネスの話しを聞いた時にも同様の指摘がありました。そういう意味では生活者ネットワークの運動の中で、もっと男性の参加を求めていきたいものだとつくづく感じてしまいました。それには男性も関わりやすくするような仕組みも作っていかねばなりません。
 社会の変化は目まぐるしいと思います。いつも新しさをとり入れながら、その余裕を持ちながら構えていく必要があるんだという思いが一瞬ですが頭をよぎり、スーッと私の中に入ってきました。

投稿者 hisaka : 2003年02月15日

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