2007年10月15日

「女性の人権」

 議員の活動や議員の仕事は自転車操業に近いところがあり、9月定例会が終わるとすぐに12月定例会に向けて一般質問づくり、その他の市政に関することなど情報収集が始めています。今日もそのために市民の方とお会いし、意見交換などをしました。

 ところで、週末の話題から報告をしたいと思います。土曜日、恵泉女学園大学でベアテ・シロタ・ゴードンさんの講演会があったので参加をしました。ベアテさんといえば、映画「ベアテの贈り物」でかなり多くの方に知られる存在になりましたが、日本国憲法第24条を起案した女性です。

<日本国憲法 第3章国民の権利及び義務>第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
昨年、女性センターのフェスティバルで映画を見て以来、直接話を伺える機会を得たいと思っていたので、その念願が叶いました。1923年のお生まれですが、年齢を感じさせない話しっぷりで、日本についても「日本の女性にはまだまだ可能性がある!」という力強いお言葉もいただきました。

 その言葉を信じて進んでいきたいですね。大学を卒業するまでは男女の違いで差があることをそれほど感じてこなかったわけですが、それが全くの勘違いだと気がついたエピソード。私が会社に入ってからのことです。「大学卒業したのに、どうして一般職なの?」と素朴に上司に尋ねられた経験がありますが、そのときには心底驚いたものです。「なるほど、それが古い人たちの考えなんだ・・・・。」と痛感したことは今でも忘れられないことです。
 
 「女性だから」とか「男性だから」ではなく、その人個々人の資質がきちんと評価されるようになって欲しいですね。どこを基準にして現在<今>を比較するのかにもよりますが、その昔よりは女性の活躍の場が増えてきたとは思います。でも、まだまだ「女性の人権」というカテゴリーを持ち、訴えていかねばならない状況があることもまた事実です。個人的には「女性の人権」と振り翳すことに少々ためらいもありますが・・・・。
  
 ところで、多摩市は議員に占める女性の割合が30%を超えていて、都内自治体でも(おそらく全国で見ても)トップクラスです。
 市民からは「女性議員どうしで連帯をして課題解決を!」という期待もあるように、「多摩市議会女性議員連盟」(という名前はあまり好きではないが)みたいなものが設置できるとより女性施策が進んでいくのかもしれませんね。議会改革を進める中の一つには「会派」で主張しあうのではなく、「議会」として議論をし合意形成を図っていくという大目標がありますが、「議員連盟」の取組みはその第一歩にできると思います。

 さて、東京ウィメンズプラザでは第20回東京国際女性映画祭が開催されます。そこで上映される映画のひとつに「シロタ家の20世紀」があります。監督は「ベアテの贈り物」と同じく藤原智子さんです。週末の予定で私は残念ながら足を運べなのですが、多摩市でも「ベアテシリーズ」第2弾で上映会を開催できるといいなと考えています。

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2006年12月20日

TAMA女性センター市民運営委員会

 明日が定例会の最終日になります。最終日の前日は休会です。事務整理日となっています。議会事務局では明日のための準備をしていることでしょう。

 私は今日は19時から行なわれた女性センター市民運営委員会の定例会議の前半だけ傍聴しました。というのも女性センターで相談員をしている方との懇談を行なう予定だと聞いたからです。ちょうど9月定例会の一般質問で女性センターの相談体制の充実を求めた立場としては、ぜひ聞いておきたいなと思ったのです。
 女性センターの相談員は嘱託職員、しかも勤務時間中もほとんどは相談予約でびっちり予定が詰っています。とてもとてもじっくりとお話を聞ける時間はありません。ヒアリングをするためには意見交換も含めて2時間ほどは欲しいとなれば、業務外の時間で対応していただくことになってしまいますし、ヒアリングを願い出ることにも躊躇してしまいます。そこで市民運営委員会にお邪魔することにしたのでした。

 さて、相談員さんの話によると、女性センターが開所した当時は相談件数も少なかったそうですが、最近は手一杯な状況にあるようです。特に面接相談では長いと2週間ほど予約待ちしてもらう場合もあるとか。相談があふれてしまって大変・・・という感じではないけれど、何とか範囲の中におさまっている、おさめているように思っているとのことでした。潜在的なニーズはまだまだ多いと言うことでしょう。現在は電話相談(半日)と面接相談(週に2回・半日ずつ)があるのですが、日数を増やすとしたら相談員が一人では対応しきれないという話でした。女性センター的には相談室が2つあるわけですし、施設的には十分対応が可能。相談日そのものの日数は増やさなくても、相談員の数を一人増やすこともできます。

 それから、私が9月議会で気になったことの一つには現在の相談員さんの専門外の分野にどう対応しているのかという問題がありましたが、やはり法律相談や医療相談などについては、現在でも相談できる場所の案内はするようですが、女性センターにて対応が出来るような体制があると尚、充実し、相談員の立場からも心強いとの話でした。心身も含めて健康問題での相談や離婚相談なども増えており、医師や弁護士などが顧問としてでも存在してくれるとありがたいとの話でした。
 例えば現在の体制だと、女性センターの相談室から例えば市が行なっている他の相談(法律相談・母子相談・健康相談など)につないでいく場合にも、優先的に予約が取れるわけではなく、また0から予約を取りなおすというような状況にあるようです。そのために相談者にとっては時間もかかりますし、何となくたらい回しにされているような気分もするかもしれません。もし、法律や医療分野についても専門的見地からアドバイスできる体制があると市民にとっては利便性は向上します。

