今日はお誘いをいただいたので…「一粒の麦 荻野吟子の生涯」の上映会に足を運びました。今、この時代にも考えさせられる女性の地位や立場のことと重ね合わせながら、興味深く鑑賞してきました。
帰り道にパンフレットに目を通しながら、吟子さんが最も大切にしていた「人その友の為に己の命をすつる 之より大いなる愛はなし」(ヨハネ伝第15章13節)を繰り返し、確認をしておりました。この言葉どおりの行動実践をすることは簡単ではないだろうと思うものです。当時、女性解放の運動に関わっていた当事者はクリスチャンが多かったとのこと。男性も女性も平等の価値があるということを伝えてくれたのが教会であったことと深くかかわるようですね。作品の中で描かれていた光景なから垣間見ると「なるほどな」と思うものです。
日本で初めての女医である「荻野吟子」という名前とも初めて出会いましたが、彼女の生家は現在の埼玉県熊谷市にあることも知ることができ、記念館などもあるようなので、時間を見つけて足を運んでみたいと思いました。そして、女性蔑視を感じさせるような発言が度重なり取り上げられる今日この頃であり、まだまだ社会の中で女性が活躍をするという点においても、道半ばであるという事実にも目を向けた取組みにも少し力を入れていく必要があるなとも感じています。
男性しか医師になれなかった時代の話。女性が医療を受ける時の羞恥心…これは、今でも共通するものではないのかなと思います。病院を選ぶとき、「女医」がいるかどうかも判断する一つのものさしにしている場合もあるのではないかと。私はそういうところありますね。女性のお医者さんのところに行きたい…と探してしまいます。日本の女医の数は少ない。そもそも大学医学部入学における扱いも話題になった通りのことですね。
今は、ジェンダーレスの時代として言葉では語られるわけですが、「女性活躍」が期待されながらも、根本的というのか、社会に深くはびこっている深層心理が邪魔をしている場面は決して少なくはありません。まだまだ「男性中心」という現実を認めざるを得ません。
この作品の監督である山田火砂子さんは87歳。上映会の冒頭では「次の作品」への意欲も語られていましたが、その姿にも圧倒されるというか、素晴らしいエネルギーを感じたところです。「女性の生きざま」に視点をあて、彼女が私たちの世代に伝えたいことは何か、そのメッセージ、投げかけを受け止めたいものです。若い方にもご覧いただきたい映画ですが、会場はどちらかというと年齢層が高く…いい作品なのですが、「商業映画」ではない作品を広めることは難しいですね。