都立美術館へ行ってきました。現代水墨画協会が主催する全国公募の作品展です。そして、今回うれしいことに、文部科学大臣賞を受賞された方が大学の先輩です。「コロナだから、作品展への応募もいつもよりも数少なかったのではないかしら」とおっしゃるものの、そうは言っても、会場の作品だけでも200点以上あるので、きっと応募作品はそれ以上ということになるでしょう。会場で展示される作品として選ばれること自体大変なのです。
目利きではない私にはどれもこれも大作です。その中にあっての受賞とは、「すごい!」の一言しかありません。おめでとうございます。
白と黒で表現をする。そこに濃淡をつけていくことくらいはわかりますが、和紙のうえに「ポトリ」と筆から一滴…誤って落としてしまっただけでも大変ですよね。昔、書初めの練習などのとき、半紙に誤って墨を落としてしまったことのこと思い出します。こうした作品の場合には「白」の空間はとても大切ですから。汚すことはできませんね…。書道のときのように書き直しも許されないですから。慎重にというか、集中して作品作りをされていくのだろうと思います。しかも何日もかけて。そして、作品のサイズがとても大きいので、広々した専用ルームでもなければ仕上げまでするのも難しいだろうとも思います。全体の構図など離れて捉えることが必要でしょう。距離感などを出すためにも遠目に見て、微修正をしていくのかななどと思ったりしました。光加減を表現する難しさなど、長年やっていても思い通りにはいかなさそう。試行錯誤を重ねながら、表現の技法を取得していくのだろうなあと思うものです。とはいえ、普段、絵を描くときと同様に表現というのはいつも「一度キリ」のものですよね(ピアノも同じです)。その時の気持ちがそのまま表現につながっていくんだろうな…とか思いつつ、多くの作品を鑑賞させていただきました。
さて、上野公園。様変わりしていました。晴れていればもっと散策してしまったかもしれませんが、雨が降っていたこともあり、ただ横を急ぎ足で通過しただけなのですが。駅前などあまりにもすっきりしてしまって、私の知っている上野駅ではなかった…。前の上野駅は上野駅でそれなりに味があったようにも思いますが、しかし、あまりにもきれいになりすぎて、清潔感がアップしていて(それはそれでいいのですが)…びっくりしました。
公園があちこちでリニューアルされ、民間事業者とのタイアップも図られていて、それはそれでいい面もあるのですが、しかし、もともとその場所にあった「個性」をどう活かすのか?という視点、ますます必要な気がします。どこの駅に降り立っても、駅前風景が同じで面白みを感じないというか、駅前がリニューアルされるたびに多少の差はあれ、面白みが失われてしまったと感じることも多い…上野に限らずです…。まあ、同じ路線であれば、同じ鉄道会社で企画や運営をしていくわけなので「そうならざるを得ない」のかもしれませんが。
今日は雨だったので、また、いつか晴れだった時、そしてまた目的地以外にもふらふらしても不安の少ない時期に足を運びたいですね。都立美術館での企画展は軒並み中止になっているようで、がらんとしていました。カフェは閉鎖、レストランもほとんどというか、全くお客さんがいない状態…初めてみた光景でもありました。
人が多ければ多いでにぎやかすぎて、混みすぎていて…なのですが、人がいなければいないで…寂しさを感じるというのもまた勝手ですが、空いていてよかったのかわるかったのか…複雑な心境にもなったのでした。
こうして機会をいただかないと、なかなか遠くまで足運ぶこともなく今日は貴重な一日でもありました。文部科学大臣賞の受賞、本当におめでとうございます!(思わず、あの大臣の顔が頭に思い浮かびましたけれど)