 24時間対応で相談できる体制づくり・・・となれば、すぐにできそうにもありませんが、女性センターで現在行なっている相談事業を今よりも前進させるための工夫はいくつかできそうです。

 相談内容としては女性の生き方全般についての内容が多く、10代の高校生の進路相談もあれば、高齢女性(80代まで)の身の上相談などなど多岐にわたるようです。しかし夫婦関係を中心にして家族関係の悩み相談が中心になっているとのこと。また、女性のからだに関する悩み等もあるそうです。生き方についての悩みや迷いの相談はその答えを自分自身で見つける力をどう引き出せるのかが大切で、相談員はその答えを本人とともに一緒に考えたり、気持ちを整理するお手伝いをするのが役目だということ。一つの相談についてもとても時間がかかるとのことでした。
 そしてまた相談員は女性センター開所以来ずっと一人体制なのですが、相談者と相談員との相性の問題もあり、やはり複数いればいたに越したことはないとの話もされていました。

 
 懇談会は一時間余り、相談員さんがお帰りになった後は、別の議題に移ってしまったので、その後の議論は聞かずに私も帰路につきましたが、市民運営委員会では今日の懇談会を受けどんな議論がなされていくのか(もしかしたら後半に女性センターの相談事業のことが話題になったのかもしれませんが)今後も注目をしていきたいと思います。
 幸いなことに市長は女性です。その意味では女性特有のからだの悩みやこころの悩み(例えばジェンダーのこととかも含めて)を理解し、女性に共感できる気持ちが大きいと思っています。・・・・という意味で、タイミングとして、女性センターを拡充するためには最適だと考えているのですが・・・・・。

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2006年11月16日

女性が歩いてきた道

 憲政記念館で開催中の「女性参政六十年特別展」を見てきました。それほど大きな展示フロアではありませんが、関連する資料が並べてあり、時代を感じました。60年という時間の捉え方・・・「たかが60年、されど60年」という表現になるのではないかという気がしました。60年間の歩みを辿ってみれば、その積み重ねを実感する部分もありながらも、社会全体で捉えてみれば、まだまだ女性の発言力というのは強いとは言えないからです。
 展示の一部にもありましたが、列国議会同盟の資料から見ても、国会議員に占める女性の割合で日本を探しても・・・・下位のほう。社会のルールをつくる根幹である「国会」の場で活躍する女性が増えることが、女性全体の「発言力」に力をつけることになるというのは、地方議会の現状を見ていてもそう思います。実際に多摩市議会の場合も女性議員がわりと多いことで「女性の立場」とか「女性の視点」も活かし、大事にしなければいけないと‘一端は’意識をしている男性議員の方が多いだろうと思います。そのことだけでも効果は大きいのではないかと感じています。

 この特別展のホームページからも、ちょっとの雰囲気を垣間見れると思います。こういう展示を見ると資料を保存していくことがいかに大切かを知ることができます。今、多摩市の図書館でも多摩ニュータウンの資料を集めているわけですが、その資料をどうやって後世に伝えていけるのかという視点が求められているなあとふっと考えた帰り道でした。

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2006年08月28日

すくらむ21(川崎市男女共同参画センター)

 今日は9月定例会で予定している女性センターに対する一般質問の準備の一貫として川崎市を訪問しました。午前中は市役所に行き、男女共同参画室の担当職員の方に話を伺い、その後、この視察の一番の目的である「すくらむ21」に足を運びました。

 実はこの施設も・・・今年の4月から指定管理者による運営が始まりました。しかも・・・運営をしているのが東京電力の関連会社「TEPCOパブリックサービス」(詳細はこちら「事業概要」を参照)ということで、何となく・・・というか、ほとんど男女平等施策に縁遠そうな企業体。しかし、川崎市は将来性を期待して「TEPCO」さんを指定しました。
 これは個人的な感想ですが、例えば「すくらむ21」のホームページを見てみても「お役所臭さ」が一掃されている印象を受けました。

 
 実際に指定管理者による運営について行政の担当者に話しを聞いたところ、「正直言って、まだ始まったばかりなので。」というのが現状のようです。川崎市の場合には「相談事業」も指定管理者にお任せしているところには少々不安を感じます。今のところはまだ目立った問題は生じていないようですが、行政の他部門との連携や警察など他機関との連携等も必要になってくるのが相談事業だと思うので、指定管理者にそこまで任せてしまってもいいのかどうか今後議論の余地はありそうです。
 

 それから、もう一つはノウハウの蓄積ということです。当然ながら、今後は「すくらむ21」に関する運営全般面でのノウハウを取得し積み重ねていくのはTEPCOさんです。当面は5年契約ですが、5年後以降もTEPCOさんが運営事業体として継続するかどうか・・・見通しがあるとは言えません。当然ながら、TEPCOさんも採算が合わないなど判断すれば撤退を余儀なくされる場合があるでしょう。・・・・行政は継続して欲しいと願ったとしてもTEPCOさんには民間事業者としての考えまたもあるわけです。その時、行政はどうするのでしょうか?ノウハウの蓄積が0(ゼロ)になってしまった空白の5年間を埋めるのは相当きついと思われます。
 これは「すくらむ21」に限らず言えることですが、指定管理者制度を導入するということは決して行政が身軽になるというものではありません。例えば「すくらむ21」は、公営駐輪場や駐車場の管理とは異なり、特に「女性施策推進」という難しいミッションが与えられている施設です。採算ベースで切り詰め切り詰め、コスト削減だけに偏重してしまうことで、最悪の事態が訪れるでしょう。つまり、5年後以降の施設の担い手が不存在という場合も想定されるということです。
 要するに、指定管理者制度を導入に対する行政の構えが一つ大きな問題になってきます。コスト削減だけに囚われた民間センスの導入により、行政は痛い目にあうかもしれないのです。しかし、今のところこの部分についてはあまり語られていません。(きっと、「痛い目にはあわない」ということが前提だからだと思います。)
 実際のところ、「すくらむ21」の場合も‘トントン’の運営で進んでいるのが実態です。


