2007年12月20日

12月定例会 代表者会議

 今日は代表者会議がありました。傍聴はしていませんが、報告を聞きました。明日の新聞に掲載されるのかもしれませんが、職員が個人情報のデータを紛失してしまったようです。夕方から記者会見をすると聞きました。その後の対策や情報管理体制の再確認など緊急対応が図られるようです。

 さて、今日は午後から学習会に参加し、来年から始まる「特定健康診査」と「特定保健指導」の話を聞いてきました。これについては多摩市のホームページにも情報が掲載されていますし、地域説明会の開催もあるようなので時間がある方はご参加をおすすめします。でも参加したところで、多摩市の職員が十分なる説明が出来るかどうかは疑問です。制度が始まることは決まっていても細かい点などについては、現段階で・・・・厚生労働省そのものでも決めきれていないことがたくさんあるそうです。説明会を開催しなければならない私たち自治体の立場になってもらいたいものです。

 今日の説明を聞く限りにおいて、「特定保健指導」の進め方があまりにも馬鹿馬鹿しくて笑ってしまいました。これは、「特定健康診査の結果、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者または予備群と判定された方は、保健師・管理栄養士・医師などの保健指導スタッフからアドバイスを受けながら、食習慣の改善や運動習慣定着など、生活習慣の見直し方法を選び、それを実践していきます。」(多摩市公式HPより)なのですが、一体どういう指導かと言うと・・・・・それは「支援A」と「支援B」とに区別されて実施されるのだそうです。特に、「支援B」は「はげまし」なんだそうです。つまり、電話などで「がんばっていますか。」「ちゃんと生活を正していますか。」とか・・・そういう声かけレベルのことを実践するのが「支援B」に該当するとの話です。
 おまけに、生活習慣改善日記みたいなものをつけるとか・・・そんな提案もあるようですが、いかに現実離れしているものであるか・・・。小学校時代の宿題のようですね。

 私はそんな説明を聞いていて思いました・・・・・・厚生労働省全体でまずは「特定保健指導」のモデル実験でもしてみればいいのではないかと。指導なんていくらやったって・・・・健康問題は最終的には本人の問題で口うるさく指導したり、丁寧に指導したからといって解決されるものでもないですよね。もっと根本的に見直すべき問題があるのではないかと思います。愛煙家に「健康には悪いから控えたほうがいいですよ。」と言っても、「別にそんなこと構われたくない。」と相手にされないのと全く同レベルで語れることではないでしょうか。


 とりあえず、保健指導については、どれだけ指導したのかというのをポイントに換算し達成度を測定するようですが、ただ単に電話やメールで「はげまし」のエールを送っただけでもポイントが加算されることがいかに無意味か・・・想像に難くありません。


 というわけで、制度の内容を十分に理解しているとはいえない私が、今日一日の説明だけで判断してあれこれいうことはできませんのでこのあたりにしておきますが、まずは厚生労働省で働いているみなさんがこの制度に基づいた実践で、省内には生活習慣病0(ゼロ)を目指してもらいたいものですね。

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2007年11月15日

後期高齢者医療制度

 来年4月から後期高齢者医療制度がスタートします。75歳以上の高齢者が対象の制度ですが、まだ全体像が固まっていると言うわけではなく、ちゃんとスタートできるのかどうかすら不安になるような状況にあります。社会保障制度は「持続可能な制度」に変えていくことが大きな課題になっていることは言うまでもありませんが、制度変更に頭の中を追いつかせることが大変すぎて困ります。今日は制度について話を伺いました。


 この医療制度は運営するのが都内62の区市町村による「東京都後期高齢者医療広域連合」で、保険料の決定や医療給付などを行います。けれど、被保険者証の受け渡しや保険料の徴収業務を行うのは多摩市。なので、保険料支払いに対する市民の訴えは矛先が多摩市に向いてしまうのは当然のことです。国の制度変更に伴うものなので、地方自治体はどちらかと言うと粛々と指示通りに動かざるを得ないわけですが、実際に市民からの苦情がぶつけられるのは市町村の窓口。市町村がジタバタしてもどうにもならない問題とはいえ、市民からの切実な訴えが日々届くのだろうと予測されます。

 もちろん保険料については負担能力によって軽減措置が設けられていますが、先般の報道では一人平均10万2900円(年金年額250万円)と見込まれています。高齢者にとって、この数字だけ見るともちろん「負担増」と感じると思います。それは当然のことですが、それでも・・・・・・高齢者の方々に負担していただくのは全体で必要な医療給付費1割部分。今後、高齢者がますます増えていくことを考えるとお先真っ暗という感じになります。

 ちなみに、昨年度のデータですが老人保健制度の医療給付費。高齢者一人当たりの給付額は下記のとおりとの話。(但しこれは65歳以上一人あたり)
 東京都  80万9112円
 全国    83万384円
 福岡(全国最高) 102万5162円
 長野(全国最低)  68万6千円

 「うわっ!すご。」
 一緒に今日の学習会に参加をしていた方々は「私はそんなに医療費かかっていないわよ。」などなどとぼやき、つぶやきが・・・・。参加していた方々はこの数字に驚かれていました。高齢者の立場からすると「負担は困る」となるわけですが、冷静に考えると・・・・・ため息と将来への不安感で会場の雰囲気はだんまり・・・・・「負担せざるを得ない」とも判断できるという数字が示されているのかもしれませんね。
 それだけに、制度がきちんと運営されていくのか、そもそも制度そのもののことが変更されることも十分に周知されていないのではないか、そして何よりも自分の保険料負担は一体どうなるのか、きちんと理解して納得してから保険料を納めたいという意見が多く出されていました。


 多摩市の状況を考えても、制度の全体像が固まっていないので、確定情報をなかなか流すことができないのかもしれませんが、来週の保険料徴収通知に慌てて市役所に問い合わせをする・・・・という方々もきっと多いのではないかと思っています。一応ホームページには最近の更新で掲載記事がありますが、これを読んだだけでは全くわからないと思います。まずは今後、市民の方に制度変更のことをわかりやすく伝えることが多摩市の役割になってくると考えています。


 この制度で最も危惧されるのは責任主体があいまいになる部分が出てきそうなこと。苦情処理などに関しても誰がどんな風にどんなかたちで対応するのか・・・・はっきりいって見えてこないのが現状です。

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2007年06月06日

認知症を防ぐ!

 高齢福祉課が主催をした認知症予防をテーマにした講演会に参加をしました。平日の昼間の時間帯に関戸公民館のホールで開催する日程について、人の入りはどうなのかしら?と思っていたのですが、会場に入ってビックリ!空席はまばら。もちろん参加者の多くはどちらかと言うと50代半ば以上とお見受けしましたが認知症に対しての関心の高さを知りました。

 本日の講師はNPO認知症予防サポートセンターの釘宮由紀子さん。講演会の内容は「認知症に強い脳をつくる」ということ。それについてはホームページにもエッセンスがのっているのですが、常に脳を働かすというか脳に刺激を与えるというか、要するに「知的な脳の機能をたくさん使う人は、認知症の発症率が低い。」ということになりそうです。
 高齢者になると趣味活動をなさる方も増えるわけですが、編物やカラオケや書道など「手続き的な記憶」でやりこなせてしまうような趣味よりも、旅行やパソコンや、麻雀、囲碁・将棋などの方が認知症予防には有効との結果が出ているそうです。ちなみに、旅行についてもパック旅行のようにただ参加する旅行ではなく自分で計画からたてるような旅行にすることが必要だとか。特に意識をしなくとも、楽しい余暇活動をすることが自然と認知症予防につながることが理想ですね。

 ちなみに認知症の有病率ですが、2001年の調査結果から下記のように推計されるそうです。(配布資料より)

  65歳から69歳までは1.9%
  70歳から74歳までは4.5%
  75歳から79歳までは8.8%
  80歳から84歳までは18.1%
  85歳以上は33.9%

 やはり加齢とともに有病率が増加していることがわかります。つまり、長期的に続けられる余暇活動が必要ということになるでしょう。釘宮先生が活動をなさっているNPOでもそのためのプログラムの普及をしているようです。
 昨年度、多摩市でもこのプログラムに基づく活動で3グループが誕生し、現在も自主的な活動を続けているとか。今年度も本プログラムに基づいたグループづくりをしていくとのことでした。(65歳以上でないと参加できないが)
 グループづくり=地域の仲間づくりですね。地域で新しい人間関係をつくるという点でも有効でしょう。もしかすると、団塊世代の地域デビューを助けるための有効手段にもなりそうですね。ただし「認知症予防」ということになると、「私はマダマダ関係ない。」と考える人も多いと思うので、呼びかけの工夫が必要になるでしょう。「認知症予防プログラムに参加しませんか?」という呼びかけでは敷居がグンと高くなりそうなので。

 認知症予防・・・・というか、高齢者の健康問題はこれからの大きな課題です。何と言っても社会保障費とも大きく関わってくる問題であることは言うまでもありません。

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2007年02月09日

障害者自立支援法の行方

 多摩市手をつなぐ育成会が主催をした学習会に参加し、斎木博さんより、「障害者自立支援法」が施行されてからの現状について話を伺いました。

 斎木さんは江戸川区にある区立施設の長をお勤めの方です。現場からの意見を中心にした話はリアリティに富むものでした。特に障害者の1割負担が発生したことで、サービス利用を抑制しようとする傾向が見られることが言われています。本来はサービスを活用することが望ましいにも関わらず、負担があるから利用しないことで、実は障害当事者本人もその家族も厳しい状況に置かれてしまう現実など切迫した状況が目に浮かびました。
 最終的には国の方針であり、国レベルでの考え方が問われているとの強い主張をなさっていましたが、その方針の変更を求めていくところでの自治体の役割の大きさが指摘されていた気がします。また、財政力が豊かな自治体とそうではない自治体、そしてまた都市部と地方とでは「選択の余地」の違いがあることなど、地域間格差が拡大している現状も指摘していました。
 
 そして私が何よりも印象的だったのは、いわゆるサービスの担い手の問題でした。過去数年前までの就職難の時代には新卒の学生などの就職口になっていた障害者施設も、障害者自立支援法により施設運営のあり方にも一層の見直しを迫られています。固定経費である人件費の切り詰め傾向、そしてもともと低賃金であり、労働環境も厳しく、「選ばれない職場」になってきたこと。せっかく就職した若い世代も賃金のベースアップを見込むことは難しく、将来に展望が描けないことを理由に辞めることを迫られてしまう現状があることです。
 施設長としての立場では若い担い手を育成していくことの重要性を認識しているものの、残念ながら自信を持てない職場環境があることも包み隠さずに切々と述べられていました。「若い人を育てることができない。」
 その一言の持つ意味はとても重いです。障害者自立支援法は「・・・障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与すること」が目的です。障害者の地域生活を支える人材の育成が求められます。その中心にあるのが専門職として関われる人を増やすことだと考えています。しかし、それへの対応は十分ではなく、結局は保護者など関係者やボランティアに頼らざるを得ないのが現実ということなのでしょう。引き続き、この問題については国の動向を見据えながら、多摩市でできることも考えていきたいと思っています。

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2007年01月13日

在宅ホスピスを学ぶ

 市民福祉ネットワーク多摩が主催した公開講座に参加をしました。「在宅ホスピスの事例を共に学んでみませんか」をテーマに十和田市立中央病院の院長で蘆野吉和さんが講師でした。蘆野先生はその道では草分け的な存在らしく、今日の講演会にははるばる都内から足を運ばれてこられた方もいたようです。

 「自宅で最期を迎えたい」と考えている人は多いにも関わらず、病院で亡くなる人が多数であるというのが現状。病院で亡くなる人の数が家で亡くなる人の数よりも多くなったのは昭和54年のことなんだそうです。資料として配布された小冊子には次のように記載されています。

「生・老・病・死」が医療にとりこまれ、日常から隔離されてしまいました。20世紀の科学技術の進歩は、人々に幸せをもたらすかに見えましたが、必ずしもそうではなかったし、また医療の進歩も例外ではありません。
 日常のほとんどを専門家に依存して暮らしている私たちは自分自身の最期をどこで迎えるか・・・・ということさえおまかせしなくてはならないのでしょうか。
この一文はとても考えさせられる重い内容ではないかと思いました。
 特にがんの治癒率は男性で55%、女性65%なんだそうです。半分は治らない。けれども「治すこと中心の医療体制」になっていて、「治らない人のための医療」という視点が不足しているというのが先生の指摘でした。「治らない人のための医療???」・・・それでは医療にはならないという考え方もあるのかもしれませんが、私は先生がおっしゃる意味がとてもよく理解できました。そこには治癒しない病気を引き受ける覚悟がまず先に求められることになるのかもしれませんね。

 私がとても印象的だったのは「『死』というものを地域社会にかえす」ということでした。いのちの継承やいのちに対する感性を磨いていくためにも、「死」が日常生活にもっと身近な問題として存在しなければいけないのではないか・・・・先生は「看取り」ということを盛んにおっしゃっていました。周囲も「看取り方」を心得ていかなければなりません。
 「看取り」「看取られる」というのが‘いのちの営み’であるということは考えてみればすぐに当然のことだと理解はできるのですが・・・・どこか掴めない感じを覚えます。


 在宅ホスピスや在宅緩和ケアを考える時、そこにやはり求められるのが地域環境。核家族が主流、核家族世帯向きに提供されている住宅が多いニュータウン地域では今後ますます独居老人、高齢者のみ世帯が増加するでしょう。多世代での暮らしが難しい地域環境にて「看取り」「看取られる」関係性を構築するというのは、まさに「ご近所づきあい」「地域ぐるみ」ということばが‘しっくり’くるような地域づくりをしていくことにつながるのでしょうね。


 今後少しずつ取組んでいきたい新たな問題のひとつとして「在宅ホスピス」や「在宅緩和ケア」問題を考えていきたいなと思いました。

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2006年11月08日

厚生産業常任委員会

 今日は厚生産業常任委員会があり、小規模多機能型居宅介護施設の早期建設を求める陳情が審査されました。陳情の趣旨は特別養護老人ホームなどへの入居希望者が増え、待機者がいることを考えても小規模多機能型居宅介護施設は必要不可欠で、学校の跡地や施設等を活用して早急に建設をして欲しいというもの。審査結果は採択が1名、趣旨採択が5名で「趣旨採択」となりました。

 小規模多機能型居宅介護施設については積極的に取組んでいく必要はあるものの、陳情趣旨には「学校の跡地施設等を活用して・・・」と書かれていたことが「採択」できず「趣旨採択」という判断につながったように思います。
 
 学校跡地を今後どう活用していくのかについては、行政が作成した恒久活用方針が存在します。それに対し「まあ、いいんじゃないの。」という人もいれば、「断固反対」という人もいるわけですが、議会全体の評価としては「冷ややか」であると考えています。本来、議会としての学校跡地の今後の活用に対する将来ビジョンが描ければ望ましいことは言うまでもありません。しかし、今のところはそれぞれの立場により見解の相違がはなはだしく、議論できる状態でないことだけ確かです。
 その点だけで考えれば、実は陳情に対する判断は「不採択」の判断が適切かもしれませんね。とは言え、内容全体を捉えれば頭ごなしに「不採択」ということもできず、「採択はできないけれど、不採択と言うわけではない。」という微妙な判断に落ち着いたわけです。
 趣旨採択というのはわかりにくい判断なのでなるべく使いたくないなと心がけているのですが、私の判断も「趣旨採択」。学校跡地の活用方策に議会がどう言及していくのかが問われる問題につながります。安易に判断できないと思います。
 それでも学校の跡地を見る限りではグランドも校舎も・・・・スペースがたくさんあるので、もっと有効活用できるはず・・・という意見には大賛成なのですが。


