なぜ、「学校給食センター」じゃないの?

福生市の「防災食育センター」見学に行ってまいりました。先日は内覧会があったようですが、稼働する前に見ておきたい…と欲張りなことを思ったりしまして、来週の竣工式典を前にご無理をお願いしてしまいました。

と言っても、無理くりに議長権限を行使したというわけではないです。あくまでもプライベートな活動です。なので、議長公用車ではなく自分で運転しました!(これもまた、私にとっては冒険)

実は福生市の川越教育長は多摩市の諏訪中学校、落合中学校で校長を務められたご縁があり、保護者や地域の方からの非常に信頼されていた先生でした。ですので、川越先生に近況報告をするつもりで、訪問させていただいたというわけです。福生の市議会議長さんは「川越先生が教育長に就任してから、教育費がどんどん拡充(充実)していく。」ってお話されていたように、福生でも多方面で実績を重ねられているようです。

そんなわけで、そもそも「学校給食センター」ではなく「防災食育センター」という名称にも、何となくセンスを感じていたわけですが、その理由はまた後ほど。

最新鋭の設備をフル投入してあるというか、過去から積み重ねてきた「学校給食センター」なる全国の事例をもとに建設された施設であり、あちこちにいろんな配慮が施してあり、当たり前のこととはいえ、目を見張るところばかり。

調理上入口の保管庫に収納してある「靴」「白衣」、一人ひとり専用の「爪ブラシ」、もちろん無駄に水道蛇口に触らなくてもいいように手洗石鹸も含めて、手を差し出せば自動にお水が出たり、泡が出てくるなどなど…。これはまあ、序の口というか、当たり前か・・・。

 

そして、野菜やら肉や魚やらが運び込まれて検収を受ける場所などはもちろん別々。1時間で840個のたまねぎの皮むきができる機械「玉ジジロー」!「野菜、和えもの室」の中には、コンビニサラダなどにも使用されている「ピュアスター」も配備!…これで生野菜も出せるようになるとか。そして、製品名で言えば「ヘルシオ」の大型版とも言える「コンビオーブン!」は、蒸気利用。ちゃんと焼き色ついてしまいます。

こちらの写真は汚染作業区域から見た図。左が「コンビオーブン」で右は「連続フライヤー」です。すごい・・・油が入っているのですが、こちら毎回毎回ちゃんと濾過もできる機能有!

そしてこちらが非汚染作業区域に移動してから撮影。9月からの稼働に向けて、調理員のみなさんたちが新しい設備を動かしている現場にたちあえて、ホントにラッキー!汚染作業区域と非汚染作業区域は完全分離をしていて、汚染作業区域担当調理員と非汚染作業区域担当調理員は日ごとにシフト制で交替します。しかも違うエリアを担当している調理員たちが交錯することもない。作業員も場所も完全に分離されていて安全衛生面の徹底がすごい!

「コンビオーブン」も「連続フライヤー」も汚染作業区域から投入し、非汚染作業区域で取り出すという感じ。「コンビオーブン」は両扉式。駅で乗った時と下車するときに開く扉が異なるエレベーターのごとく。

そして食器保管庫は1台ずつ…「天吊り式消毒装置」。

で、ここがすごい!

その1…「食物アレルギー給食棟」は完全に別ライン。ここも通常の給食棟のミニ版。7大品目のアレルゲンに完全対応できます。そして、こちらは完全民間事業者への委託。ノウハウを活用するためのこと。アレルギー給食棟への搬入口も搬出口も完全に別になっており、さらには…運び込むための車両も別!

特注の車です。ちなみに、通常の給食が運ばれるのは多摩市でもおなじみのトラックですね。

ということで、最新設備の整った施設は豪華とかそういのではなく、やはりいろいろ考えてあるなあというわけなんですが、「なぜ、防災給食センターなの?」…の秘密はコチラ!

その2・・・炊飯設備まであるのですよ!…なぜなら、炊き出しができるように。そして、なぜ「炊き出し?」…。

 

防衛省からの補助金が75%!!!・・・・ものすごい補助率でこの施設は建設されているのです。なので、「学校給食センター」ではなく「防災食育センター」という名称がついているのです。「平常時は応急給食機能を活用して学校給食の提供を行います」…つまり、ここは災害対応のために拠点施設になっており、日常的に「応急給食訓練」が行われているとの位置づけ。要するに緊急発災時には3日間の食糧提供を可能にする場所。」であって、理屈的には文科省の「学校給食センター」とは似て非なる施設なのです。「防災食育センター」では、日常が「炊き出し訓練」であり、トラックでの各学校へ運ぶのも「配達訓練」。

こうした補助金については、ちゃんとメニュー化されているとのことですが、福生市の担当職員さんは何度となく防衛省に足を運び、きちんと財源を確保するための調整などをされたようです。ちなみに、福生市の先行事例としては行橋市白老町とがあるようですね。横田基地のある福生市ならではといえば、ならでは・・・ですが、財源確保を図るために知恵を使い工夫することが私は素晴らしいと思うのです。

見学ホールは6メートル幅で、緊急時には避難場所にもできる規格です。都市ガスからダメならLPガスまで使える仕様になっていて、さらにはガスボンベまで使用できてしまう!「防災食育センター」の名のごとく。

また、立地している土地ももともと基地周辺の緩衝林で防衛省所管の国有地。ここも無償借受けですって!

 

以上、ざっと簡単に見学記録。多摩市の学校給食センターも次は建替えになるでしょうから。「お手本にできそうなところの情報を早いうちに収集しなくっちゃ!」との思いで福生市まで足を運んだのですが、施設設備ももちろん、財源手当てのことも聞いて、クラクラきましたけど、とにもかくにも「へー」「えーっ」「なるほどー」と驚きの連続、「給食試食」はしていませんけれど、お腹いっぱいで終了した見学でした。