 では、なぜ「TEPCO」が指定管理者を希望したのか。ここには男女共同参画の視点を企業内に取り入れていきたいと考える「TEPCO」側の積極的な理由が存在します。そこで運営スタッフの一部には、これまで「すくらむ21」の運営にあたっていた財団の職員を受入れ(もちろん本人同意の上で任用替え)、そしてまた館長(もともと非常勤)もそのまま継続し、TEPCOにノウハウがない部分にもしかるべき対応を図っています。その上で指定管理者のメリットが生きているわけです。
 最も活かされているメリットというのは、館長さんが実感を込めて話をしてくれたのですが、「意思決定がスピーディ」ということ。次々と事が運び、業務の進み具合がスムーズだと言います。この点は「なるほど」と思いました。


 館長さんに曰く、「TEPCOさんのネットワークを生かしながら、新しい展開ができる可能性も広がっている」と言います。行政にノウハウが蓄積されることも大事だけれど、民間企業が「男女共同参画」に取り組んでくれることで生まれる効果に期待していると言うのです。館長さんはもともと一市民として女性問題に携わってきた方です。工学博士の肩書きも持つ素敵な女性ですが、川崎市の女性施策の変遷をずっと見つめてきた立場からの発言には納得しました。企業や事業者に「男女共同参画」の視点を浸透させることがいかに難しいのかということです。


 行政、そしてまた「すくらむ21」にも足を運んで話しを聞きましたが、今の段階では「指定管理者」の評価ができるわけではなく、良し悪しの判断が出来るわけでもありません。毎日のように行政とTEPCOのマネージャーさんが密に連絡をとりあう状態が続いていると言います。
 でも私は、実はここが施設運営を上手くやっていく秘訣になるのではないかと感じています。先にも書いたとおり、指定管理者にしたからと言って、行政の責任が軽減されるわけではないからです。そう言う点で、指定管理者側といかに風通しの良い関係性を保持できるのか・・・ただ単に毎月の業務報告を収受するだけの関係ではなく、行政と指定管理者側が常に協議を重ね、議論出来る関係があることが大事だと思います。そこに指定管理者のメリットを生かしたより良い施設運営が出来るのではないかと感じました。

 それにしても、内実はわからないわけですが、TEPCOさんのように男女共同参画に積極的に取り組もうとしている会社には好感が持てますし、何となく女性が活躍できそうで、働いてみたいなと思える職場環境がありそうですよね。そういう点で言えば、TEPCOの企業イメージはアップしますよね。このことは指定管理者になる事業者側にとってマイナスにはならないはずです。 


 

 今日の視察もまた非常に示唆に富み有意義なものとなりました。ただ川崎市の事例がそっくりそのまま多摩市に当てはめられるとは思いませんが・・・・。

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2006年08月22日

女性センター応援計画?

 昨日のライツ国分寺(国分寺市の女性センター)に行ってきた勢いで、今日は急遽予定を変更してTAMA女性センターに行き、センター長の女性課長さんと意見交換をしました。一般質問は「女性施策について~女性センターの充実を目指して」というタイトルにすることに決めました。明日は、彼女の上司である「くらしと文化部長」とアポイントを取りつけました。実際に、一般質問の際、答弁をしてくれるのは市長もしくは担当の部長・・・・どこまで理解してくれるのかは別としても、とりあえず私の質問趣旨を伝えてこようと思っています。


 一般質問の質問事項として、女性センターに対する指定管理者の導入という点を尋ねたいと思っています。これに関しては、既に昨年の段階で「市及び他自治体の先行導入事例の成果や問題点等について調査・研究を進め、その施設に相応しい管理手法(指定管理者制度、直営+業務委託等)を引き続き検討する施設」に該当しているので、概ね今年度中に検討結果を出すとしています。
 けれども、はっきり言って、女性センターに指定管理者を導入することは施設的に考えても非常に困難だと思います。なぜなら女性センターの部屋というのはワークショップルームと活動交流室と相談室と市民活動情報センター内にある軽読書コーナー。女性センターがあるヴィータ・コミューネの7階フロアのたった一部でしかありません。
 指定管理者になる民間事業者もしくは団体側にもメリットがあるかどうかを考えれば、どうにもこうにもたったの一部のフロアだけを指定管理することのメリットはなさそうです。もともとヴィータ・コミューネは関戸公民館なども存在する複合施設なので指定管理者制度を導入しようとするならば、女性センターのみならず、ヴィータ・コミューネ内にある他の施設についても一括管理できる体制にすることが必要でしょう。そこで、当面は指定管理者を導入することは難しいと考えられます。


 大田区の男女平等平等推進センター「エセナ大田」は行政が大好きな「市民協働型」指定管理者制度導入に大成功している施設だったので、TAMA女性センターでも十分にその可能性を検討できるのではないか?とも思ったわけですが、第一に複合施設であるという点での難しさがあります。そしてまた第二には大田区方式を目指す場合に受け皿となる指定管理者になれる市民、支え手の存在の有無が問われるでしょう。・・・・この第二点目からしても、課題があると思われるので、指定管理者を女性センターに導入することを急ぐ必要はないと思っています。
 そのかわり、直営で施設運営をするならば、それなりの運営を目指してもらわねばなりません。まさに、ここが現在、女性センターが抱えている大きな悩みだといえるのです。