 ちなみに・・・・小規模多機能型居宅介護施設というのは今回改正された介護保険法の目玉。在宅サービスの充実という観点から設けられたものです。要介護状態になっても住み慣れた地域での生活を24時間体制で支えようとするサービスです。基本的にはデイサービスのように「通い」が中心で場合によってはショートステイにように「宿泊」もできるというイメージです。また訪問のサービスも受けることができます。
 多摩市の計画では来年度に1ヶ所、その翌年度にもう1ヶ所増やすところまで決まっているのですが、その後については「はじめてみないと、実際のニーズのことなどもわからない。」という立場をとっていて、結局は来年度とりあえず1ヶ所からスタートして行きたいと考えているようです。どちらかと言えば、積極的に取り組もうという姿勢にはやや欠ける気もしましたので、もう少し意欲を持って仕事を進めて欲しいと感じたところです。
 
 それにしても私も国の法改正について行くのが結構大変で、内容を把握することに四苦八苦していますが、行政の担当者も国のご都合で翻弄される部分が大きく、その点では大変な苦労をしているに違いないと考えています。

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2006年07月14日

障害者の就労支援

 障害者就労支援シンポジウムに行きました。障害者自立支援法ができて地域がどう変わるのか、特に、地域の支え手になり活動をしている団体が法改正によりどのような影響を受けるのかなど関心があります。
 先日の厚生産業常任委員会でも障害者自立支援法のことが話題になりましたが、次々と出される政省令についていくだけでも大変で、新たな仕組みを地域にてどう活用していけばいいのかをじっくり議論する暇も余裕もないのが現実です。

 シンポジウムのパネルディスカッションで最大の論点になっていたのは、障害者自立支援法になり利用者負担を支払うことになるわけですが、なぜ「働きに行くのに、利用料を支払わなければいけないのか。」ということでした。「労働は額に汗して働いて工賃をもらうはずなのに・・・。」と当事者の立場からは納得ができないということでしたが、パネラーの厚生労働省の方は「労働するところで発生する利用料ではなく、就労の場そのものが福祉サービスの利用なので。」という説明をしていました。
 とかく、利用料負担については、利用を拡大していくため、サービスを増やしていくための手段ということで、第一目的は障害者に対するサービスの充実にあるそうですが、そのために財源確保は課題になっているのです・・・・ということでした。

 当事者からは、「利用料負担の発生のより、利用を控える障害者が出てくることが十分に予想され、自宅での「引きこもり」状態を作り出すことが目に見えており、考え方と逆行するとしか思えない。」という意見が出されました。既に、ある団体が行なった「利用料の発生によるサービスの利用抑制を考えているのか」という調査でも「Yes」と回答した人が多くいるということが明らかになっているそうです。
 実際に、多摩市においても法律が施行される10月以降の状況を追跡調査し、地域の実態把握をすることが必要だと感じます。そして、地域事情をもとにして、地域の立場、当事者の立場から、国に対し意見を述べていく必要があると思うからです。


 障害者の就労ということは「雇用政策」ではなく、「福祉政策」として捉えられてきた面があり、雇用行政との連携が上手く進んでいないのが現実です。これに関し、厚生労働省の中でもこれからの組織のあり方をどう考えるのかで課題として捉えているということでしたが、いわゆる組織内縦割り状況がそのまま地域にも影響していることを感じます。多摩市でも、くらしと文化部の経済振興課が雇用行政を担う部門と健康福祉部の障害福祉課部門には見えない壁を感じるからです。

 厚労省の方は全国で障害者の就労に成功している地域は、福祉、教育、雇用などの連携が図れていることを強調していました。しかし、これについて現場で施設運営をしている方は「上手くやれているところは、自治体が国の財源だけをあてにするのではなく、独自でそれなりの財源手当をしている。」ということを言っていました。この発言には頷けました。


 障害者自立支援法についてはまだまだもっと法律の内容を理解し、実態を把握しなければならないと感じています。情報収集を引き続きやっていきたいと考えています。 

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2006年07月12日

第2次健康福祉推進プラン

 厚生産業常任委員会がありました。議題は特別な調査案件として取り扱ってきた「第2次健康福祉推進プラン」について。
 実は、ちょうど本プランの見直し時期だったということもありますが、別格扱いの調査事項を設けた一番の理由は、忘れもしない昨年度当初予算否決の理由になった障害者施設問題を考えるためでした。施設の場所(学校跡地)や施設規模などの点から議会としては反対との結論になったものの、施設の必要性そのものが否定されているわけではなく、むしろ、施設は必要だとの認識で議会全体が一致しているので、多摩市としてどういう理念を持ち、施設整備をしていくべきなのか、委員会として議論していこうというのが発端です。
 しかし、 その後、一度だけ、委員会として市内の障害者施設見学(第1、2つくし作業所、すぎなの友)しただけで、当初目的を達成するまでには至らず、結局は「第2次健康福祉推進プラン」の改定作業を見守りながら、途中で口を挟みながら・・・今に至るという感じです。
 
 というわけで、今日は、改定作業が終了した本プランの内容の説明をざっくり受けた後、さらに考え方や詳細部分について‘気になる点’を質疑するための委員会となりました。


 やはり、最も話題が集中したのは「障害者基本計画」について。障害者自立支援法と関連して、今後、障害者施策がどのように変化するのかなどを含めての質疑が行なわれました。
 それにしても、障害者自立支援法は障害者たちからも評判悪いですけれど、サービス提供主体の自治体の立場から言わせてもらえば、本当に「国のご都合主義」という感じでしかありません。私も少しだけ資料などを読んでみたのですが、「これは大変だ・・・。」と思います。もちろん当事者の立場からも制度変更による費用負担などの面で大変になると思うわけですが、国に翻弄されている自治体の現場は大変過ぎると感じます。先月末の時点でも、再び具体的な制度運用の在り方に変更点が示されるなど、本格的に施行される10月を目前にものすごくタイトなスケジュールの中で自治体としての対応が求められているのが現状です。対応に追われなくっていて、新しいことを考える余裕や余力が残っていなくて当たり前というのが現実。担当部門には正直同情してしまいます。
 なので、この現場を見ている限りでは「職員の仕事も決して楽ではない。」と思えます。

 本プラン全体の印象。4分冊に分かれていることからわかるように、その内容は健康福祉部の中での「THE 縦割り」。高齢福祉課、介護保険課、障害福祉課、地域福祉課、健康課にちゃんとわかれているのがプランの内容。それぞれ仕事を考えると、職務分担があってしかりで仕方のないことかもしれませんが、「全体として考えていったほうがいい共通な課題は何か?」が具体的なかたちで見えるようなプランになっていないという点は指摘できるのだと思います。
 私自身はこれからの全体課題として取り組むこととして、健康、医療、福祉の総合相談窓口づくりを進めること、さらに地域ごとにも相談できる体制づくりが必要だと考えています。
 実は、その課題に対する認識はありながら、課題解決に取り組み体制づくりをするまでに一苦労しそうというのが現実問題のよう。


 けど、そういえば・・・横断的な取り組みに対応するために助役も二人になったわけなので、その仕組みを最大限活かして、縦割り行政の弊害をなくすために二人の助役さんたちには活躍してもらいたいですね♪期待しようと思います。

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2006年07月07日

成年後見制度

成年後見制度は知られているようで、あまり知られていない制度だと思います。2000年(平成12年度)の介護保険制度の開始とともに導入された制度です。

 私は今後ますますこの制度へのニーズが増えると考えています。介護保険法もそうですが、障害者自立支援法もでき、福祉の制度が「措置」から個々人の「契約」に変更される中で、この制度は個人の生活を支える仕組みのひとつだと考えるからです。特に、将来判断能力が十分でなくなった時に備え、予め後見人を選ぶことも可能な「任意後見制度」への潜在的なニーズはあるように感じています。
 現状では、先にも書いたとおり、まだまだ制度が知られていないこともあり、十分に活用されているとは言えない現状があるとのことですが、今後、制度が普及することにより、利用者は伸びていくのではないかと考えています。

 ところが、成年後見制度の中で今一番の課題とは「後見人不足」ということです。家庭裁判所は後見人として、親族など以外にも法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の公益法人(こうえきほうじん)その他の法人が選ぶ場合もあるようですが、予め、家庭裁判所には親族以外の後見人を必要とする場合に対応するため、弁護士、司法書士、社会福祉士の資格を有する者の登録制を設けています。
 とは言え、後見人登録をしているからといって、やはり一人の人間の後見人を引き受けるだけでも大変で、複数人の後見をしてくれる人は少ないのが実情で、需要と供給とのバランスがとれないのが現状のようです。


 その理由は・・・・「儲からないから」なんだそうです。後見人としての仕事は報酬が割に合わない場合が多く、もともと家庭裁判所に登録している専門家の数も少ないと聞きました。

 そこでこのような状況を打開すべく、東京都では「社会貢献型後見人」というものを始めています。これは一般市民を育成し、ボランティア的に後見人として活躍してもらおうとするものです。昨年からはじまり、まずは60名ほどの育成を行なったそうですが、今年も同様に研修を行なう予定です。(後見人になるためにとりたてて資格要件は必要ないので)
 成年後見制度の仕組みはドイツなどで非常に進んでおり、「社会貢献型後見人」が活躍しているそうです。東京都の取り組みも、これに倣っているようです。


 後見人の仕事は大変で割に合わないのかもしれませんが、一方の支援を受ける利用者の立場から考えると、費用負担(報酬なども含めて)は決して軽いものではありません。だいたい月額3~5万円の報酬が求められるからです。そこで、所得に関係なく「後見人」の支援を必要としている人への対応が求められます。東京都が要請しているボランティア的に支援をする「社会貢献型後見人」はひとつの手段と言えるのかもしれません。


 実は多摩市の場合には調布市・狛江市・日野市・稲城市とともに多摩南部成年後見センターを共同設置しています。ここは有限責任中間法人で、5市が100万円ずつ出資をし、各市とも年間約1200万円ほどの負担金を拠出し維持しています。事務所は調布にあります。現在は、正職員が4名、それから地域支援員と呼ばれる非常勤職員が2名体制になっています。
 このセンターを利用するためには、まずは各市の窓口への相談が必要で、多摩市の場合には高齢福祉課が取りまとめのをしています。現在のところ、多摩市では高齢者4名、障害者1名が南部成年後見センターによる支援(後見)を受けています。

 成年後見制度そのものも知られていませんが、このようなセンターの存在も知られていないので、利用状況をみると幾分余裕はあるようです。しかし、他市との共同で成年後見センターを設置し、セーフティネットとしての基盤整備をしている点は「安心確保」の面からも評価できるのではないかと思います。


 今日はセンターを訪問し、話を伺ってきました。センターの対するニーズが増えれば、その分、センターの人員も強化しなければならないとのことでした。そうなれば、当然に、各市の負担金も増えるはずなので、これまた財政との兼ね合いがひとつ課題になるなと感じた次第です。

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2005年10月15日

マイケアプラン

 「マイケアプラン」について聞いたことがある人は少ないと思います。これは介護保険サービスを受ける時に「ケアプラン」を作成しますが、言葉通りに自分で作成するケアプランのことです。
 ケアプランというとケアマネージャーの人が作ってくれるものという認識があると思います。私の周りでも実はケアプランを自分で作成できることを知らない人が多く、「マイケアプラン」って知っているかどうかを尋ねると、「そんなことできるの?」と驚かれます。実は多摩市のパンフレットでもマイケアプランが作成できることが掲載されてます。

 今日は「マイケアプラン」の話を伺いました。市内で実際に「マイケアプラン」をたてている女性の方の経験も踏まえての話でした。ケアプランをたてるのはとても難しそうなイメージがありますが、今日の話を聞いたところでは、「自分でもできそう。」という感想を持った人が多いのではないかと思います。でも、現実的にはケアプランを自分で立てることはそう容易い事ではないのでしょう。多摩市内では介護保険サービスを受けている人のうち、マイケアプランの人はたった二人なんだそうです。
 やはり、本当に利用したいサービス、受けたいサービスを自分自身で選択し吟味して、ケアプラン化できる余力があるのかどうかという点が一番大きな問題でしょう。そのためにも介護保険制度を利用していない元気なうちから準備しておくことが必要だという話でした。
 色々と話を聞いていて、使う人の立場で制度設計をすることの難しさなども感じたわけですが、何はともあれ「マイケアプラン」について少しは知っておくと参考になりそうです。ちなみに、今日の話では「多摩市の担当者の方は本当に親切ですし、何でもわからなければ市役所に聞いてみたらいいと思います。」と実感込めて語られていたのは印象的でした。

★マイケアプランについて・・・講座があります。
『認知症とは?マイケアプランとは?~最後まで自分が自分でありつづけるために~』
1回目:10月22日(土)午後1時半~3時半
小野寺敦志さん「認知症とはどういう病なのか?患者の思いは?」
介護する家族の話「介護の現実と展望」
2回目:11月12日(土)午後1時半~3時半
島村八重子さん(全国マイケアプラン・ネットワーク代表)
「マイケアプランとは?」
場所:TAMA女性センター活動交流室
主催:TAMA女性センター・TAMA女性センター市民運営委員会
共催:「いこいの会」
問い合せは⇒042-355-2110(電話)TAMA女性センター

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2005年10月04日

委員会の視察

 厚生産業常任委員会で神奈川県大和市への視察を行いました。視察内容は「移動サービスについて」です。 大和市は先進的な取り組みをしており、構造改革特区の認定を受けたモデル地区です。

 移動サービスは障害者の「移動の権利」を保障する立場から出発しており、タクシー事業者では担いきることの出来ない「有償運送」サービスを行っていると理解されてきました。今後、高齢化が進み、移動困難者が増えることが予測される中、ますます移動サービスの必要性が高まると考えられます。しかし、法的にはかなりの問題がありました。いわゆる「白タク」問題です。道路運送法第80条第1項の「自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない。」という規定に照らすと「違法」といわざるを得なかったのです。とは言うものの、とりわけ車イスの方の移動手段としては必要性が高く、移動サービスへの取締りがされることはほとんどありませんでした。

 ところが、タクシー事業者も介護タクシーの導入など時代環境に合わせた新たなサービス展開をするなかで、移動サービス事業者であるNPOなどとの軋轢が深まりつつありました。有償運送をするのであれば、それに価するだけの要件が必要で、例えば2種免許の取得などすべきではないかという声が強まってきたのです。そこで、大和市では移動サービス事業の必要性を法的にも確立すべく構造改革特区の申請をしたというわけです。それにより、一定の要件をクリアし、認められた場合には「移動サービス事業者」としての許可が付与され、NPO等が堂々とサービス提供することが出来るようになりました。法的地位が不安定だった事業者も信頼度が増したと言います。

 国では大和市をはじめとするいくつかの自治体における「移動サービス特区」の状況から、全国的にこの動きを広げることになり、多摩市でもようやく取組みがスタートしたところです。しかしながら、大和市ではもう一歩先の取組みがすでに始まっています。それは「セダン型特区」というものです。
 移動サービス事業者への許可は「福祉車輌」限定で行われることとされており、あくまでも車イスやストレッチャーも運べる車輌による運送しか行えないことになっています。しかし、これは実態に即していないのです。特に、利用者の中には知的障害を持つ方々もいらっしゃり、その場合には普通車輌で十分に対応できます。いわゆる自家用の普通車があればいいわけで、福祉車輌に限定する必要がないのです。
 しかし、そこにはやはりタクシー事業者との大きな壁が存在します。福祉車輌の運行は、タクシー事業者も採算性の点から考えると、なかなか難しいようなので、福祉車輌限定での移動サービス事業者のサービスとは「すみわけ」がスムーズいきます、しかし、普通車輌による運行も可能となれば、タクシー事業者との兼ね合いをどうつけるのかが課題です。
 大和市はその状況も見つつ、しかし、普通車輌による運行の必要性から「セダン型特区」の申請を行いました。これにより移動サービス事業者も登録した普通車輌によるサービス提供が可能になりました。タクシーと大きく違うのは、移動サービス事業者の場合には運転手を選ぶという点でも対応することが可能です。特に、知的障害のある子どもなどには決まった運転手が対応することが望ましく、タクシーでは対応しきれない部分もNPOなどの持ち味を生かしたサービスが必要です。その点から考えれば、普通車輌による運行を認めたとしてもタクシー事業者との「すみわけ」問題は解決できるのではないかと思います。

