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2002年11月24日

有意義な2日間・・・日本自治学会に参加

 大阪、桃山学院大学で開催された日本自治学会に参加してきました。昨年は北海道大学で第1回の総会と研究会が開催されましたが、その時には「自治基本条例」の分科会があったこと、この学会が地方分権推進委員会に携わった学者や、「分権・自治権ジャーナリストの会」のメンバーの呼びかけでスタートするらしい・・・という興味もあり、会社の有給休暇を使って参加したことを思い出します。
 今回は分権型社会の目指す方向が大きなテーマでした。市町村の合併問題がホットなこともあり、学会の会員以外の行政職員や地方議員も多く集まり、総勢約500人弱だったみたいです。1日目は前兵庫県知事の貝原俊民さんの基調講演から始まりました。ご自身の経験もふまえながらの話は、研究会のテーマを導入としてとてもわかりやすいものでした。「官官分権」ではない、分権を進めるための自治制度の議論をもっと深める必要性、そのことを国民にどう理解を求めていくのかという示唆により締めくくられた講演は、理解を求められた国民自身の判断力を問われるものだったと思います。
 その後「分権改革の課題-地方制度、税財源、ガバナンスシステム」というテーマでの全体シンポジウムがあり分科会にわかれました。私は「自治と自治体の未来構想-市町村合併問題を通して考える」を選びました。というのは、私は「自治とは何か?その中での議会像は?」について自分自身の課題として抱えているので、このセッションに参加することで制度的な枠組が見えてくるかなあと期待したからでした。私が欲しいと思った疑問への答えはやはり結論的に言えば「住民自身で決めること」で、周りがとやかく言って構築できるものではないということです。それは昨日に引き続いた今日の分科会でも同様でした。
 今日は一番楽しみにしていた「地方議会改革の道筋-新しい制度と運用を探る」に参加しましたが、ここでもやはり同様のことでした。「議会の在り方については、住民が決めていけばいい」、そうすることが「住民自治」というのが回答でもあり、私自身が確認したことでもありました。議員の仕事って何?その中身から、議員報酬、もちろん議員定数も含めて、住民自身が議会や議員に求めることを整理して、自分たちの地域にふさわしい議論の場所、決議機関を設置すれば良いというわけです。私も同感のことです。やっぱり学者も明解な回答や明確な手段は出さず「地域の人たちで決める」との回答で終始することもわかり、それしか最終的な結論は出せないだろうとも思いました。
 現実に地方議会についての研究がそれほど進んでこなかった理由として、地方議会が研究テーマになるほど面白い対象にならなかったという残念な側面があります。地方分権になり地方議会の役割や存在が少しずつ重視されてきたことはうれしい一方で、「こうあるべき」という結論を誰一人決めつけてくれないことは、私にとってはちょっと苦しいことです。なぜなら住民で決めていくことの労を惜しむわけではありませんが、そのことの大変さは身にしみているからです。
 今日の指摘のなかで面白かったのは「地方議会の風景」の話です。そもそも二元代表制をわかっているのか?という事から派生するわけですが、なぜか議会の構造が議員内閣制の国会と同様、議員が登壇して議員のほうを向いて質問をする不思議を指摘されたのです。言われてみたら、本当にむずがゆい気がします。私が質問をする相手は市長であるのにも関わらず、再質問の時は別として、傍聴席と議員座席に向けて演説振舞うのでしょう?・・・とこんなことまでを視野に入れて「自分たちの求める議会」を地域ごとに議論すべきだということに大賛成です。
 午後は「地域システムの将来像」というテーマで再び全体でのシンポジウム。これは今回の研究会の全体の締めくくりとなりました。ここでもまた、私たちが何をどのように選択していくのかという「自己決定」に委ねられる時代が強調されていたと思います。その中にあって学者は一体何が出来るのか、そして議員はどんな役割を果たすのか?これについて私はまだ整理しきれていませんが、議員としてはある意味理想論な学者の話を耳にしながら、共感できる理想論をどう実践していくかが勝負だと思いました。「理想は理想」として置いておくこともでき、目の前にある現実を処理することだけで負われてはつまらないということです。理想絵に動きをつけていくのが議員の仕事としての面白さなんだろなあと改めて実感できました。なかなか難しいことですが・・・。
 とにかく2日間、とてもいい刺激を受けることが出来ました。アカデミックな議論に囲まれると勉強した!という気分に浸れるのもまたちょっとうれしいです。「住民自治」の大事さ、それをどのように切り開いていけるのか?を追求することは分権型社会を目指すには当たり前のことだと確信できました。あとはこれをどのように実現するかの中で私が動けるのか考えるだけです。

投稿者 hisaka : 2002年11月24日

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