 大きな悩みとは、昨日の活動報告にも書いたとおりに、「女性センターの存在意義って何?」・・・その存在価値をもっとアピールしなければ、「存続価値なき施設」に追いやられる可能性が年々増しているという悲しき事実です。多摩市のみならず他自治体でも同様の状況が存在しているようですが、行政が直営で施設運営していくのであれば、今以上に女性センターパワーアップ計画を立てる必要があるのです。


 まず、必要なことは利用者の拡大、新しい利用者層の開拓。どうしても・・・「女性問題」というタイトルが付されてしまうことで敬遠してしまうというか距離感を感じてしまう人も多いはずなので、少し違った切り口から、気軽に取り組めそうな入口を作ることが大事だと考えています。一般質問ではそれに対する提案をしたいと思っています。


 それから、まだまだ女性センターにはやるべきことがあります。女性センターの設立準備会がまとめた報告書の中では、例えば「ロゴマークやシンボルマークなどの募集をしてはどうか」という提案もありますし、私自身はTAMA女性センターという名称にもう一つ、市民が親しみやすい愛称をつけるとか、女性センターで発行している「たまの女性」という情報誌についても、もう少し誰もが手に取りやすい名称に変更してみるとか・・・・小さな工夫ができると思っています。

 相談体制の充実に関しても、女性センターで取り組めそうなこととして「女性の体の悩み相談」というのもあると考えています。これは女性センターならではの事業として実施することが十分可能でしょう。その他にも他市の事例で言えば「法律相談」というのもあるみたいです。


 多摩市は女性市長。当事者の立場として女性施策や女性センターに対する理解ができて当然。女性市長が女性センターの存在意義や女性センターの可能性を伸ばすことができないというのは悲しすぎます。さらに、多摩市議会の状況も約3割が女性議員という都内でも女性議員の割合が高いとされている自治体なので、それこそ女性センターの役割や意義を見出せずに停滞させてしまうということもまた情けない状況とも言えます。


 というわけで、現在の女性センターを見ていると、私も「本当に女性センターっているのだろうか。」と考えてしまう節もあるわけですが、ここは、女性センター長のポストに初めて女性管理職がついたというところを転機と捉えて、よりよい施設運営が進んでいくように応援する立場にならなければな♪・・・って改心しているところです。なので、今回の一般質問は私なりには女性センターのパワーアップ計画、「応援計画」にできたらいいなあ・・・と思っていますが・・・。果たしてどうなるでしょうか?!

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2006年08月21日

国分寺市の取組みに学ぶ

 今日は国分寺市の女性センター「ライツ国分寺」まで行ってきました。目的はDV(ドメスティック・バイオレンス)に対応するために庁内に連絡会が設置されていると知ったからです。せっかくなので国分寺市の女性センターの様子も見たいと思ったので足を運びました。

 ヒアリング目的だった「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護に関する連絡会」については、だいたい半年に1回の年2回の開催、そのうち1度は研修会にあてているようでした。ちなみにメンバー構成については、相談が寄せられる窓口の関係する職員を中心に8名。住民票などを取扱う窓口業務を行なう職員や国民健康保険の業務に携わる職員、それから子どもの様子を通じて暴力の存在が明らかになる場合も少なくないので子供家庭支援センターの職員や学務課の職員も加わっています。「このような連絡会を開催することはとても大事だと感じている。」と伺ったのですが、それには同感です。例え、年2回だけあっても連絡会があることの意義は大きいだろうと思います。
 今、多くの分野で縦割り行政が言われ、横の連携づくりを進める必要性が指摘されていますが、各部署の担当者どうしの「顔を知る」だけでも大事なことだと思います。つまりやDV関連の横つながりをつくるときの責任者は誰なのかが明らかになるからです。
 多摩市の場合にはまだ、このような連絡会が設置されていないので、今後の課題として多いに検討に値することだと思います。
 

 ところで、国分寺市の場合には民間シェルターに補助金を出しています。暴力 を受けた女性が一時的に避難できる場所はまだまだ不十分だと言われています。そしてまた、民間レベルでのシェルターの運営は財政的にも非常に困難です。果たす役割は大きいにも関わらず、閉鎖を余儀なくされているところもあります。いつまで補助金を出し続けるのかという問題もありながら、今の状況の中では、民間シェルターの安定的運営を支えるのが自治体の役割としてあると考えているというのが国分寺市の見解です。
 ・・・・なんと先方から反対にたずねられてしまったのですが、「多摩市さんは『民間シェルターの設置促進』が行動計画に載っていますけれど、どうなんですか」・・・・「あっ、ええ、・・・・一応載せてあるみたいですね・・・・・・。」
 多摩市ではこの分野ではほとんど取組みは進んでいないのが現状です。緊急的に一時保護をする仕組みはありますが、中間見直しが行なわれた行動計画をみても積極的に取組むわけではないことが一目瞭然。なぜなら、中間見直し版には各事業、項目に数値目標が設定してあるのですが、『民間シェルターの設置促進と支援団体の育成』に関しては数値目標が掲載されていないからです。(9月の一般質問で聞いてみる必要がありそうですね。やるつもりのないことまで行動計画に載せる必要はないと思いますし・・・・。)