 多摩市は地形的な問題、エレベーターのない住宅のことを考えても、移動サービスの必要性が十分に認められますし、市内から市外の学校に通っている障害児等の利用もあり、「セダン型」の導入もするべきだと考えているのですが、現在までに示されている方針では、「『セダン型』については、他市の状況も見ながら・・・・。」という返答です。
 今日の視察では「高齢者や障害者に占める利用者の割合はほんの数%しかない・・・ということも考えて、そのサービスの有効性を見ていくべきではないか。」という主旨と考えられる意見もありましたが、大和市では「必ずしも利用者の割合に着目しているわけではない。」という姿勢だったと思います。もちろん私も後者の立場です。行政の立場は運輸支局に移動サービス事業者としての許可申請をするためのサポートを行っていると考えられ、許可申請をする事前の審査をするための協議会設置をし、事務局業務を請け負うだけのことです。それ以上に移動サービス事業者に予算的なてこ入れをするわけではありません。事実、移動サービス事業者の運営実態を見ていると非常に厳しいものがあります。ちなみに、多摩市内で事業をおこなっているNPOからのヒアリングでも利用者が増えれば増えるほど、運行すれば運行するほど赤字経営が迫られるという話しも聞いたことがあります。それでも必要なサービスなのです。

 「誰でも、いつでも、どこへでも」というアクセスフリーの実現を目指し(もちろん、多摩市の交通マスタープランも同様の考え方をベースとしているのですが)、パイオニア的な取り組みを行い、「大和市の事例を国に報告して、その事例を活用してもらいたい。」という積極的な大和市の意欲には少々うらやましさを感じました。

 さて、多摩市が積極的ではない「セダン型」の導入。「セダン型特区」を申請することなどで手間があるのかを聞いてみましたが、別に特段のことはないという話でした。ただ、多摩市の場合には、大和市が単独で設置をしている協議会が、他市と共同設置される予定のため、現段階では「セダン型特区」導入を多摩市だけで判断できない環境に置かれているという問題点があります。各地域事情はあるにせよ、私は多摩市だけで協議会を設置するほうが機動力もありそうだと思っていましたが、やはり大和市の担当者の話しぶりからも私の予感はあたっている気がしました。(共同設置の運営協議会から抜けることは不可能ではないのですが)
 他市と横並びで進めることは失敗を回避する意味では安全な方策なのかもしれませんが、それでは「多摩市がオンリーワン」を目指せないなと改めて感じた次第です。(市長はオンリーワンを目指すと以前に言っていましたが・・・・。) 

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2005年05月28日

介護予防に筋トレの不思議

 石毛えい子衆議院議員の報告会に顔を出し、紛糾していた介護保険法の改正に関する話を聞きました。他の予定もあったので前半部分しか聞けなかったのですが、これは報道でも知らされているとおり「介護予防」に重点的に取組んでいく方針での法改正になるようです。その具体的な方策が「筋トレ」。全国の自治体では現在モデル的にも行っているようですが…実態調査がまだまだ不足しているのではないかと思えてなりません。
 
 今日参加されていた高齢女性の方からも「私はそんなのできませんよ。」とあったように、私も筋トレの効果にはいまいち疑問符です。もちろん全くの効果がないかといえば、全否定するものではありませんが、介護予防策として自治体で取組まねばならないとすればその負担を考えると、やはり‘イマイチ’なのです。話によると、筋トレマシーンなるものは北欧製のもので一台60万円ほどするらしいです。どの機器を選ぶのかは基本的に各自治体ごとになるはずですが、国庫補助があるとすれば規格などにある程度の制約も出てくるのかもしれません。全国で一斉にマシーン購入が行われることになれば、関連業界は・…と想像してしまいます。
 法改正とは奥深いものだなとつくづく感じています。

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2005年05月12日

現実を見て処してもらいたい。

 知的障害者(児)の親の会(「手をつなぐ親の会」)の総会に出席しました。市長をはじめ、国会議員、都議会議員含め市議会からも多数の議員が出席していました。

 会長の挨拶で始まった総会でしたが、その挨拶において今年度予算で焦点になった知的障害者の施設に関する問題が指摘されました。「理想を追求することもわかりますけれど、やっぱり、もっと現実を見てもらいたいし、勉強もしてもらいたいし、そして現実的に処してもらいたいと思います。」…これはとても重みのある言葉で、この発言にどのように向きあっていけばいいのか非常に大きな問題をつきつけられたと思いました。
 
 市長は予算が否決されたことを受け、今年度本予算から施設建設に関連する約43万円の経費を削除しています。しかしながら、今日の挨拶の中では「補正予算で対応をしたい。」という意向を示していました。市長は施設建設の方針を変更しないと言う態度です。それを受け、私たちの会派でも今後の対応をどうしていくのか…「現実的に処す」ことは必要なことだと思いますが、そのためにも当事者との話合いを今一度重ねなければならないと感じているところです。

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2005年04月30日

患者の立場

 テレビでたまたまNHKスペシャルでがん医療の特集をやっていてしばらく見ていたのですが、専門医がいない日本の現状を中心にした番組のようでしたが、何よりも私は患者の立場を考えさせられました。

 最近はインターネットなどでも多くの情報を入手できます。病気や医療、薬のことについても調べようと思えば、たやすく独自調査などもできるようになっています。しかし、その情報量たるや膨大で、何が正確な医療情報であるのかについて、正直、患者の立場ではほとんど判断することは難しいのではないかと思います。情報に右往左往してしまうのが現実だと感じます。
 私も最近、アトピーとか喘息とか…その治療法などでインターネットを眺める毎日ですが情報を見れば見るほどに疑心暗鬼にもなりますし、何がいいのかがわからずに不安にさえなります。最後にはやっぱり医師に頼るしかないですし、信頼するしかありません。これが「患者」の立場です。

 実は今日も体調不良が続いている子どもを医者に連れていきました。連休になると「休診」になってしまいます。休日や夜間の緊急体制はあるものの、やはり不安です。いつも診てもらっている先生で…という気持ちがあります。
 とは言っても、そもそもどこの医者を「かかりつけ医」にするのかという情報について、その選び方や基準なんて持っておらず、最終的には評判とか先生との相性というものに集約されてしまいます。結局は医師とどのような信頼関係が持てるのかは、診察を受け、そのコミュニケーションの中でしか生まれないのだと思います。
 そういう状況も手伝って、ますますNHKの番組を見て「患者の立場」を考えさせられたのでした。

 あわせて「信頼」という問題についてですが、自分の立場を省みても同じような考え方ができるのではないかなとしみじみと感じています。どんなことに関しても「信頼」というのはいきなり培われるものではなく、少しずつの積み重ねによるものでしかないと思うからです。

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2005年04月22日

議会が求められていること

 手をつなぐ親の会と予算を否決した議員との意見交換会がありました。議員側もほぼ全員出席し、また親の会の皆さんに南大沢学園養護学校のPTA会長さんと多摩養護学校の進路指導担当の先生が加わり、とても和やかな雰囲気の中、話合いが行なわれました。
 今回焦点になった知的障害者施設建設に対して、議員が個々人がどう考えているのかをそれぞれの思いとして話しました。それだけで予定されていた会議時間の半分以上を費やしてしまい、意見を十分に交換するまでには至りませんでした。おそらく消化不良気味というのは誰もが感じたことと思いますが、しかし今日の場に集った人たちは少なくとも‘共有’できたことがあると感じます。その点では有意義な会であり、このような意見交換を不定期にでも続けていくことの必要性を皆で確認しあえました。
 いずれにしても今回の施設が計画どおりに誘致されたとしても、ニーズには追いつけないことが明らかで、そのことへの対応を議会として努力しなければならないし、ぜひとも議会全体で取組んでもらいたいとの要請がありました。
 親の会としても施設のあり方についてはさまざまな意見があるようでした。必ずしも今回提示されている市長の計画に賛成しているわけでもなさそうです。しかしながら、市長から「まずは‘つくし’(つくし作業所、第2つくし作業所)を法内化しないと次の取組みが進まない。」というニュアンスの説明を繰返し受けていたこともあり、今回の計画をストップすることの影響が多大であると心配の声があがっていました。私たちは当然ながら、その危惧に対しては応えていかねばなりません。そのためには議会として総力で取組んでいきたいとは思います・・・具体的な取組み姿勢を市長だけではなく議会としても明らかにしたいものです。ただ、否決の立場をとらなかった議員との議論もつめていかなければ全体的な取組みは進んでいかないと考えます。そこにはやはり当事者の方々の力も借りなければならず、むしろそれが施策推進の原動力にもなるものです。

 さて、今日の話合いの中ではほんの一部だとは思いますが、日常的に感じていらっしゃる思いが赤裸々に語られました。子どもと一緒に歩いていると周りにいる人が避けていく…とか公園に行くとそれまで遊んでいた人たちが帰ってしまう…など。これが現実なんだと我々議員はつきつけられ一瞬はその場がしーんともしてしまいました。「地域共生」ということを軽軽しく口にはできないことを思いました。
 でも社会として目指していく姿は追求しなければなりません。「教育」の果たす役割の重要性を一層痛感しました。例えば学校で、先生がいわゆる「心のバリアフリー」の考え方を教科書どおりに教えれば事足りるわけではありません。その先生自身もきちんとそのような課題に対して向き合っているのかどうかを子どもたちは見ているはずです。大人たちの姿、大人たちの社会から子どもたちは学んでいるのです。そのことを私自身も強く心に留めていこうと思いました。

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2005年04月21日

原則論で進めていくとしても

 明日の午前中、障害者団体から予算に反対した全議員が招かれ意見交換会が行なわれます。意見交換と言うことですが、おそらく議員にとってもこのような趣旨で開催される会は初めてのことだと思うので緊張があります。また、昨日は27日に行なわれる臨時議会の議案書が議員に配布されていました。今年度本予算についての資料でしたが、市長の説明通り障害者施設関連予算と市民活動情報センターに計上されていた予算が予備費になっていました。
 今のところ私たちの会派としてはこの予算書については反対するものではないだろうと判断しています。しかし、障害者施設建設についてや今後の障害者施策をどうしていくのかではまだまだ議論しなければならないことが積み残されていると考えています。私たちの会派では市長が提案している障害者施設の建設にはもう少し時間を置くべきだと主張していますし、できることならば100名と言う大規模な施設の建設ではなく、もっと地域分散型での施設をつくっていくのが望ましいと考えています。これが私たちの「原則論」だとして、果たしてこれを貫いていくことが妥当なことかどうか・…その見極めがあるような気配を感じます。市長は今回に限っては予算書の修正をしたわけですが、しかし旧西永山中学校のグランドに民間事業者による障害者施設の建設と運営の方針は変更をしない雰囲気です。そして、議会でもこの施設建設を促進して欲しいという陳情は採択されているのです。市長にとってこの陳情採択はありがたき結果なわけで、私たちとしてもこの結果を全く無視することはできなさそうです。私たちの会派では陳情に反対しているわけですが、議会としては賛成との結果が明らかだからです。この結果に会派として非常に頭を悩ませるわけです。議論を尽くすまで相当の時間を要しそうです。

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2005年03月22日

障害者の施設は必要でも

 厚生産業常任委員会がありました。今定例会の最大の関心事である旧西永山中学校跡地を活用した知的障害者の授産施設について「新しい障害者通所施設の建設促進を求める陳情」が提出されていました。「西永山複合施設の校庭を利用した通所施設の建設促進を求める」となっており、私たちの会派では当初から採択し難いという判断をしていました。
 今日は午後2時過ぎより、この陳情の審議に入りました。終わったのは午後7時をとっくに回っており、審議時間だけ見れば「じっくり」と言えそうです。しかしながら、各委員と行政側のやりとりを聞いていると「堂々めぐり」で発展性のない議論が続きます。これは総務常任委員会での学校跡地活用方針をめぐるやりとりと全く同じです。いくら質疑応答を続けても、続ければ続けるだけ体力気力とも消耗して、生産性がほとんど見られないまま終わってしまう…結局、歩み寄る余地すらない議論とはどこまで行っても平行線なんだと言うことがよくわかります。

 最終的に陳情については「趣旨採択」が2名、「採択」が1名ということで、いずれも過半数に達しなかったので「不採択」という結果になりました。私たちの会派も「不採択」です。
 今回の施設建設ですが、現在の障害者の状況から勘案するならば、実際に開所する平成20年時点で、既に定員オーバー状況が予測されています。私たちが重視するのは定員オーバーの状況をどう克服するのかという計画も含めた市の考えです。しかし、行政からの説明は言葉を濁し、歯切れの悪いものでした。
 色々と細かいところまでの質疑応答も行われた委員会でしたが、学校跡地を使用して、民設民営の施設を誘致するならば、その一方で行政には余力が生まれるはずです。この余力をどうしていくのかを含めて、障害者施策全般に対する展望を示してもらいたかったのですが、これについては来年度改定される障害者基本計画をまとめながら考えていきたいというのが精一杯の回答でした。
 既に定員オーバーと言う状況が見えているのなら、そこへの対応も明らかした上で今回の計画を示すべきだと思います。それ抜きにして進めようとするからこそ、違和感がありますし、何だか無責任な感じも受けます。「とりあえず施設をつくります。」では困ってしまいます。後になり「ひとつは施設を作りましたよ。」などと言われないように、今、少し踏みとどまっても、もう少し将来のビジョンをしっかりと定める必要性があると考えています。

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2005年03月19日

知的障害者の施設は必要だけど

 先日の予算特別委員会で、私たちの会派では来年度の一般会計予算に否決という態度をとりました。
 私たちが提案者になった修正案では旧西永山中学校の跡地を活用して予定された知的障害者授産施設関連費用の約40万円を削除するものだったのですが、これも本当に苦渋の決断でありました。知的障害者授産施設に対しては必ずしも反対ではなかったからです。施設規模に対しては異論があるものの、現段階で示されている定員100人規模の施設であっても、とかく当事者からは切実なる要望が出されており、これを無視することはできないとは考えています。
 しかしながら、どうしても「学校跡地」という部分に対し、すんなりと受け容れることができず「反対」を示すこととなりました。これはある意味で大きな判断だと言えます。例えば来年度予算の中には、私たちが約20年前から主張してきた学校給食の食器問題が解決に向けた経費が計上されていました。予算案に否決することは私たち自身の運動に見えてきた明るい兆しまでも自ら摘むことにもなります。それでも今回は「否」という決断を下したわけです。

 今日は急遽、今回の予算案に対する態度について、「なぜ?」と感じた市民の方とお会いすることになりました。約1時間にわたり、今回の結論に対する説明と意見交換をしました。私たちがなぜ「否決」だったのかについて概ね理解して下さったようですが、この結果については本当に残念でならないと言われました。数年来、当事者と行政との話合いの積み重ねがあり、今回の施設計画に至ったことは重々承知しています。私たちとしても「申し訳ない」と感じる部分も決してないわけではありません。しかしながら、学校跡地問題とセットで出されてきた今回の計画については受け容れることができません。そのことを伝えました。
 実は週明けの火曜日には厚生産業常任委員会が開催され、これに関連する陳情の審査が行われます。そこでも私たちは再び、施設建設を願う市民の方の意向には沿えない態度をとらねばならないと考えています。ここは私たちにとっても辛い部分もありながら、筋を通していきたいと思っているところです。

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2005年02月08日

気が重くなる資料…

 国民健康保険運営協議会が明後日開催されます。この協議会の事務局はとても対応がいいなと思います。というのも、協議会開催の一週間前には資料が送付されてくるからです。他の審議会などにも出ていますが、開催当日に自席に座って初めてその日の協議に用いる資料を手にする状況です。会議時間を有効活用するためにも委員には資料を予め配布するのが望ましいので、これも庁内でルール化しておくべきではないかと思います。自治基本条例の策定をする際の市民の間の議論でも委員への資料配布のあり方などが問題視されていた覚えがあります。

 さて今度の協議会の資料ですが、今年度の国民健康保険特別会計の補正予算案と来年度予算案などが入っていました。もちろん一番最初に目が行くのは一般会計からの繰入金です。当初約17億円の繰入でしたが、やはり補正で3億円ほどのプラスになっており合計約20億円というのが今年度の繰入金に・・・。昨年度はぎりぎり19億円台だったのに、今年度はとうとう20億円台です。
 予め資料配布されたことにはありがたさがあるものの、この資料を持ち協議会に出席し、議論に臨むのかと思うと本当に気が重くなるばかりです。国民健康保険制度の状況は本当に深刻です。正直、いくら自治体レベルの協議会で議論を重ねたとしても「どうにもこうにもできない」のです。国全体での制度設計のあり方を見直してもらわねばならないことは確かです。大事な改革ばかりが先送りされているのではないか…国の状況を見ているとそう感じずにはいられません。

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2005年01月18日

情報の非対称

 多摩南地区にある自治体の国民健康保険運営協議会会長会が主催の講演会に参加しました。「今後の保険医療福祉のあり方について」ということで、東京医科歯科大学大学院の河原教授より話を聞きました。言うまでもなく、保険医療福祉問題は少子高齢社会における財源確保が最重要課題になっており、制度そのものの見直しは緊急課題となっています。

 将来の展望がなかなか描けずに不安だけが増す状況は誰しもが抱えていることだと思います。しかしそれを克服する道筋が見えないわけです。今日も何か示唆を仰ぎたいとの思いで各自治体からの参加者が話を聞いていたと思いますが特に目新しい視点を得たとの感想はありませんでした。しかし「情報の非対称」を克服し、消費者(患者)主権を確立する必要性を再認識しました。

 「情報の非対称」の問題というのは、医者と患者との関係で考えれば、その情報量において対等な関係にはなく、情報不足の患者は常に医者よりも弱い立場に置かれてしまうということです。つまり情報が多い方が有利な立場に立つことが出来るのは当然で、患者本位の医療をどのように確立していくのかが求められていると言うのです。そのことが、制度そのものの見直しを考える際の重要な視点の一つになるわけです。医者に言われるがままの医療を受けることが本当に望ましいのかどうか患者自身で判断できることが大切であり、そのことはまた医療費の抑制などにもつながるとしているのだと思います。私も同感です。
 特にカルテ開示はこれからますます必要です。「選択肢が多いことが豊か」とも言われるように、セカンドオピニオンを受けることででよりよい治療環境、納得の出来る医療が受けられると言えます。患者本位を確立することは、実は自己決定権の根幹をなすものだと思います。

 それにしても「情報の非対称」を是正していくことは、医療分野などに限らない課題だと思います。行政と住民との関係しかりです。地域医療計画などにもきちんと住民の意見を反映させる策定プロセスを踏むことが大切だとの指摘もありました。なぜプロセスへの参加が必要なのか。その理由はやはり、参加していくことで住民、市民の理解が深まるからというのです。現状に対する理解を共有することにより、市民自身もまたその行動を見直すことにもつながるのだと思います。
 まさに生活習慣病が増大傾向にある中では、食の問題も含めた自己のライフスタイルそのものを考え直すことを迫ります。これは私たちにとっても厳しいことです。とは言うものの、自分たち自身が自らの将来を見据えるためには、まずは「情報の非対称」が解決されなければなりません。これは同時に情報を受け手としての個々人の能力が問われることとも言えます。いいも悪いもきちんと知り、把握することを要請するからです。だから‘厳しい’わけですが、ここを避けて通ることは出来ない時代にある・・・そう感じています。

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2005年01月16日

毎年毎年この場所で

 「手をつなぐ親の会」の新年会に出席しました。会長から「子どものこと、障害のことを考えてばかりいると暗くなってしまうけれど、でも、昔よりは随分と環境はよくなってきた。だから明るい未来を信じて進んでいきましょう。」という趣旨の挨拶がありました。当事者が抱えている苦しみを分かち合うということを言葉に表すことは憚りますが、想像力だけは持っていたいと思います。「障害のことばかり考えると暗くなる」という言葉に凝縮されている意味深さを汲み取りつつ、それを発言することのできる会長の存在は大きいことを感じました。
 「手をつなぐ親の会」の会員になっている小学校の時のクラスメイトがいる関係もあり、一緒に研修旅行に参加させてもらう機会を得たりなど、貴重な経験をいただいていますが、経験を活動に生かすことがなかなか出来ていないことに忸怩たる思いがあります。新年会などの機会などのたびにその思いを確認し、ある意味で力不足を認識し、反省もしながら、「今年は…」と言う思いを新たにしているのが正直なところです。「少しずつでも未来が明るいものになっていくことを信じる」これは、会長さんが今日の新年会に集まった議員等など含め全員におくった言葉であると思いました。
 「来年のこの場所」のことを思いながら、席をあとにしたのですが、‘少しずつ’に貢献できる自分でありたいと心の中で何度も繰返しました。
 多摩市の障害者基本計画が見直しの時期にさしかかり、現在、計画策定に向けての基礎調査を進めているところです。望まれているのは、少しずつでも‘着実’に進んでいくような計画だなと思っています。

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2004年05月26日

たましろの郷

 東京ネットの視察で青梅市にある「たましろの郷」へ行きました。ここはろう重複者生活就労施設で入所については30名定員のところ29名、通所は現在20名定員のところ18名が過ごしています。
 約2年前に完成した新しい施設で、設備も行き届き、入所者は聴覚に障害があることから、職員の方はもちろん手話を取得されています。私たちに対する説明も時折、手話を交えてでしたが、日常的に手話を使っているのでコミュニケーションスキルとして自然と身についていることがよくわかりました。
 ちょうど「たましろの郷」の隣には老人ホームがあり、また地域には知的障害者の施設も立地していて、青梅市に施設を建設することを受け入れてもらうためにかなり苦労がいったとのことでした。第一候補地だったところでは(どこの場所かはわかりませんが)、周辺住民の反対にあったので、ようやく自然豊かな静かな青梅市のこの場所に立地できただけでまずはひと段落だったのでしょう。現在の場所は市街化調整区域であり、周辺には民家がなく少し寂しい感じもありますが、それでも夜は星がきれいに見えそうな自然に囲まれたところにありました。
 施設ではちょうど作業中でした。その現場に立ち会うとお邪魔になってしまうので、最初に館内をめぐり、その後、お昼時間を少し過ぎてから、実際の作業現場を見せてもらいました。
 古紙利用をした植木入れ、陶芸、さきおり、雑巾ぬいなどが行われているようです。また、「たましろの郷」のグループで国分寺市に「かたつむり」とショップを出しているそうですが(作業所でつくったものなどが販売されています)、このショップへ通っている人もいるのだそうです。自立生活と労働意欲の向上を図って、社会参加を進めていく訓練施設との位置づけになっています。

 このような施設ではお風呂場の管理が徹底して行なわれています。風呂場での事故が少なくないからだそうです。「たましろの郷」のお風呂は男性と女性が時間制で交替で使用しています。実際にお風呂場を見せてもらったのですが、すみずみまでに行き届いた掃除、そして広々として小さな旅館の温泉のようなリラックス出来る場所でした。入所者の方は食事とお風呂が一番の楽しみな時間とのことですが、これは私でも同じだなと思いました。

 やはり気がかりなのは施設維持費ですが、これについてはものすごく運営が大変なのが実際の状況です。職員の数もギリギリでローテーションを組みながらまわしているそうです。支援費制度と介護保険制度が一本化するしないと論議されていますが、この行方が気がかりだとおっしゃっていました。とにかく、もう少し職員をきめ細かく配置して、配慮行き届いて接したいそうですが、ここはお金が許さない・・・という厳しさです。職員はだいたい二人体制くらいで作業現場で指導をするそうですが、一人の手がふさがってしまった時などはてんてこ舞いだそうです。職員はいつもフル回転状態のようです。
 
 一通りの説明を聞いた後、食堂へ行きました。そこではちょうど食事中の利用者たちがいました。そして、陶芸の作品、クッキー、球根つきの植木ポット、それから干ししいたけや畑で取れた新鮮なキヌサヤとスナックエンドウなどの販売がありました。私は手話がまったくわからないので、一生懸命に私に商品説明をしてくれ、コミュニケーションを図ろうとしてくれた男性の気持ちに応えられないことがもどかしくてなりませんでした。

 今日は次の予定が入ったため、午後の「東京都林業試験場」見学には参加できなかったのですが、この試験場は一度見る価値があるとのことで、ぜひまた足を運んでみたいなと思っています。

 この施設の利用者の方々のところには自治体で支援費の業務に携わっている職員の方が尋ねてヒアリングなどもなさるそうですが、「歩ける=移動できる」という形で判断するところなど、例えば障害を持っているので歩けるとしてもガイドヘルパーさんが必要であったりするにも関わらず、そのことを理解せぬままに支援費の支給額が決定される、また財政事情から、なるべくお金を出さないようにしようと意識からだと思いますが、各々自治体の判断基準もまちまちみたいです。
 支援費は当事者との契約で成り立つ仕組みですが、職員が精一杯のフォローをしながら、支給額の決定などにも関わっています。また、この施設では利用者一人一人の記録をつけているそうで、この記録がローテーション勤務の職員をつなぐ重要なツールになっているみたいです。一人一人の記録をつけるだけでも大変で、職員の方の労力には頭が下がるばかりです。とても勉強になった視察でした。

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2004年05月20日

堂々めぐりで議論は続く・・・

 国民健康保険運営協議会。これは法律で設置が義務づけられ、議員は「公益代表」として4名が加わり、簡単に言えば、市が保険者である「国民健康保険」に対する見張り役をする機関と言えます。
 国民健康保険の加入者は昨今の社会状況を反映してうなぎのぼり。そして所得が300万円以下の世帯が加入者の約80%を占めていて、非常に厳しい財政状況を抱えています。国民健康保険は特別会計ですので、独立採算性を取る必要がありますが、やはり単独で収支のやりくりをするのは困難です。そこで一般会計から繰入れをしていますが、昨年度はこの繰入れ額がなんと約20億円にも達する勢いで、議会でもかなり問題視されました。
 昨年度の協議会には今年の4月からの国民健康保険税率を上げることなど諮問されました。これは議会でもすでに議決されて改正になりました。さらには福利厚生的な事業のいくつかを整理・廃止することを決めました。でも、それでもどうにもならないのが現実です。どんなに自治体で努力をしても努力をしても、「小手先」での対応にしかならず、税率を上げたからといっても増収部分は約1億円ほどというのが昨年の協議会での説明でした。

 今日の協議会では「国民健康保険税の今後のあり方について」が議題でした。協議会の委員は2年ごと交替なので、それをにらみながら議論をしなければなりません。来年度の5月末までにはこのメンバーでの一定の方向性を出すことが求められます。
 健康保険は憲法の「健康で文化的な生活」を保障するためには不可欠で、セーフティネットの最たるものだと考えられるので、一般会計からの繰入れを行うことは致し方ない…とは思う一方で、この構造は、いわゆる会社の健康保険組合に加入している人たちは二重、三重の負担をしていることとなりますのでバランスを欠如していると言えます。私も何度もこのことを考えてきて、昨年の国民健康保険税率を上げることに対しても、総体として見ればほとんど効力がないのかもしれませんが、特別会計を独立採算で運営するため努力、それから一般会計をも厳しくなっていることを考えれば、税率改正もやむを得ないと判断しました。
 しかし税率が上がる方向でのむやみやたらでの改正は厳しいわけで、これからのことを考えれば、やはり「国民階保険」の制度のあり方そのものを見直すしかないのです。この問題に関しては、自治体へのしわ寄せを感じてなりません。結局は国での制度改正がなければ、いつまでたってもこの状況は続くのです。破綻しているのに、それをごまかして繕ったツケを払うのは…路頭に迷うのは国民であり市民です。

 そして、もう既に自治体レベルでの議論は先が見えないことを承知しつつも国民健康保険運営協議会で「今後のあり方」を議論しなければならないのです。虚しさを感じる一方で、置かれた状況の中でより‘マシな’方向性を見出さなければなりません。とても重苦しい雰囲気の中で議論が進みました。
 しかしながら、今日の議論で「医療費の抑制」という問題になり、「無駄な医療費」に対する指摘がありました。これはとてもよくわかります。高齢者などが定期検診に行って、大量の薬を持ち帰るわけですが、結局薬を飲むのが嫌いで、そのまま放置しておく…という状況が散見されるのも事実です。実際に私の身近にも存在する状況です。しかしながら、念のための安心を得るために病院にも通い、薬もきちんともらいを繰り返すわけで、それもまた「健康管理」をしているとの自負につながっている部分もあると思われます。病院の待合室が高齢者の集いの場になっているとも言われますが、これもまた高齢者と社会との接点の一つになっているかもしれないのです。そうなれば、無下な対応はできないでしょう。
 「あなたはそんなに頻繁に来なくていいですよ。」と告げる医師はヤサシイのかキビシイのか…。医者に通わなくても、それとほぼ同様に健康チェックが出来る場所が地域に確保できれば、医師の誘導により、人の流れを医者から地域の健康チェックへと振り向けられるのかもしれないと思います。でも、その時には地域での健康チェックがやはり通院するのと同じような安心感と信頼があることが大前提です。高齢化社会を見据えても、何とか医療費抑制に向けたトータルでの健康保持政策を講じるしかありません。しかしこれにもきっと限度があると思います。

 結局は現行制度をずるずるとこのままに放置しておくことが問題で、いずれにしても一自治体レベルで議論をし尽くすことができません。
 ただ一つ、税の賦課方式については多摩市の場合は所得割と均等割の2方式を採用していますが、これから安定した財政基盤をつくるためにはこの2方式だけ継続するかどうかは議論の余地があります。要するに税収だけに注目すれば、どうやって加入者が負担をするのかという問題です。今後の課税限度額がどうなるのかはわかりませんが、所得割だけに頼ってはいられないと思っています。他自治体では資産割や平等割という方法も採用しながら、税徴収をしています。多摩市では資産割、平等割を廃止して2方式にしてきた経緯はありますが、今の状況を考えた時、2方式のままでいくことに私自身は疑問です。

 私自身も使いますが、「みんなで支えていく社会」というのは本当に聞こえがいい言葉だと思います。

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2004年05月13日

まずは障害者モデルを。

 午前中に多摩市手をつなぐ親の会の総会に出席しました。会員が3年前くらいから伸び続け、今では175名に達していて、障害児(者)数が増加していることを実感しているとの話がありました。もちろん、その分析も当たっているように思いましたが、私は、この会の活動内容が充実していることや、また、ハンディを背負っている事について今までは閉じられた空間の中で抱えこんでいた人たち(家族含めて)が昔と比較すれば社会に出やすい環境になりつつあるとも考えられるように思いました。