 その他、もろもろ意見交換をしてきたのですが、やっぱり思ったことは適材適所で職員が配置されているかどうかが鍵を握るということです。国分寺市の場合も男女平等人権課長さんは女性で、担当の職員の方も女性でした。たったの2名でやっているという状況が涙ぐましいと言う、男女平等問題に関わる職員はどこの自治体でも少数精鋭でやるしかないのは同じだとまた認識しましたが、「やる気がない人が担当になってしまうとその職員自身も市民にも不幸だ。」というのは本当にその通りだと思いました。
 多摩市の場合には私が期待しているのは、ようやっと担当課長さんが女性に変わり、女性センターに常駐していること。担当職員が努力をしていても、課長さんの理解がなければ空回りしてしまう場合もあるわけで、その点では今年から女性の課長さんになったことで変化が期待できます。以前から検討していたのかもしれませんが、昨日の広報に掲載されていたように明日から「女性センターの図書の貸出」がにはじまりますね。これも変化のひとつだと思います。

 正直、女性センターはその存在意義を問われていると思います。それは多摩市のみならず他市でも同様、国分寺市でも同じです。市民と上手に連携しながら女性センターの活動をいかにつくることができるのか・・・そして、そこにやる気のある職員が存在しなければならない・・・この2つの要素がなければ、女性センターはどんどん後退していく気がしています。
 女性センターを設置するまでの市民の気運、もりあがりというのも結構悲しいもので、女性センターがひとたび開設されてしまうと、それ以降に継続させていくことに一苦労・・・これは市民サイドの抱える問題点とも言えるかもしれませんね。


 そう言えば、もうひとつ。国分寺市では男女平等条例の制定も目指しており、ほぼ原案が策定されつつあるようです。行動計画を進めるためには条例が必要という認識からでした。ここは多摩市の市長とは認識が大きく異なる部分でした。

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2006年08月01日

人・ひと・ヒト

 大田区の女性施策について視察に行きました。まずは男女平等推進室の担当者からヒアリングをし、大田区の男女共同参画プランを中心に、大田区の女性施策の歩み、現在の取組み状況や課題などを聞いてきました。

 その後、本日の視察メニューの最大目的である「エセナおおた」に足を運びました。ここは大田区の男女平等推進センターですが、指定管理者による運営が行なわれています。素晴らしい成功事例だと思えるわけですが、そのことは、とにかく全国各地からの視察に忙殺されているという状況にも裏づけされています。指定管理者は「NPO男女共同参画おおた」なのですが、もともとは「エセナおおた」の区民自主運営委員会が活動が、男女平等推進センターの指定管理者になるためにNPOにまで発展してしまったという事例です。

 と言っても、ここに至るまでにはもちろん歴史の積み重ねがあります。もともとは社会教育施設としての「婦人会館」がスタート、そこから「女性センター」、そして「男女平等推進センター」と時代とともに衣替えしているのですが、最後の「男女平等推進センター」に変わる際、教育委員会所管の社会教育施設から、市長部局管轄の施設へと移管されました。この最後の衣替えにあたり、大幅な施設改修が行なわれたのですが、それが大きな転機となったようです。
 なぜなら、施設改修の時、区民とともに数多くの場所(都内はほとんど)の類似施設を見に行き、理想的な施設のあり方を検討したという経緯があり、それを踏まえて、活動拠点としてリ・スタートしたのが「エセナおおた」であり、同時に区民自主運営委員会が発足しているからです。

 区民自主運営委員会は当初、「エセナおおた」の事業について、講座などの企画運営を一部担当してました。はじめは行政が直接企画する講座などもあったのですが、そのうち、全ての事業企画を運営委員会が担当するようになり・・・・そのなかで、「施設の管理運営までやれちゃうのではないか?」という市民からの思いが現在のカタチに結びついているのです。

 さて、大田区の事例ですが非常に稀有な事例?・・・かと言えば、既に多摩市の中にも同様の取組みがありますね。例えば地域のコミュニティセンターについては、施設の設計段階などから市民の参画を求めてきましたし、完成した後も市民に管理運営を任せています(かつては事業委託でしたが、今は指定管理者。)
 そして、もう一つ。多摩市にも「TAMA女性センター」は存在し、市民運営委員会が設置されています。ここもある意味で区民自主運営委員会と同じような役割も担っています。
 この2つの事実に着目をすると・・・・「多摩市でも十分にやろうと思えばできそうじゃないの!」と思ったのですが、現実的にはそんなに簡単にいくとは思っていません。これについては、しばらく頭を働かせ、ない知恵をふり絞る必要がありそうです。


 というわけで今日のまとめ。

 いろいろな成功事例をみていると感じることは、やっぱり「人」「ひと」「ヒト」が大事だと言うこと。「エセナおおた」の運営をしているNPOの理事長さんのパワーたるや素晴らしい!大田区で女性問題に関わる活動を初めて以来数十年なのですが、ものすごく発想が柔軟で時代の変化を読み取る感性にたけている方でした。さまざまな考え方の人がいること、若い人たちにも積極的に関われるような雰囲気づくりがポイントです。強力にフェミニズムを主張することが逆に言えば男女共同参画や男女平等の壁になってしまう場合もあると言います。
 「男女平等推進センターがなくなるほうがいいんだから。」という発想の下で、「エセナおおた」の要になっているわけなので、この場所の運営がどのように展開されているのかが想像できるかと思います。「男女平等」をふりかざすと逆に敷居の高い施設になってしまう恐れ・・・・これはズバリ本質部分だと感じます。
 男性にも利用される場所(多摩市の場合にはTAMA女性センター)になるためには・・・・・?多摩市でも課題になっています。久しぶりに私の中ではヒット!一般質問をつくるためにヒントを得られた視察になりました。