 総会には市長、議長や行政の関係者に国会議員、都議、そして市議会議員がズラリならびそれぞれ挨拶をしましたが(総会自体よりも挨拶のほうが時間が長かったです。)、一言で短く挨拶をしようと考えたとき、私がふっと気になったのが「手をつなぐ親の会」という名前でした。
 つまり、今では「地域共生」が当然の謳い文句が如く語られるのですが、昔は「まずは、親どうしが手をつなぐ」ことからでしか障害児(者)を取り巻く環境を考え、行動出来るような場がなかったということを表していると思ったからです。すでに総会も36回目を数えているのですが、その歴史をたどってみると、社会環境の変化も見えてくるような気がします。今は、ボランティアやNPOなど「共生社会」という理想を実現するために活動をする場所が増えていて、当事者らのみではなく地域が支えることへの理解とその大切さがじわじわと広がってきました。もちろんまだまだ不十分な点はありますが、時代は確実に前向きに歩んでいると思います。

 それにしても、財政難を抱える市長の焦りと言うのか…?市長の挨拶では「行財政再構築」に関する説明がありましたが、財政難の話はともすれば本当に展望が描けなくなり、夢がしぼんでしまうし、元気がなくなります。市民とともに知恵を出し合うことで、何とかまだ財政的な体力が残っているうちに再建したいというのが市長の方針だと痛いほど感じるのですが、逆に私は「希望が持てない」とつながりやしないかと危惧しています。今日もその思いを持ちました。

 デンマークやイギリスでは脈々と流れる福祉政策の基盤に「障害者」が存在します。まずは「障害者モデル」から政策が始まり、そしてその上に「高齢者モデル」があるそうです。ところが日本では「高齢者モデル」が「障害者モデル」と連動して確立していない傾向があります。多摩市の健康福祉推進プランを見てもわかりますが、とにかく「高齢者福祉」分野の計画の分量は介護保険も含めてですが、障害者、児童、健康などの他の分野に比べて圧倒的です。このことを考えてみても、「障害者モデル」から出発している諸外国の政策方向との違いが見えます。
 私もつい最近に、この話を聞いたのでまだ勉強不十分ですが、政策の打ち建て方として「障害者モデル」を礎に据える事がとても大事だと感じています。

 今日は、ちょうど午後からも「障害者の就労支援」をテーマにした学習会にも参加し、アメリカの障害者法(ADA法)のことなども含めてコミュニティサポートセンターの斉藤明子さんに話を聞きました。アメリカでも1960年代には養護学校、施設、作業所が障害者の居場所であったけれど法律ができた効果がとても大きかったと言います。特に事業者に求められる責任、「ハンディを理由に就労を断われない」ということ、裁判などでも「就労能力」という部分について、障害者が証明する義務はなく、雇用者側にその説明責任が求められるところが法律の最も特徴的なところだと指摘していました。
 斉藤さんはもう20年以上も障害者支援分野で活動をされていますが、精神障害分野が日本ではものすごく遅れているとおっしゃっていました。これは医学上の問題とされてきていて、ここにかかっている医療費は約55億円だそうですが、精神障害者が社会的入院を解消するために使われているお金は約3千万円しかないのが日本の現状であると話されていました。この数字にも考えさせられました。

 また、障害者のためだけに用意されているような場所がたくさんあると思います。多摩市でもいわゆる「福祉的な場所」として整備されているところがありますが、やはり誰もが利用出来るところに障害者も参加していく事が大切だと強調されていました。ここにはもちろん社会の意識もあると思いますし、障害の程度によっても変ってくるのだと思いますが、「本人中心」ではなく「親中心」、実は保護者の安心が福祉施策の柱になってきたことも指摘されました。これはある分、外れていない見解だと思います。これは児童福祉などの問題を考えても当てはまる事のように思うからです。
 「誰にとっての社会サービスなのか?」…福祉分野に対しての考え方はもっと当事者中心であるべきです。その視点に立って政策点検をしなくてはなりません。そして障害者モデルを点検し、高齢者モデルとのつながりを見出しながら、一つ一つの事業を体系化させていく事が必要な作業だと考えているところです。

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2003年09月19日

介護保険の改善提案について

  生活クラブ運動グループで介護保険の改善提案をするために健康福祉部との懇談をしました。運動グループでは介護保険制度が始まってから、定点観測的に調査をしています。同じ人をずっと追っていくので、既に容態が悪化して在宅介護から老人ホームへと移った人や亡くなってしまった方もいらっしゃるので年々調査対象者は減っています。
 けれどもずっと続けて調査をしているというのはやっぱり大したものだなあと感心しまいます。この調査については私がネットに関わる以前から続けている調査ですが、私もこの調査のことを知っていたら調査員として取組んでみたかった気がします。

 さて、懇談の方では多摩市の特性を踏まえての提案をしました。運動グループの調査自体は東京都全域が対象となっているので、それをさらに多摩市に落としこんで5つの制度改正へ向けての提案をしました。介護保険は多摩市の自治事務なので、弾力的な制度運用が可能です。
 
 ①まずはやはり介護保険制度について周知徹底が必要であること、介護保険制度の利用者を少なくし、なるべく介護予防に力を注いで欲しいわけですが、保険料は支払っているけれど制度の仕組みがよくわからない人が多く、‘いざ’という時にすぐに対応できないという現状があります。特に40歳以上の人は保険料を支払っていますが、ほとんどが給料からの天引きなので意識が薄くなりがちなのかもしれません。

 ②ヘルパーの技術アップですが、これは現在総合福祉センターには生活訓練室みたいなものがほとんど使われずにおいてある状況です。そういう施設を有効活用して研修に使ってはどうかという提案。

 ③自己評価・事業者評価。これもヘルパーの質や技術を向上させるために行うものです。生活クラブ運動グループではNPOアビリティクラブたすけあい‘ACT’があります。多摩市ではNPO法人つむぎがそのグループに所属をしながら活動をしていますが、このACTグループでは自己評価システムを確立しています。第三者評価ももちろん必要ですが、まだその仕組みが発展途上にあるので、自分たちで自分たちの仕事の評価や反省をしながら活動の幅を広げています。

 ④NPOへの支援や協働の在り方と⑤住宅の階段についての問題。この2つはニュータウンの特性に関連したものです。市内の団地にはエレベーターがないので階段の上下が億劫になり、閉じこもりがちな高齢者が増えつつあります。そのために在宅で介護をするにも限界があるのでないかという意見です。市が民間のアパートなど住宅を募集してグループホームやグループリビングをNPOに運営委託をする方向を考えて欲しいということ、それから車イス利用者のために簡易な階段昇降機などを団地ごとなどに常備できるようにして欲しいということです。

 部長さんと担当課長さんで和やかに話し合いをしましたが、やっぱり「先立つものはどこからお金を捻出するか?」というのが当面の課題のようでした。
 私は昨年の9月議会で前年度の介護保険制度への改善提案を受けて一般質問をしました。当時から、特に地域力に注目をしていたので、地域ごとに「地区計画」みたいなものを作成し、地区事情を把握出来ることが必要だと提案しました。その時から地域ごとに在宅介護支援センターを核にして、上手く活用したいとの方針を示していましたが、一年たってもあまり状況は変わっていないようで、まだそれほど地域レベルでの取組みは強化されていないみたいです。
 「いろいろとお願いはしているのですが・…。」というとっても語尾が消え入るような返答で、こちらも気が抜けてしまいます。もちろんお願いをしてやっていただく…という面はあるのかもしれません。でも市として、今後地域でどのように高齢者を支えていこうとしているのか?のビジョンを示した上で「必要な役目」を果たしてもらえるようにリードしなければ全く無意味です。
 「支え合い」の仕組みは行政では決して作ることが出来ません。行政はその仕組みを作るための側面的な支援をし、地域の人たちで地域を支える構造をいかに構築できるのか?このためのアイデアと工夫をしてもらいたいです。そのために必要なのはお金なのか、地域の核となる人物なのか、それとも場所なのか?…ニーズの把握からはじめてもらいたいと思います。

 それから夕方、東京ネットの部会活動に参加する前に新宿の京王デパートへふらりと寄ってみましたが、阪神優勝の大効果を目の当たりにしました。桜ヶ丘の京王デパートのことが頭にかすめました。あっちも優勝景気になっているのだろうか?

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2003年08月17日

地域で支える仕組みをつくる

 2泊3日で手をつなぐ親の会の研修旅行に連れていってもらいました。昨年に引き続いて、ボランティアとして参加させてもらっていますが、ボランティアと言うよりは私にとっては夏休みのお楽しみイベントで、パソコンがないだけでも随分なリフレッシュになります。親の会は知的障害児を持つ市内のグループですが、稲城市からの参加者もいて、研修会では稲城市の状況なども聞くことが出来て、有意義だったなと思います。それにしても3日間とも大雨洪水警報には参りました。
 
 去年も参加したこともあり、成人部に所属しているメンバーとは顔見知りで、ほとんど友達と一緒にバスツアーに出かけている気分です。中に小学校の時の同級生がいることが、私がこのツアーに参加する一番の動機で、すんなりと会になじめる大きな要因です。「友達感覚」で参加をしているので、ボランティアであることすら忘れてしまいます。

 「『理解できる人』が譲り合えばいい。障害者が道の真ん中を歩けるようにしなくてはならない。」と教えられて育ちました。今の日本は点字ブロックにしてみても、非常に遠回りに設置してあるように感じます。バリアフリーとは言っても、どの視点に立ってバリアを取り除こうとするかが重要なのに、そこの部分の議論が不十分で、一応バリアフリーの体裁だけ整えてあるだけのところも少なくありません。
 さて、『理解できる人』が譲り合うと言うことですが、3日間だけですが一緒に行動をすると障害者どうしで支えあっていることが本当によくわかります。年長者は年下の子どもの面倒を本当によく見るし、ひとりで出来ないことは誰か仲間を探して一緒に協力し合おうとします。聞き分けることが出来ない子どもがいれば、ちゃんと年長者が言い聞かせたり、年長者が子どもに対しては本当によく譲ってあげる姿を目にします。

 障害者という一括りで物事を考え、処理しようとするのは間違っていると感じるわけですが、一般的にはそのことはなかなか理解されにくく、しかも障害者施策など制度設計をする時には難しい部分です。障害者と言っても、本当にみんながそれぞれの個性を持っている中で、個別のニーズに応えられる制度にしていくために最も不可欠なのはコーディネーター役をしてくれる相談員や係員だと考えています。この4月から支援費制度がスタートしていますが、この制度には介護保険制度で言うケアマネージャーような存在がないことは制度の欠陥だと思っています。個別のニーズに合わせて選択をし、負担をしていくという考え方を否定するわけではありませんが、制度が機能していくための環境はまだまだ不十分です。

 今回の研修旅行でも一番の問題は「親亡き後」という話でした。兄弟にしてもそれぞれ自分たちの生活を抱えている中で、誰が彼らを支えてくれるのかという不安を抱えている親が多いのです。もちろん多摩市の財政難にも話が及び、今後、障害者対策がどのようになるのかも気がかりなところです。多摩市の障害者施策は他市よりも充実しているとされています。「…充実しているから、じゃあ、他市並みにしていくのか…?」と言えば私はそういう比較検討の仕方はナンセンスだと思っているので、多摩市の方針として‘まちづくり’の特色をどのように打ち出していくのかが問われている部分だという考え方を伝えました。市民の意見や、それこそ議員の主張に耳を貸しながら、市長が方向性を明示しなければならないと思います。でもその行方を見守るのも、行方をつくっていくのも当事者であることは間違いないし、その意味では「障害者」の利益というよりは、共生のまちづくり」の仕組みとして客観的な視点から、今の状況を一緒に考えていきたいと改めて考えているところです。でも「地域での助け合いの仕組み」というのは言うのは簡単ですが、とても難しいことなのです。

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2002年11月14日

福祉オンブズマンシンポジウム

 午前中には明後日に開催されるグラン多摩フェスタの準備のため、南落合複合施設の清掃を手伝いました。といってもほとんど出る幕もなく、せっせと手際良くモップやほうき、雑巾を手にした市民の方が動いてくれます。そのパワーはすごいです。清掃委託業者以上の働きっぷりです。
 午後から福祉オンブズマンシンポジウムに行きました。会場のパルテノン多摩小ホールにはNPO関係者などを中心として市の職員も集まり、わりと盛況に開催されました。福祉オンブズマンはまだ設置されてから日が浅く、認知度もそれほどないのが現状です。まずは、介護保険制度が始まり、福祉の在り方が措置から契約へと変わる中では、やはりオンブズマンのような中立公平な苦情処理機関は必要です。来年の4月からは支援費制度がスタートしますが、これにおいても同様です。
 前にも書いたことがあると思いますが、多摩市の福祉オンブズマンの特徴は行政のみならず、行政と協定を結んだ民間事業者についても苦情申立てができるところです。これが画期的なので全国的にも先進事例として取り上げているのです。
 とはいうものの、まだまだオンブズマンが処理するになじむような苦情は少ないようです。小さな相談などの受付もするようで、結構煩雑に対応に負われているような印象です。今年に入ってからは苦情件数が大幅に増加しているので、オンブズマンの存在が少しは浸透してきているように感じているようでしたが、それでも実は見えないところに、いわゆる「声なき声」があるという問題意識で仕事に取り組んでいるようでした。
 このシンポジウムはオカリナ演奏、弁護士の基調講演、オンブズマンがコーディネーターで市民代表(身体障がい者)、ケアマネージャー、事業者、NPO代表のパネルディスカッションという構成で、とても盛りだくさんでした。パネルディスカッションではそれぞれの立場から、さまざまな意見が出されたものの、その意見を議論する場がなく残念でした。オンブズマンの役割は何となくわかったけれど、例えば役所の相談窓口とどう違うのか?とか利用する人にとってみればオンブズマンでも役所でも相談窓口としては同じだからこそ、「オンブズマンが処理するに適さない」苦情が寄せられているわけで、本当にその相違が明らかになれば面白いし、オンブズマンが今、現在で感じている多摩市の状況なども語ってもらいたかった気がしました。
 最後に、会場からの質疑がありました。その中に「行政が指名したオンブズマンが本当に中立性を保てるのか?」という問いがありました。これについても明確な回答がなく、会場からの一瞬の笑いの渦で消え去ってしまいました。残念でした。
 私はオンブズマンの姿が全然見えないし、私自身もオンブズマンの方々を初めて拝見しました。二人のオンブズマンがいますが、二人とも女性です。私は、そこに結構不満を持っています。なぜ二人とも女性なのでしょうか?なんとなく、せっかく二人そろえるなら男女一人ずつのほうがバランスがいい気がしています。女性のほうが福祉オンブズマンの仕事をするにふさわしいなんて判断はおそらくないと思いますが。
 行政自身もオンブズマンをどう活用していきたいのか?そして何を実現しようとしているのか?ただ苦情処理をして欲しいだけに存在するならば必要がないと思っています。もっと明確に打ち出してPRすることで、オンブマンの存在を確固たるものとし、オンブズマンの重要性がますます増していくでしょう。
 まだまだ発展途上にあるなあというのが個人的な感想です。