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2004年08月28日

誤った認識、ゆがんだ認識・…

 月に一度の都議会との情報交換会が開催されました。全国紙での報道になった社会科の教科書選定の問題、男女混合名簿のこと、学校給食の牛乳供給、そして特別支援教育のこと…とかく東京都の情報は膨大です。その中から優先順位をつけながら、特に地域(多摩・稲城市)と深く関連するようなことを中心に意見交換などをしました。

 教科書選定のことは言うまでもなく「歴史」教科書のことですが、新設される中高一貫制の都立校(中学校用)、そして一部の養護学校(中学部)で、来年度から「新しい歴史教科書をつくる会」を中心に編集された『扶桑社』のものが使用されることに決定しました。実際にこの教科書を手にとってみたことはありませんが、自分の知り得る限りで判断するには、やはり生活者ネットワークでも主張しているように、この教科書についてはいかがなものかという見解です。この新しい歴史教科書ですが、何が古いとするかはわかりませんが、ここに新しい歴史観が存在しているわけで、賛同者たちは既存の教科書について「誤った歴史認識」に基づいているとしています。事実と真実との関係については常に問題にされるところですが、史実はきちんと捉えて後世に伝えていかねばなりません。歴史からは多くのことを学べます。

 さて、この歴史教科書問題で引用される「誤った認識」…この言い回しは「ジェンダーフリー」のことでも使用されます。何でも「ゆがんだジェンダーフリーという認識」に基づく男女混合名簿は使用してはならないのだそうです。この度の都教育委員会の方針です。
 現在、男女混合名簿は各学校の校長先生に使用不使用の判断が委ねられています。これは内閣府の公式見解でもあります。多摩市内でも男女平等という観点に基づいて男女混合名簿を使用している学校があります。私が小学校の時には名簿順とは男子が先で女子が後でした。それを考慮してか(私自身が実際に経験したわけではありませんが)、話しを聞くところによれば、女子を先に男子を後に…として点呼する学校もチラホラとあったと聞きます。
 しかし、今は「混合」です。名簿の在り方が男女平等観を左右するのかどうか…これにはその通りだと言い切ることはできませんが、実際に私の経験では男子先は‘普通のこと’でした。そのことが男女差別とは思ったことはありませんし、男女の区別だとくらいに感じていたと思います。いつでも男子が先に…ということがおかしいと感じた記憶はありません。でも、男女区別もしないで「混合名簿」をと主張する考えにはなるほどなと思います。これが男女平等観にどれほど影響するのかはわかりませんが。
 これについては、国からも「ジェンダーフリー」という用語の定義が定まっていないという見解が出され、この用語には誤解や混乱があるとしています。この方針を受けてなのかもしれませんが、「ゆがんだジェンダーフリー」観に基づく男女混合名簿の使用は認めないとする東京都の方針には、「はぁ…」とため息が出てしまいます。

 「ゆがんだ」とか「あやまった」とか…都合良く、便利用語的に使用されている気がしてなりません。価値観をどう育てていくのかには教育は重要です。そして価値観などは時代とともにその内容が変質し変容する部分があるのも当然です。でも大切なこと、見失ってはいけないところがあります。それをどう捉えておくのか…正面から議論できていない状況があるのではないかと感じます。

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2004年02月14日

「男が飛びまわっていてもまちづくりはできない!」

  静岡市に行ってきました。静岡市内ではありますが、旧清水市です。合併をして巨大都市に生まれ変わった静岡市ですが、旧清水市にしてみれば吸収されたかたちのようです。
 旧清水市内で活動している色々な市民グループの連合組織?(みたいな感じ)である「清水ネット」の主催で開催されたフォーラムに参加してきました。清水ネットでは毎年学習会を開催し、今回で5回目を迎えたそうです。一昨年には自治基本条例のことについてフォーラムを開催していますが、その際に多摩市の事例について私に問合せがありました。それをご縁に今回のフォーラムのパネラーとして出席を依頼されたのでした。
 インターンの学生二人とともにお昼には現地に到着し、フォーラムについての簡単な打ち合せおしながらランチをとりました。清水駅は大々的なリニューアル工事中のようでした。駅前の再開発が進んでいるそうですが、久しぶりにあのような大規模な公共事業を見た気がしました。これも‘合併’に依拠することなのかな?とか思いながら眺めました。

 さて、今日のフォーラムのテーマは「男女共同参画とまちづくり」でした。パネラーを引き受けたものの、後からテーマなど詳細を知らされ、「げっ、これは私にはちょっと難しいテーマなのでやっぱりお断りしようかしら」と一瞬迷ったのですが、勉強の一貫だと考えて「恐々と参加した…」のが正直なところでした。というのは、このフォーラムのパネラーは3名で、一人は富士市議の女性、そして私と、もう一方が男性でしかも「自治会連合会」の会長さんだったからでした。ものすごく異色の組合せです。そこに私はちょっと好奇心がわいていました。