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2002年11月07日

老人施設見学・街並み見学

 午前中は稲田堤(川崎市多摩区)のベネッセくららの見学、午後は国分寺の街並み検証をしました。こんなに寒い日の見学会は、本当に億劫ですが、そんな甘っちょろいことを言ってはなりませぬ・・・・と言い聞かせながら出かけました。特に午後は散策をしながらなので、お天気が良ければ最高なのですが、期待外れの寂しさ漂う灰色の空には全く気持ちがのりません。
 さて、私は老人施設の見学は初めてです。ただ昨日、映画「ホーム・スイートホーム」にも痴呆症の老人を抱えた家族が施設を探し歩く場面があったのですが、家族が安心して「預けたい」「預けられる」施設に出会うことの困難さを感じていました。特にお金の面は問題です。
 今日は川崎市多摩区にあるベネッセホームくらら稲田堤を見学しました。ここはベネッセグループの高齢者介護事業を専門に行う㈱ベネッセケアが運営しているところです。
 もともと大手企業の男子独身寮だった建物を高齢者施設用にリニューアルしています。ベネッセケアは介護保険制度施行と同時にスタートした会社ですが、有料老人ホームは全国で20ヵ所、グループホーム2ヵ所、ベネッセ介護支援センターは15ヵ所もあります。高齢化社会をにらんだ事業展開で、当初はグループホームを中心にする方針だったそうですが、グループホームは採算を取るのが大変だということもあり、有料の老人ホームの設置に力を入れるようになったそうです。そしてちょうどバブル崩壊で企業が独身寮を手放すようになったので、それを有効活用する形で事業をスタートしました。
 ところが、これが後々にはやはり不便をきたしているようで、訪問した稲田堤の施設では、使い勝手などを考えた修繕改修工事をわりと頻繁に行ってきて、かなり設備投資をしているとの話でした。新築するよりも経費節減できるメリットの一方でロスも多いようです。場所についてですが、稲田堤の場合にはオーナーがあるようで賃貸しているそうです。
 ホームではスタッフは9名体制です。日中は7名、夜間は1、2階で各1名ずつです。入居者は平均年齢女性が85歳、男性84歳です。男性は6名だけで女性の入居が多いとのことです。入居者は介護度によって3グループに分かれています。グループ毎には自分たちで勝手に行き来することはできません。階段は使用不可で、エレベーターを使用しますが、これは暗証番号が必要で、必ずスタッフ付です。厨房は外注で「くらら」の栄養士と連携をとりながらメニュー調整をしているそうです。
 とにもかくにも限られたスタッフの中で様々な企画を立てていくことが辛いといいます。人件費がもちろん莫大です。正社員は4名、契約社員10名、あとは非常勤のスタッフで総勢22名です。経営状態については非公開でしたが、「こういう事業は赤字は覚悟。これからだんだんと黒字にしていくしかない。」という施設長さんの話でした。館内を見学しましたが、ケアはものすごく行き届いているようで、心地よさそうに思いました。部屋は広めで、ベッド、棚、洗面台、トイレ(もちろんバリアフリー構造)です。食事はみんなでランチルームに集まりますが、これも介護度でわかれた3グループが基本です。
 面白いのは部屋の名前です。病室ではない、生活感を大切にしたいということで「かえで町113」「つつじ町207」「ふよう町220」のように表札風です。この番地の下に個人名があります。
 そしてさらには利用者の家族に対しては、毎月一度状況報告をするレターを送付しているそうです。頻繁に訪問しにくる家族もいれば、全く施設に預けっぱなしという場合もあります。施設のほうからは「会いに来てください」という風には言えないので、せめて状況を最低限は知っておいてもらいたいと記録を送ります。
 また、立地条件がよく、稲田堤の土地柄は昔ながらの地域のつながりが残っているそうです。地域からもボランティアが加わってくれたり、自治会の催しに参加させてもらったりしながら、施設と地域住民との交流を深めています。施設としては少しでも地域に還元できるものを生み出したいとして、今年は夏祭りに施設でみんなで作ったクッキーを10円で販売したそうです。
 しかしながら入居者の負担は重いです。「くらら」ではスタッフが利用者2人にたいして1名つきます。これが費用の上乗せ分になります。「くらら」稲田堤の場合は自己負担額は月額約32万円から37万円(介護度による)です。入居保証金は1,000,000円です。素晴らしい施設を見たところでこの金額・・・納得がいくような、でも厳しい現実を見せつけられたようで心苦しいというか・・・。お金のある人はいいのだけれど。 
 でも「くらら」は当初グループホームを目指していたこともあり、老人ホームとは言え、雰囲気はとてもアットホームでした。一緒に見学に行った仲間も「いいなあ」と洩らすほどでした。それにしても介護とはとてもお金がかかることです。本当に深刻だと思いました。ここのホームに入居できるのは幸せなことだとも感じました。とは言え、やはり自宅で「死ぬまで元気!」を目指すのが一番です。介護予防策を地域で実現することしかないんだという思いも一段と強くしました。

 そんな気持ちをあっさり切換えて、午後は街並み探検。都市計画ってなんだろう?を約3時間ほど散策をしながら考えてきました。国分寺は遺跡がたくさんあります。歴史の街並み、湧水保全と開発の関係、今、行政、市民、事業者の3者での協議会が発足したそうです。これからのまちづくりを考える上で、この取組みは非常に注目されるところです。
 住民エゴだけでは説得力がありません。そこを理解して、自分たちの要望や要求をどれだけ他の人たちにも共有化していくのか?これが大切なことです。国分寺市の動きは多摩にとっても参考になりそうです。
 「おなかいっぱい、消化不良」・・・これが今日の感想です。 

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2002年10月26日

当事者の声を聞くのが一番です!

 朝から諏訪中学校の合唱コンクールを見学しました。私は中学から女子のみに囲まれていたので、とても新鮮でした。特に一年生は男声のパートにまだ声変り途中なのか?声変りしていない生徒の声が甲高く混じっているのですが、それでも一生懸命に歌う姿には拍手でした。途中までしか見ることが出来ませんでしたが、学年が上がるほどやはり声量が増えるのか、歌声が大きくなっていました。
 保護者席で見ていた私にとって気になってのは、いわゆるちょっと不良少年と位置付けられる生徒のことでした。髪の色は金色でシャツもボタンを半分くらい開いている、かわいいツッパリ風の生徒でした。彼らは態度こそちょっとすねているのですが、一応、周りと同じように舞台に拍手を送るわけで、私はその姿を見てうれしくなりました。でも後ろ姿に感じられたのはあり余るパワーで、よっぽどその他のおとなしく席についている生徒の背中よりも力がみなぎっていると思いました。私がとても気になったのは彼らに対する先生の接し方でした。もちろん態度が良い訳ではありませんが、彼らなりには周りに迷惑をかけないようにとしていることは感じられます。ところがちょっと横を向いて、保護者席の方や周囲を見回そうとキョロキョロするだけで、先生が注意をして、おまけに頭つかんでを前のほうに向けようとする(力任せではありませんが)のを見受けられました。私はそんなことまでする必要ないのに・・・と思いました。ちゃんと席について、歌が終わると拍手もしているし、それで十分、彼らは責任を果たしているのになあと思ったからです。彼らの着席する周りに監視員のように先生が数人いたことも気になりました。残念ながら彼らの歌声を聞くことは出来ませんでしたが、公立中学校に初めて触れました。私はNHKの「中学生日記」という番組が大好きなので、ナマで公立中学校の雰囲気を感じられたことはうれしいことでした。

 午後は予定を変更して、移動困難者に対する移送サービスを提供している事業者たちの連絡会に参加しました。多摩市でサービスをしている「ゆづり葉」の理事長杉本さんより連絡をもらったからでした。
 多摩市では高齢化も進むし、ニュータウンの起伏の激しい地形、そして階段のない団地・・・・今後、移送サービスをどう展開していくかは課題です。それについて関心を持つ一人として、東京ハンディキャブ連絡会の地域懇談会が多摩市で開催されるということだったので、これは参加するしかないと思ったのです。地域懇談会は何とはじめての試みだったそうで、各地域でサービスを提供している事業者さんたちが集合して日常に抱える悩み、自分たちの工夫などの情報交換をしながら、地域間の連携を考えていこうとするものだったように思います。国分寺、日野、町田、横浜市青葉区、立川市、世田谷区と東京脊椎損傷者協会というグループの人たちがが集まりました。
 たくさんの課題がある中でもやはり一番は社会的信用をどのように獲得していくかということでした。国土交通省もようやく重い腰をあげて、ガイドライン作成をする方針ですが、移送サービスの事業者としてボランティアやNPO団体が認められるためには、安全の確保や利用者からの信頼度などを含めて、どれだけ地域で欠かせないものとなっているのか、地域に根づいているのかが問題になってきます。サービス事業者としてもっとPRをしていくことも必要だし、利用者一人一人にていねいな対応をしているという実績も大切、そして何よりもサービス提供者としてドライバーの研修も含めた育成体制などでも、社会的信用が得られるような努力をもっと積み重ねていこうという共通理解があったように思います。そして何よりも人件費は重要課題です。介護者を車に移動させるまで、例えばおんぶをしたり、抱きかかえたりすることも多いのですが、その時には若い労力が欲しいということです。でも現状ではほとんど若い人が従事出来る体制にはありません。若い力を移送サービスに取り込みたいという思いはあっても、今のようなすずめの涙ほどの賃金ではとうてい無理・・・というのが現実です。
 さて、国土交通省のガイドラインについて、その中味が一体どうなっているのか?という質問がありました。けれども今のところ、まだ内容が確定していないので公表されていないとのことです。意見では、なぜガイドライン作成について国交省がやってしまうのか?サービス提供者も含めて一緒に考えるべきではないか?というものがありました。私も賛成でした。
 概してNPOやボランティアグループというのも行政に対して、自分たちの結論が固まった段階で要望を行うわけですが、私自身は、例えばこういう地域懇談会などの場にもっと行政担当者の参加を呼びかけ、見てもらうことが一番だと考えています。結論が固まった上で・・・というのは最終段階ですが、本当はその結論がどんな議論の経緯のなかで決まってきたのか?それを行政に知らせていくことも大切なことだと思うからです。そういう意味では今回の地域懇談会はとても有意義でした。当事者の声を聞くことが一番です。結論を出すわけではなく、互いに情報交換をしながら迷いながら、解決策を見つけようとしている場面に出会うことの中から、私自身がどうやって彼らの活動をサポートしていけるのか考えられるからです。今日の私自身の結論としては、移送サービスの必要性を感じている人たち、移送の困難を覚える人たちの声を「ゆづり葉」に届けること、そして「ゆづり葉」というグループをPRすることが今出来ることかな・・・ということです。

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2002年10月01日

障がい者支援の難しさ

 支援費の制度開始まで半年になりました。多摩市での支援費支給の受付は来月からです。私に対する意見として「支援費制度の開始で行政職員の想像力が試される」というものがありました。私も同感です。どうやって障がい者の自立を支えていけるのでしょうか?個々に全くケースが違い、それぞれにはやはり肌細かな対応が必要です。現段階で障がい者支援について社会基盤整備が万全に整っていない中で国の制度変更に伴い対応をせざる得ない自治体にとっては本当に苦しいところです。もちろん一人一人が自分自身に責任を持つという点で、障がいがあってもなくても『契約』のシステムを導入していく流れは当然のことのように思います。けれども支援費制度のシステムはまだまだ時期尚早のような気がしてなりません。
 多摩市には「のーま」という障がい者支援センターがあります。特徴は身体・知的・精神と3つの障がいを持つ人々全てに対応する施設であるということです。今年の5月に開設したばかりなので、まだまだこれからという段階ですが、「のーま」を拠点に障がい者支援を展開してもらいたいと思っています。今、「のーま」ではパソコン講座を行っていますが、この講習会では視覚障がい者の方も先生として活躍していてピア・カウンセリングとしても有効だとの話です。もちろん講座は大人気で今後も就労支援のひとつとして「のーま」の事業として力を入れていく方向です。けれどもパソコンの技術を習得して、その後が最も難関です。つまり就職先、就労先を見つけることが障がい者にとっては非常に大きな壁となっているのです。多くの場合、障がい者はいきなり企業や事業者ですぐに入り込めるというわけではありません。やはり技術の取得とともに環境になじんでいくための訓練、職場訓練が必要です。ジョブコーチをつけ、一緒に職場になれ、そして仕事をこなせるようにしなくてはなりません。つまり技術習得から就職までのハードルがあるわけです。このハードルをいかにしてクリアできるのか、支援策を講じなくてはなりません。そこに行政として市内事業者への協力を求めることを進めて欲しいと思っています。
 同じ福祉の問題でも高齢者の問題と障がい者の問題とは異なるものだと言います。私も目から鱗というか…「あーそうだよなー・・・。」ととてもショックを受けたのですが、高齢者というのは誰もが年をとるし、ある意味では「余生」の問題だけど、障がいというのは人生での「現役」の問題でそれこそ『人生の価値』で切り取った時の重みが違うというのです。私はこのことがズドーンときたのです。
 障がい者の問題はその年齢に応じて必要な対策も異なる、つまりニーズが異なってくると言います。けれども究極というか結局はいかにしてみんなが自分自身で生きていくことが出来るかという‘自立’がキーワードです。私が今、そのために出来ることは何なのでしょうか?
 答えが明らかではありません。とても不完全です。でも私はそのことを憂う気持ちはありません。今、私は快く受入れてくれている障がい者の人々とともに旅行と楽しんだり、イベントを満喫したり、市役所の売店で彼らの作るパンを買っています。特に売店でパンを購入する時に交わす会話が私にとっては楽しみです。私は必ず彼らのお奨めを聞きます。その時彼らは自分たちの思い入れの強い商品を奨めてくれます。要は、販売している当人が一生懸命こねたパンなんだと思うわけです。私はそういうところで協力しながら彼らのニーズを一緒に考えていきたいと思っています。甘いかもしれないけれど、今、これが私の精一杯出来ることです。
 支援費制度に変わる中で、制度だけではなく、本当は地域で彼らを支えていくべき人間そのものも変わることが必要なのです。ちょっと?随分前のイチローのCMですが「変わらなきゃ!」っていうのがありました。本当にその通りだと私は思っているのです。

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2002年09月14日

介護保険シンポジウムなどなど

 介護保険制度についてのシンポジムに参加しました。参加した一番大きな理由は多摩市の職員がパネラーで出ていたこと。そして次に、先日の一般質問で介護保険制度の改正のことをテーマに採り上げたので、やはり、その動きについては見守っていきたいからです。シンポジウムの内容は、これまでにも自分が調べてきたことがほとんどでしたが、パネリストのなかに多摩市、杉並区、東京都・・・・厚生労働省が揃っていたことで、それぞれの立場を比較できたことが良かったと思います。
 厚労省からのパネラーは7月に行った移送サービスの会合にも出席していた若手の職員でしたが、既に官僚っぽくて、まるで国会の答弁のような回答をする点には実感が伴っていないんだろうなあ…と感じました。東京都は第三者評価制度について語ってはいたものの、都として介護保険の制度をどのように捉えて進めていこうとしているのか?があまり明確には示されず残念でした。これについても実感の無さが影響しているように思いました。
 結局、全て負わされるのが基礎自治体の多摩市なり、杉並区となるわけで、さすが実際に身近で介護保険制度を考えているので、発言も真実味があって力強い気がしました。特に「地域の活性化、地域コミュニティの再生」が制度を円滑に進めていく上での課題だし、高齢化社会を乗り越えられるかどうかかかっている・・・というのには共感してしまいました。