 フォーラムは二部仕立てで最初は「男女共同参画」について東京女子大学の矢澤澄子先生の基調講演、そしてパネルディスカッションという構成でした。基調講演を聞きながら、やっぱり私は「男女共同参画」について心底理解しているわけではないなと感じながら、次のパネラーとしての役目をどう果たせばいいかしら?と必死に考えていました。
 何しろ富士市議の女性はこのテーマに深く関わりながら議会活動をされてきた方のようで、私とは随分と捉え方や考え方に違いがありそうだとお昼の打合せの時に感じていたからでした。このフォーラムをぶちこわすようなことはしてはならない…というのがエチケットですが、その中で一体どうやって自分の意見を述べていけるのか?困ってしまいました。
 私は困ってしまえば、すぐに開き直る面もあり…結果「いいわ、今、自分が考えていることを正直に言おう。」ということに決めました。パネルディスカッションが始まると発言順が1番目と言うことで、ここにもプレッシャーがあったわけですが、まずは多摩市では土地柄的に旧清水市とまったく異なり、自治会・町内会は組織率が高くないことや、女性がまちづくりの中ではかなり頑張っていて、むしろリタイアした男性たちを地域の中でどう活かしていけばいいのかが課題になっていることなどを前提にして話を始めました。そして正直に言ったのは「私にとって男女共同参画という政策課題の優先順位はそれほど高くありません」と述べました。
 というのも私は「男女不平等」と強く意識させられるような場面にあまり出会ってこなかったと思われるからです。それはとても恵まれていたとも言えますが、「男だから」とか「女だから」みたいなことで自分に大きな不利益を感じたことがあるかといえばほとんどありません。もちろん社会全体を客観的に捉えればまだまだ女性という性がネックになる部分もあるとは思いますが、自分自身として体感したことがないというのが本音だからです。それは事前にインターンの学生とも話をしましたが、彼らもやはり同じような感覚でした。むしろ「女性のほうが得している感じ。」と思える場面もあるそうで、これは私の「女に生まれてよかったわ!」という部分と一致しています。そこで、一若者としての感覚をご披露しました。ここにはかなり「世代間ギャップ」が浮き彫りにされ、参加者はとても面白く話しが聞けたという感想を持ってくださったようです。

 私自身は男らしくとか女らしく…とか言う部分を大事にしたいと考える人、もちろんそう考えている自分自身には責任を持ってもらう必要がありますが、別にその生き方を否定しようとは思いません。それはそれでいいと思います。要はその人自身が自分の生き方に納得できればいいわけで、その価値観を他の人に押しつけることこそ私はとても迷惑だと思っています。…と言っていることに私の理解不足があるのかもしれませんが、どうも私は今までの「男女平等」の流れに自分自身がしっくりと行かない部分を感じるのです。
 コーディネーターの方が上手にまとめて下さり、「岩永さんの世代は今まで男女平等を切り拓いてきたという積み重ねの上にあるんだなあと感じますね。」と言葉を添えてくださったので、何とかパネルディスカッションもかたちになったように思いますが、パネラーとしての私は、もしかすると今回の趣旨にはあまり添えないような発言をしてしまったかなと反省もしました。

 ところで、何と言っても私は自治会長の男性の力ってすごいなあと思いました。この会長さんの出演により会場の半分は男性でした。そして、なによりもこの会長さんの「男性だけで飛びまわっていてはまちづくりはできない」という言葉が一番印象に残りました。彼はその考えの上に立ち、自分の地域に関しては今まで男性の役職だと考えられていたし地域役員に女性の力をどんどん生かしていきたいと実践している方でした。旧清水市というところはとっても保守的な地域で例えばPTA会長は男性が就くという慣習がありそうな場所です。ちなみに富士市議の方は富士市初のPTA女性会長だったそうです。ここも多摩市とは随分と違った土地柄だとわかります。
 私は地域の慣習を変えていくために孤軍奮闘している会長さんにますます頑張ってもらいたいと思いましたが、「自分はもう何年も会長をやりすぎている、長すぎるんだよ。」という自覚があるようで、おまけに「さまざま自治会など70、80代の人が会長をやるというのはよくないよ!」と歯切れの言い発言も飛び出し、そのことがとても新鮮に感じられました。

 女性の立場から「男女共同参画」を語るのではなく、男性の立場から「男女共同参画」が語られる時、その発言の深みがとても増すと感じました。
 「男女共同参画」という部分に対する私の認識はまだまだ…そのことだけははっきりと自覚した1日でした。 

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2004年01月22日

行きすぎたフェミニズム?

 久しぶりに東京ネットの女性部会に出席しました。なかなか日程が合わなかったりと出席していない間に、会を重ねているわけで、一度欠席してしまうと何となく出ていき辛さがあります。とは言え、他の地域の議員との情報交換ができるので貴重な時間でもあります。

 「女性部会」というのは、その名の通り、いわゆる男女平等という視点に立ち自治体政策の調査活動などをするところです。全国的にも‘女性バッシング’の波が広がっているようですが、東京都でも都知事の強硬な方針により「女性」施策が後退しているとネットでは評価しています。特に都知事の「ババア発言」は有名です。都の方針がどのように各地域に影響するのかについては、私ははっきりとつかめていませんが、都議の方の話では、東京都が女性財団を廃止したことなどもあり、各地域での女性施策の方向性などが大きく変わってきたということです。
 多摩市では4月の組織改正で、今まで「男女平等・市民活動推進室」が整理統合され「女性センター」部門は残るようですが、「男女平等」の言葉が消えてしまいます。これは人権の問題なので、そちらの方と一緒にしましたとの説明でした。もちろん、納得することはできません。国では「男女共同参画」部門をしっかりと独立させ、推進している状況にありますが、なぜそうなのか?について以前にもたずねたことがありますが、市のわかりやすく明解な説明は未だ聞いたことがあります。「一定程度進んできた。」らしいですが、一定程度の中味が問題なのにと思っています。
 この状況は他の自治体にもあるようで、世田谷区でも今度の組織改正により(これまでは男女とこどもが同じ部門だったそうですが)、男女平等の部門はなくなり(多分どこかに吸収され)、そのかわり「こども課」というのが独立してできるそうです。多摩市と同じです。多摩市には「こども青少年部」が設置されます。中途半端に福祉部な観点と教育委員会観点が入り混じってできる部だと私は感じていますが…。