 夕刻からは、夏に研修旅行に参加した手をつなぐ親の会の幹事の方との意見交換をしました。知的障がい児(者)の親にとって、来年から導入される支援費制度にとても不安であることなど、私自身も予想はしていたけれど、予想ではなくて現実、生の声に出会うと、そのことが本当に切実であることに思い知らされます。支援費の給付に当たって、審査をするのは市職員です。もう10月以降に障がいを持つ市民への聞き取り調査も始まるといいますが、一体全体、行政は聞き取り調査といってもどんな風にするのでしょうか?ただ単に、○×形式で答えても意味が無いことがたくさんあるというのが当事者たちの声です。私も全くそのとおりだと思うわけですが、じゃあ、それなら何が出来ますか?と対案を求められるのはまた厳しいのが現実です。
 とにかくこの6月に提示された厚労省の分厚い資料を全部読んでみたけれど、国として、都として、多摩市として…のような関係性すら明らかにはされていないのです。そんな中で制度ばかりがスタートを迎えてしまうのはとても危険です。
 介護保険のシンポジウムのまとめ役が言いました。「この制度の本当の目的なんなのか?何を実現したいのか?・…これを常に念頭おかなくては、変わっていかないし変えられない。」
 今、いろいろな面で、この問いかけに対する回答を真剣に考える必要があるのではないかと考えます。私が思うのは、今の時代が過渡期であるということです。本当に自分たち自身も、この停滞しているというか沈黙しているというか、ダークに包まれている状態から脱出するためにも、ひとりでも多くの人にあきらめないで欲しいなって思います。

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2002年09月01日

介護保険制度改定についての地域懇談会

 明日から始まる9月議会。一般質問で「高齢者福祉とまちづくり」をテーマにしたので、地域懇談会に参加しました。地域懇談会は今月中に4回ほど行なわれる予定になっています。内容は介護保険制度の説明と、多摩市の現状、それから今進められている今後へ向けての動きについてでした。今後については一応の方向性が示され、それについて参加者がどのように考えるのか?と問う形式でした。参加者は私をいれて19人。説明は介護保険課の係長さんでした。係長は女性で、とても明解なプレゼンテーションでした。行政の説明会などは歯切れが悪いというか、大きな声でハキハキと説明されることがほとんどで、聞いてると睡魔に襲われることが多々あります。自分のことはさておきですが、市民に対して小難しいことを伝えていく技術の向上って大切だなあ・・・とつくづく思いました。そのためには自分自身の理解度も問われます。今日の説明を聞いているとさすが自分の担当分野を極めている!と感じました。
 今回の制度改定においてのポイントは保険料について、サービスについて、それから低所得者に対する配慮についてとなっていました。この3つの問題はもちろん絡み合っていて、サービスを充実すれば保険料の値上げにつながるし、低所得者への配慮についても同様です。介護保険では制度の中味を充実させればさせるほど、国が示す基本サービスに市が色づけすればするほど、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)の保険料に跳ね返ってくるという仕組みになっています。・…つまり市民が介護保険サービスの内容を市に要望すれば要望するほど、そして市がそれを全て受け入れてしまえば、そのしわ寄せは高齢者自身が負っていくということです。おそらくそのことを理解している市民は少ないと思います。…というのも今回の見直しで保険料が300円ほどアップする見込みが発表されただけでも、なんとなくため息で、今まで以上にサービスを充実しようとすればするほど…どうなるかを初めて知った人が多いように感じたからです。
 このような懇談会では市民がもっと活発に質問や意見を行政に対してぶつけるのかな…と思っていましたが、意外と静かに終わりました。その理由をサービスの充実と保険料との関係を知ったからだと私は考えています。例えば施設型のサービスを充実してもらいたいとします。けれども多摩市が現在介護保険から支出している年間費用で在宅サービス利用では1人あたり平均約119万円/年で、施設入所だと約377万円/年になっていることを知れば、認識も変化する気がします。けれども参加者からはとても厳しい意見もありました。「保険料とは言え、払う方からすれば税金としか思えない。正しく使っているのでしょうか?」もっときめ細かくサービスの内容を点検してほしい、税金を有効に使うべきだという意見だったように思います。もちろんその通りです。でも、私自身は行政だけに頼って税金の有効活用を望める時代ではないと思っているので、自分たちが市民としてどうやれば税金をいかして使うことになるのか?行政と知恵を出し合う必要があるのだ…と言いたくなってしまいました。すると担当係長さんが言いました。「地域市民の知恵や力を総動員しながら、介護保険だけではなく、介護保険の想定外の部分、つまり介護保険をとりまくさまざまな環境をどうやって豊かにしていくのかが大切だと思います。」私は彼女の回答に心の中で拍手をしました。この回答を具体的な形として地域でつくっていくことが「まちづくり」を生きたものにし、多摩市という「まち」を今よりもいい「まち」に変えていけると私は信じているのです。

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2002年08月15日

『介護保険ちょうふ市民の会』訪問しました!

 一般質問のテーマ「介護保険制度」。多摩市でどんな提案ができるのか?を探るために調布で活動をしている市民グループに話しを聞きに行きました。このグループでは介護保険制度や高齢者福祉の様々なサービスについて、市民からの相談を受付しています。けれども任意団体で、市から運営経費として年間2百万円ほど(平成13年度)をもらっているものの、事業受託をしているわけではありません。市民の有志がボランティアで行なっています。相談費用は一切無料です。相談窓口は調布の総合福祉センターの入り口の一角です。昔はロビーだったと思われる、福祉センターの事務局の目の前を約六畳くらいの広さをパーテーションでしきって事務所としています。常時相談員が2名います。ここが相談窓口ですが、それ以外にも出前相談や、介護サービスなどについての出前講座なども行なっています。
 このグループの発足は平成11年11月です。もともと調布市が介護保険制度の策定を行なう時になんと公募市民が10名いたそうですが、その中から約7名が手をあげてグループを結成しました。まず、驚きは公募市民が10人もいたことです。全策定メンバー25名中10名というのは非常に高い割合です。普通は公募市民といっても3名ほどだと思うからです。この策定メンバーたちは今後の調布の高齢者福祉のありかたについて「参画・協働・まちづくり」というコンセプトを掲げました。このコンセプトがやはり策定されたあとも継続して欲しい、自分たちの思いをきちんと実現してもらいたい…そのためにはやはり策定したものの責任としても制度運用を見守っていきたい!という強い思いがありました。そこがこのグループの根本にあります。介護保険制度や福祉制度は日々変化すると言います。そのスピードについて行くためには自分たち自身も勉強をする必要があるとつきに2回の学習会も開催し、もう来月で57回目を迎えます。研鑚を積まなくては始まらないとして、自分たちのグループも向上させて行きたいという意欲がとてもありました。そしてグループの強い思いといのは土日も相談業務を行なっていることです。休日は総合福祉センターの休館日のみ。仕事をしている人にも対応をしなくてはならないから、例え相談に来る人の数が少ないとしても土日に窓口を開けておくことは必須だと考えています。現在相談員は55名ですが、みんな会員として年間3000円を支払います。相談業務の状況は平成十二年度の介護保険がスタートしたときには550件ほど、昨年は453件、今年はもう少し数は減るのではないか…と見込んでいます。そのために新しく、今度は介護サービスなどの第三者評価をテストとして行なっています。来年からはこの評価を行なうために法人格が必要になるので、このグループを法人化するかどうか検討をしているとのことでした。
 そして介護保険サービスや福祉サービスに対する苦情などの相談窓口はやはり幅広い方がいい…との考え方はあっても、やはり市全体として今、サービスの状況、質がどのようにあるのかを把握するためにも、苦情相談にどんなものがあるのか集約作業を行なおうとしているところです。集約をして、その結果どうやっていくのかについて検討をしているということです。
 事務局長の増田氏は「交通整理」と表現しますが、市民がいろんな悩みや不安をどこに訴えていけばよいのかわからない…このグループはそんな市民の人に相談対応窓口の紹介の役割を担っているといいます。顔を合わせて相談するのはやはり、電話相談とは全く違うそうです。
 また、「自分は元気だから介護保険料を払いたくない!」という人には社会全体で介護を担っていく必要性を説明しながら、介護保険制度の適用は受けないけれども、高齢者として利用できるサービスの紹介をします。これは好評だそうです。
 このような市民相談の活動を続けてきて約2年半がすぎ、市に対してもずいぶんと対等な場所にたてるようになってきたようです。特に市のサービス案内のパンフレットなどは、市民の目で見てわかりやすくサービスを案内する工夫などを提案しています。その成果はいただいた調布市の福祉サービスの案内パンフレットに表われていました。
 芳賀代表、そして増田事務局長さんの指摘するように「協働」というのは一緒に汗を流すことです。『調布市の介護保険制度を包含した高齢者福祉制度を日本でもトップレベルにもってゆこうとする思い。その実現のために関係者が協働しよう。』これが調布の高齢者総合計画の方針で、この思いが全員で共有されていないと制度の向上は目指せないといいます。もちろん一方での目標は介護予防。一人でも多くの人が安心して自分の地域で健康に長生きできることです。代表も事務局長さんもそう若いわけではなく、引退をした後にまちづくりに関わったようでした。でも、調布市のまちづくりに「夢」を持っていました。会社人としての経験が地域の中で活用されているなあと感じました。
 多摩市の中でも市民自身の中から、このような仕組みが生まれてくること。調布市のように行政は金は出すけれど口は出さない…そしてこんなに上手く軌道に乗っている…そういう事例が生まれて欲しいな…と強く思いました。何でも行政に頼ればよいのではなく、自分たち自身も変わっていかないと「まち」が変われない…そんなことを実感しているのではないでしょうか?多摩市でも多摩市という地域のニーズに合わせながら市民自身がお互いにサポートしあう仕組みが小さくたくさんあって欲しい・・というのが私の一番の願いです。

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2002年08月14日

多摩市手をつなぐ親の会/夏季研修旅行最終日

 二泊三日はあっという間に過ぎていきました。多摩市手をつなぐ親の会は身体障がい児もいますが、大多数は知的障がい児を持つ親たちが結成しています。この会の会員に小学校の時の友人がいて親近感があったことが今回の旅行にボランティアとして参加した大きな理由です。というのも個人として参加をしていても肩書きはどうしても「議員」…これはどうしても拭うことができません。本当は参加のお誘いが届いた時、どうしようかとても迷いました。一議員がこの旅行にホイホイと参加していいものだろうか?けれども会長、副会長さんとも「ぜひ勉強にいらっしゃい」とのことで、5月の頃から声をかけてくださっていたこともあり、言葉に甘えての参加でした。でも本当に参加できてよかった・・・と思います。議員になったのが、この会との出会いで、一緒に旅行まで同伴できたきっかけですが、私自身は小学校の時の同級生の友人の一人…という気持ちでずーっと過ごしました。私自身が会のみなさんにどうやって受け入れてもらえるのだろうか?不安もありましたが、本当に快くボランティアをさせてもらえて、いい経験ができました。
 子どもたちはとても素直で、純粋無垢。「天使のようだ。」と表現した方がいらっしゃいましたが、同感でした。いやなことは徹底してイヤだし、うれしいことには心から喜ぶ…表現豊かで感性が鋭いなあと思わずにいられない場面にたくさん出会いました。気に入らないことがあると自傷行為に出てしまう男の子。自分の腕を思いっきり噛むのですが、それを見て止めようにも、力が足りなくて止められない私。心が痛くて、悲しいけれど現実の辛さを思い知りました。私はボランティアとして3日間だけをともに過ごすだけだけれど、家族は毎日向き合わなくてはならない。その苦労の大きさを目の当たりにすると、やはり福祉問題の奥深さを感じました。高齢者介護でも同様ですが、家族や周りの人々の精神的肉体的疲労ははかりしれません。
 さて、来年4月からの支援費制度導入ですが、やはり関心は高いものの、一体何がどうなるのか?について具体的に見えてこないというのが実態なようでした。「なぜ、市町村によってサービスの質が一定ではないのか?」という疑問もありました。支援費制度が導入されるとますます市町村によるサービスの違いが浮き出てくると思われます。私は皆さんにサービスを利用する人が利用する人たち自身でサービス提供をしている事業者などを評価するようなアクションを起こす必要があるのではないか?と伝えました。介護保険制度でも同様、やはりサービスの質を向上させるためには利用者が自身で声をあげていく・・・それも個人ベースではなくてある程度普遍化した意見として行政などに提示していく仕組みづくりをしていきたいということです。まだまだこの制度がどうなるのか?行政にヒアリングをしてみたけれど、実際の制度の姿が見えてこない…と会長さんはおっしゃっていました。
 「親がいなくなったら、家族がいなくなったら・・・。」これが一番の課題です。そのことが障がい児の親たちの気がかりで、最大の心の悩みであることは話しを聞いていて、ひしひしと伝わってきました。彼らが「自立する」ためには本当に大きな支える力が必要だと思いました。でも、私には今、どうすればいいのかわからない…具体的な仕組みがまだ描けない…そういう力不足を感じて、ちょっとうちひしがれる思いでした。「障がい者」と一言で言えるけれど、障がいにだってさまざまあります。そんな彼らたちが社会の一員として、自分自身を最大限活かせるような仕組みを実現させたいのはやまやまです。でも現実、とても難しい。特に障がい者の雇用の問題は身につまされます。あっという間に解雇通告を受けた経験や、職場でイジメにあっているという実態を聞きました。本人たちと口からぽそぽそと語られる言葉には彼らの忍耐力を感じるとともに、やはり障がいをもたない者たちの理不尽さに腹立たしくなりました。障がい者を支援するということは、私たち健康な者たちがどういう心を持って、暮しているのか?そのことにかかっていると思います。父がよく私に言うことですが、「我慢出来る人が我慢すればいい。日本は道路の真中を高齢者や体の不自由な人たちが歩けるようになっていない。そういう人たちがどうどうと道路の真中を歩けなくちゃダメなんだ」を思い出しました。
 3日間の経験は価値のあるものでした。参加して本当によかったと思います。そして帰り間際「また来年も一緒に行こう!約束だよ。」こんな言葉をたくさん出来た友人たちにかけてもらったことが何よりもうれしい彼らからのお土産でした。

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2002年08月13日

多摩市手をつなぐ親の会/夏季研修旅行2日目

 サイクルスポーツセンターへ行き、朝はいろいろな遊具で遊び、昼食をはさんで、みんなでプールへ。その後プールと併設の温泉でひとやすみ。夜は花火を楽しみました。個人的にはかなり・・・ぶりに水着を着ました。小恥ずかしいかったです。
 プールではみんな泳ぐのがとても上手でした。親の会ではプールの活動もしているそうです。体を動かすことはやっぱり気持ちいし、大切なことです。視覚障がいの方がいました。彼にガイドをしてあげながら、25メートルを一緒にクロールをしました。目が見えないので、他の人が前方にいないかどうか気を遣いました。「泳げてうれしい。」という一言をもらって何だか気持ちがいっぱいになりました。一生懸命ビート板を持って泳ごうとしている女の子にもせっかくの機会なので25メートル泳ぎきってもらいたくて、彼女に「手を伸ばして、足を伸ばして・・・キックしてご覧。」と泳ぎの指導(←一応)をしました。とても熱心で「もう、やめる。」と根を上げないので、こっちのほうが根負けしてしまいそうでした。彼女のご両親が「こんなに泳げるなんて、知らなかったです。」とおっしゃいました。「一生懸命で、私のほうが負けそうでした。」と私はもらしました。
 夕食後に親たちの研修会…簡単な意見交換を行ないました。来年から始まる「支援費」制度がテーマでした。まだまだ支援費制度について情報が不足しているように思いました。私も恥ずかしながら、支援費制度については理解不足で、あまり情報を提供することが出来ずに悔いが残るところですが、少し調べたりして、また何かの形で情報提供などできればいいなあと思いますし、介護保険制度に似ている部分もあり、やはり利用者本位の制度運営をするためには当事者の声を集めていく必要もあり、その際にはぜひ協力してもらいたい旨をみなさんに伝えました。

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2002年08月12日

多摩市手をつなぐ親の会/夏季研修旅行1日目

 三津シーパラダイスを見学しました。宿泊は北狩野荘で障がいを持つ人と家族を対象にした施設で、館内のバリアフリー構造は徹底されていました。三津シーパラダイスではトイレなども狭くて障がいを持っている人にとっては行動しづらい箇所が多くありました。誰もが楽しめるような施設づくりの必要性を痛感しました。

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2002年07月29日

結局どうなるの?

 東京都の福祉施設改革についてヒアリングをしました。いわゆる民力活用…というわけです。都立病院の廃止についても話題があがりましたが、それと同様に都立の老人福祉施設、児童施設、障害者施設などを民間移譲をしていく方針です。
 福祉のありかたを問い直す時代…これまでの福祉は限られた恵まれない人たちのためのものだったけれども、今は福祉のニーズも一般化しているとの説明を受けました。戦後直ぐに出来た福祉法のまま現在まで至っているし、当時考えられていた福祉とは様相が変化しているとのことです。行政はセーフティネットとして最小限のことをやるのみ…とするのも、この財政難の時代にはやむ得ないのかもしれません。けれども福祉分野での労働は極めて採算がとれにくいのが実情だということは認識する必要があります。多様多岐にわたっての需要があり、供給側がそれに対応する労力というのは計り知れません。特に地域での小さなNPO団体が福祉サービスを提供している場合には、本当に経営が厳しくていつも火の車状態で自転車操業です。一生懸命やればやるほどに採算が合わなくなるのが、この商い・・・ではないかと思ってしまう今日この頃です。
 さて、都の方針を聞いていても、都は撤退するけれど、一体その後にどうするのか?についてがまだまだ具体的ではありません。おまけに市区町村との関係をどう整理しているのかがちっともわかりませんでした。一番聞きたかったのはその関係でした。一体どうやって連携を図るつもりなのか?都の役割をどう位置づけ、認識しているのか明らかにはなりませんでした。さらに、印刷物でもらった報告書などを読んでみると、多摩市が考えていることと同じような理念や説明書きがしてあるので、これは多摩市でもやるし、東京都でもやるのか…という印象で、福祉サービスの提供はより地域事情に合わせて、そして住民に一番近い市区町村でというものの、実情はまったくそうではない様子がよくわかります。私としては思いきって、都の役割を整理した方がすっきりすると思いました。どこまで手を出すのか、手を引くのかがわからないし、質疑をしても、ほとんど回答になっていないことを言う行政職員の様子を見ていると、都がこんな状態なら地域は困るなあ・・・と思いました。要するに、結局どうしたいのか?それは財政難もあり福祉サービスから撤退をしたい。でもその先どうやっていこうかという具体的な絵はない。先行き不安だと感じずに入られませんでした。

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2002年07月16日

介護保険をのぞいてみると…

 台風を懸念しても、とりあえず実行した桜ヶ丘での朝の議会報告。予想通りに土砂降りの雨にあたり、ちょっとだけ雨にうたれながらマイクを持ってみたけれど、でもやっぱり無理。午前中の雨は久々にすばらしい!降り方で気持ちがすっきり。あれくらい激しいのは、じめじめ降られるよりも好ましいです。
 今日は楽しみにしていた介護保険の話し。担当係長の女性の方がとてもステキな方で、多摩市の現状をていねいに説明してくださいました。ちょうど今、介護保険は見直しの作業が進められているので、市が行なった様々な調査データを見せてもらいながら、これからどんな風に市が介護保険を運営していこうと考えているのか…その模索段階の話を聞くことが出来ました。まず今後の課題は3つです。いわゆる上乗せ横だしをどこまでやっていくのか?施設をどんどん増やしていくのか?保険料をどうするのか、減免制度をもうけるか?という点です。要するに切り離せないのは財政のことで、サービスを拡大して充実させたいのなら、当然市民の負担は増えることになります。それを市民として受け入れるのかどうか?負担できないのなら、サービスについてもこれ以上行政には求めることはできません。このスタンスをしっかり持たなくてはならないし、議員としても財政面と切り離して介護保険サービスの充実や拡大だけを行政サイドに要望することはできません。やはり何が市民の求めているところなのかを明らかにしながら、より有効なサービス提供をしていけるのか?そしてそのことが介護保険が適用されていない人にとってもどれほど手助けになることなのか?について示していく必要があると思いました。介護保険はもともと在宅サービスを重視して、支援していくという方向性がありました、。これは自宅で年老いても暮しつづけられるためであるし、施設型サービスだとどうしても定員などのキャパシティの問題もあり、在宅サービスのほうが柔軟に対応出来る可能性があることなどが理由としてあげられます。私はこの考え方はとってもいいと思っていて、やっぱり一言で老人…としても在り方は多様だし、年を重ねている分頑固だと思うし、施設型で集まってきた人を‘ひと束’と見ての対応には限界があると思うからです。そういう点を考えてみると、そこには<地域の人たち>という、重要なカギを握るセクターが発見できます。より木目細かにしてためには、どうしてもそのセクター…担い手をしっかりとつくっていく必要もあります。私自身が行政に望むのは、そういうセクターを上手に組織して、支えていくことで、地域を全体的に見てコーディネートする役目です。すでに福祉サービスに関しての苦情処理などでは、事業者と利用者間のコーディネートする役目を行う時もあるそうです。サービスの利用者はどうしても弱者になりがちです。このような事態は出来る限り、なくしていくことが必要です。
 何はともあれ介護保険の理念というのは利用者が自分で介護サービスを選択できることです。けれども現状は一体どうなのでしょうか?これは疑問残るところです。また家族介護をしている人についても「介護地獄」といわれるような厳しい状況があるわけで、そういう人たちをも含めて今後どのように多摩市の中で介護保険を展開していくのか?今、行なわれている介護保険の見直し作業は注目度大。この状況をふまえて私はどんなことを行政側に提案していけるのでしょうか?頭を悩ますところです。

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2002年07月11日

みんなが老人でも楽しい‘まち’にしたくて…

 今日は高齢者社会参加拡大協議会の総会でした。私は去年からこれに関わってきました。この協議会はこれからますます、そして急速に進む多摩市の高齢化を予測して、そして今でも約80%の高齢者は介護いらずで元気にしている状況の中で、もっともっと高齢者が元気になれるような「いきがい」を社会の中に見つけて欲しい!との思いでスタートしました。つまりは「介護予防」の視点にたっているのですが、年をとって家に閉じこもりがにならず、地域の中でどんどん活動してもらいたい!そんな場所を拡大するのが大きな目的です。長年培ってきた経験を地域生かすこと、それにより生涯現役であってもらいというのが願いです。特に団塊の世代がどっさりと会社を退職する頃…今でも会社人間にならざる得なかった男性陣は地域との関わりがなかなか持てないでいます。そんなお父さんたちは会社がなくなった時、途方にくれる・・・という話しはよく耳にします。「濡れ落ち葉」とか「わしも族」なんて言われてしまって可哀相に…と思います。
 私がこれに関わろうと思ったのは、『世代交流』に関心があったからです。多摩市では核家族が多いし、私自身も高齢者と同居していないことはありません。上手く説明は出来ませんが、お年よりの知恵袋を覗いてみたいよな・・と何気なく思ったのが高齢者の社会参加拡大を考える会議に参加したいと持った動機です。今、改めて考えてみると、地域で子育てを助ける仕組みが上手く作れないかなあ…と学生時代に考えたことがありました。例えば自分の母親はそばに住んでいなくても、自分の母親のように頼れる近所のおばさんがいてくれたら、子育てで悩んだ時もすぐに相談することができます。これは高齢者の力を借りることです。そういう意味でも高齢者の知恵や技術をいかせるような仕組みがぜひあって欲しいとの願いがあったように思います。
 人は自分の居場所というか自分自身が必要とされている…と思うことが生きていく元気になると思います。私はそういう点でもサラリーマンの現役は引退したら、地域デビューしてもらって、どんどんと企業生活で培ったノウハウを活かしてもらいたいと考えます。そのことで、介護も要らず病気にもならず元気な高齢者が増えてくれることは私たち若者世代にとってもうれしいことです。老人が公園の片隅でひとりぽっつりとたたずんでいる様子よりも、地域活動の中で少々口うるさくてもで老人のしわくちゃな笑顔が見たい!これが私の願いです。

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2002年06月26日

雨降ったけど…地固まらず

 今日は議会運営委員会がありましたが、私は出席しなくてもよいので、朝から多摩市の第2次健康福祉推進プランを読んでいました。文字だけを追っていると、これが実現したら本当に素晴らしいまちが出来あがるんだろう…と思えるような立派なものです。現在の状況に関しての分析もきちんとされています。
 けれども私がこの計画を眺めながら、どうしても考え出せなかったことがありました。それは必ずしも数値化された目標が達成できたからといって、そのことを簡単に評価できないなあと思える部分があるからでした。

 例えば「ハードはあってもソフトなし。」とよく言われます。これだって問題なわけですが、この問題を解決するためには少し時間がかかっても許せる部分があります。ところが福祉プランの中で、例えばホームヘルプサービスの充実でホームヘルパーの増員。これはどうしても計画上では数値目標以外で達成度を知ることは難しいわけですが、本当はそれだけでは測りきれないものがあります。ホームヘルパーなどは数が揃えばいいわけではなく、個々の技術など質が問われてくるわけです。利用者が満足できるサービスが受けられないと思っているとすれば、数値目標は本当に達成できたのかどうか?疑問が残ります。ヒトが相手のサービスだから時間の許容はできません。仮に達成した数値を見たとしても、それが本物かどうか判断できない部分が相当多くあると思うのです。
 それなら一体どうやればこの判断しきれない部分を測ることができるんだろう?…とうとう私は夕方までかかっても回答は出せませんでした。もともと、この部分については簡単には答えはが出ないだろうあ…とわかっていたのですが、私がこのことに一日中こだわったのには理由があります。それは実際にホームヘルパーの利用者がヘルパーさんと対等な立場で会話をすることが難しいという現状が少なくないからです。利用者が弱者に立たされることが多いのです。つまりは人員確保はもちろん必要、でも必ずしも人員がいるからOKと言うわけでもない…とても大きな課題なのです。
 しとしと降る雨、じっくりと計画を読んでみたけれど、なかなか難しい部分が多くて、ちょっと滅入り気味です。

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2002年06月22日

介助犬シンポジウムに参加して

 数年前にテレビで介助犬のことを見たことがありました。そのときはただ感心しただけでした。もともと大きい犬は恐くて近寄りがたいし、自分の問題として捉えることをしていなかったからだと思います。
 今日の「アニマル・フレンドシップの会」が主催のシンポジウムに参加しましたが、非常に示唆に富む話を聞くことが出来ました。

 まずはこの5月に身体障害者補助犬法が成立されたことを、私は見逃していたことに反省をしました。この法律には罰則規程がないのですが、やはりこの法律を楯にして権利を主張することは可能です。例えばシンポジストの介助犬使用者の方の発言で「映画館に行ったら、犬は外で待っているならいい。」と言われたそうですが、その時に法律があれば対応が変わってくると思います。また、現状、列車に乗る時には使用する鉄道会社のテストを介助犬は受けます。ですから東京の都心で介助犬と生活をしようと思えば鉄道会社別に何回も受けなければならないわけです。法律が成立して、そのようなことがなくなります。レストランについても、もともと介助犬は公衆衛生などの面でもばっちり管理されているにも関わらず、あまり知られていないこともあり入店禁止されることも多いそうですが、この法律があれば堂々と入店することが可能です。当事者の口から聞くとリアルに法律の力の大きさがわかります。ただ施行は10月からなのでそれまでにどれだけこの法律を浸透させられるかです。
 このような当事者からの発言を聞く機会は本当に貴重です。当り前のように映画館に入り、電車に乗り、レストランに入店している私には想像力が働かないところだと思うからです。それを嘆くことはないと私は考えています。でも、こうやっていろんな不自由を抱えながら生活をしている人をどうやって周囲がサポートしていけるのかがいかに大事かを痛感させられました。というのもシンポジストには衆議院議員、内科医師で日本介助犬アカデミー専務理事、介助犬トレーナー、介助犬使用者が並び、それぞれの立場と役割をしっかりと果たすことで、一つの権利を確立させていく、認めさせていく大きな力を創っていることを感じたからでした。法律がボトムアップで制定されてきた流れに、とっても感激してしまったのでした。特に身体障害者補助犬法を作ったって適用されるのは一部の人ではないか・・・という意見もありますが、その疑問に対しきっぱりと「みんなが障害者になる得るのよ。」と言いきった内科医師の高柳さんはステキでした。この法律はみんなのためにあるわけです。一部の人のためというのは大間違い!・・・本当にその通りだと思いました。
 すべてのことは<私>基準から始まるのです。けれどもすべては<私>基準でないことも確かです。そこでどうするのか?何をすればいいのか?自分の想像力を高めることも必要です。そしてその想像力が働かせるためにはやっぱり当事者の意見を聞いていかなくてはならない。その中で一体<私>は何が出来るのか?考えていかなくてはならない・・・そんなことを痛烈に感じたシンポジウムでした。

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2002年05月25日

北欧の国はバリアフリーじゃない・・・・?!

 一般的に北欧の国は税金が高くて、福祉が充実していると言われます。私は毎週土曜日に定期的な学習会に参加をしていますが、今日先生から意外なお話を聞きました。というのも北欧の国、例えばデンマークでもスウェーデンにしろ都市計画的に見ると道路などがちっともバリアフリーの構造にはなっていないそうです。

 今、日本では道路の段差を無くしたり、駅にエレベーターの設置をしたり、階段には手すりをつけたりとお年寄りや障がいをお持ちの方にやさしいまちづくりを推進していると思います。特にニュータウンではとても課題になっています。なにせ多摩市や丘陵地帯ですから山、坂がとても多く、そして古い団地には階段には手すりが無いし、おまけにエレベーターもない。お年寄りが増えつつあるなかで、どうやってバリア解消していくのか急がれるところです。
 なぜ北欧の国では福祉政策が充実しているにも関わらず、ちっともバリアフリーのまちづくりをしていないのでしょうか?それは『ひと』です。例えば車椅子の人が道路の段差につまづいてしまっていれば、周りにいる人がササーっとすぐにお手伝いに駆け寄るそうです。日本だとあまり見られない光景です。とても美しい絵です。それが日常で当り前のフツーなこと。とっても考えさせられる文化?の違いです。
 最近多摩市ではバリアフリーマップというのができました。これはまちの色んな箇所の調査です。とてもよくまとまっているなあと思いますが、そもそもそんなもの自体、北欧では不必要なんだと思うと私たちって何をしているんだろう・・・と感じてしまいます。ただ、私が思うことですが、一番難しいのは障がい者やお年寄り本人の気持ちだと思うのです。やっぱり自立したいし、自分のできることはできるだけ自分でやりたい!という意識が強くあれば、例えば「お手伝いしましょうか?」と声をかけても「いいえ、ありがとうございます。結構です。」と言われると思うからです。そういう意味から言うと日本のようにバリアフリー化を声高に叫ぶこともまあ、必要かなと思います。
 私が脱帽した考えですが、障がい者が道路の真中を歩けるように考えることが必要なんだとアドバイスをしてくれた人がいます。我慢できる方が我慢する。ところが実態はほとんど逆です。例えば視覚障がい者用のブロック。どうしてこんなに遠回りについているのかと私はいつも腹立たしくなります。一番短い距離を考えるべきなのにと思います。でも道路のど真ん中に設置されることは少なく、目的地に辿りつくまでに普通の倍(は大げさだけど)くらい時間がかかりそう。あんまりだなあと思います。
 そういうところからも見直したいなあという気持ちがありますが、なかなか難しいのが現実なのでしょうか?

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