 さて、もちろん男女平等をもっと進めていく必要があると思います。女性部会では現在、パート労働の問題でプロジェクトを立ち上げ、今、話題の年金問題についても学習会等を企画しています。特に年金問題では専業主婦の優遇、「第3号被保険者」を廃止し、個人単位の制度へとかえるべきだと主張しています。これを各地域でどうしていくか?といえば難しい面もありますが、ネットの考えでは「個人の自立」を進めるという視点にたち「女性問題」を考えようとしています。

 …とこのような意見交換などをしましたが、その中である地域の方から苦々しい話を聞きました。というのはその地域でフェミニズム運動をしているグループがあるそうですが、そのグループはとにかく行政の「女性施策」が自分たちの思っている通りに進まないからということで、とにかく批判だけをするというのです。住民運動などは一点集中型で活動をするからこそ成功する場合もありますが、特に社会の意識の底上げを図りながら…と進めなければならない活動の場合、あまりに批判や非難をしてばかりいると逆に潮が引いてしまう場合があります。その地域では女性施策について、あまりの激しい糾弾的な行政批判が飛んでくるために、残念ながら行政との距離がどんどん離れていっているというのです。それについて「行きすぎたフェミニズムと言うのか、少し形がいびつになりつつある。」と表現をしていましたが、何となく私もその状況が思い浮かび、社会の流れをどう掴み、自分たちの正しいと考えるところを主張していくのかは難しいなと思いました。その方は「女性施策は交代させたくないし、何かしらの行政に対して働きかけはしたいけれど、今、腫れ物に触るようになってしまったら…」と困った様子でした。例え、ちょっとしたリスクがあっても「あえて発言をしなければならない」時もあります。その見極めるセンスを磨かなければいけないなあと思いながら、帰りの電車を過ごしました。

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2003年07月14日

女性をめぐる課題は・・・。

  多摩市には「女と男がともに生きる行動計画」があります。それによればいわゆる「男女平等条例」の制定をすることになっています。けれども今のところ女性施策を推進する基本軸ともなれる条例制定をする目途はたっていません。
 行政の説明に寄れば「実効性」の問題だといいますが、そもそも「実効性」を求めるのなら、「実効性」がある条例、ない条例を判断する指標を教えてもらいたいなと最近考えるようになりました。条例を制定してもアクセサリーにしか過ぎない・…というのも一つの考え方ですが、条例を制定しなければ「実効性」を持たせる前段階の社会整備…特に‘意識’をどう変えていくのか?という部分についてすら出来ないのでは?という危惧があります。
 だけど何でもかんでも法律や条例としてルール化してしまう社会は息苦しい世界です。何のために条例が必要なのかを改めて問い直しながら、社会課題を解決するための手段としてルールを整備していくのは重要なことだと思います。

 女性をめぐる課題は男女平等に始まり、ドメスティックバイオレンス、パート労働、年金、リプロダクティブ・へルスアンドライツや夫婦別姓、シングルマザーなどなどがあります。けれども実はこれらの問題は女性だけではなく男性の問題でもあることが、よくよく考えればわかると思います。でも、あまり理解されにくいのが現実です。最近は政治家の「女性蔑視」発言がとりだたされていますが、なんて認識不足で低意識で配慮に欠けるのか…と思わずに入られません。
 でも、それに対して腹を立てているののは「いかにも女性」…そして「野党側」という構図でメディアも取り上げているように思います。私は男性たちがどう受け止めているのかについてもっと取材してもらいたいと思います。
 
 私は今、多摩市の中に一番実現させたいのは「相談窓口」の充実です。現在も相談を受付しているのですが、ほとんど相談業務があることすら認知されていないし、相談が殺到したとして、それに対応しきれるだけの体制が整っていないからです。
 ドメスティック・バイオレンスにかかる法律ができてから、各自治体では相談窓口を拡充しているそうですが、相談件数は年々増加しているそうです。相談件数が増加しているからドメスティック・バイオレンスも増加している…という問題ではありません。もちろんまだまだ見えないところに潜んでいるわけですが、いかに多くの人たちが安心して相談できる場所を求めているのかがわかります。
 多摩市の実態としても、なかなか正確には掴めないわけですが、相談体制をまずは確立しなければ、正確とは言えないまでも現状把握すらできないように思います。この問題をとってみても女性だけのものではないはずです。

 女性施策は「女性の人権」を主眼に置きながら進められてきた傾向は強く、「男女平等」と言えば、何となく一線画されるような雰囲気があったように思います。実際に今でも多かれ少なかれ存在するのではないでしょうか?でも、そのことが社会全体にとって価値があることを男性側の視点も取りいれながら、もう一度整理し直す必要があると思います。女性の働き方を考えながら、男性の働き方を見直せば、子どもが生まれたというのに、次の日から残業しなければならない状況は改善できるかもしれません…という風にです。

 都内各地から集まってメンバーが構成されている東京ネットの女性部会で勉強を積み重ね、情報交換をしながら、多摩市の女性施策へのヒントを得ていきたいと考えています。

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