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2006年08月04日

続・栗山町に学ぶ

 今日は町村議会議長会が主催していた研修会に参加しました。先日、お会いした北海道栗山町の橋場議長が「議会基本条例」に関する講演をすると聞いていたので、お邪魔しました。

 「本当は議長なんて、自分には苦手なお仕事だ。」とおっしゃる議長さんですが、「なってしまった限りは、しっかりやりたい。」ということで、着実な改革を進めています。議会基本条例を制定するまでの道のりは4年半余り。「コツコツと実践を積んでいくことが大事。」という言葉に非常に説得力がありました。

 橋場議長は冒頭で「自治基本条例の水準をあげていくためにも議会基本条例を制定することの意義は大きい」という話をされました。
 自治基本条例と言えば、全国に先駆けて制定した同じく北海道のニセコ町の「まちづくり基本条例」が有名ですが、当初、ニセコ町の条例には「議会」に関する規定がなく、行政運営に関する情報公開や市民参加が規定されていました。(ちなみに、ニセコ町では昨年12月に条例改正されて「議会」に関する規定は追加されています。)
 そしてまたニセコ町に倣って、後続で自治基本条例を制定した自治体でも「議会」に関する規定を設けているところ、設けていないところさまざま。「議会」に関する規定があったとしても、法律に書いてあることをそのまま条例にひいてきているだけの無味乾燥・・・面白味のない規定しかない自治体など、自治基本条例の制定で「議会」そのものの在り方がドラスティックに変わっていくような兆しのある条文を持つ自治体は少ないと言えます。
 つまり、議会基本条例は自治基本条例を制定した後に、具体的で実践的な新たな議会活動を展開するためにも必須アイテムな条例と言えるわけで、ある意味、自治基本条例の精神を生かした議会運営を進めたいという認識を持っている議会では制定せざるを得ない条例ではないかと感ずるわけです。

 橋場議長が冒頭で述べられたよう、まさに「議会基本条例」は多摩市議会にとっても「多摩市自治基本条例の水準をあげるために必要な条例」。市議会がこの条例に取組めるかどうか、取組もうとするかどうかで議会の真価が問われるのではないかと思っています。

 
 議会基本条例は多摩市議会の今後一番の課題だと思いますし、来年の統一地方選挙では公約のひとつに掲げる候補者も多いはずです。


 ところで、栗山町議会ですが、現在は議員18名。来年の統一地方選挙では13人まで定数削減をすることになっています。議員定数と言えばだいたいは「議員が多すぎる」「定数削減しろ」と言われるのが常ですしが、この4年半あまりの議会改革の動きの中で住民からは「減らしすぎて大丈夫なのか。」という声もあるとか。
 さらには・・・「議員報酬は高すぎる」と言うのは世の中全般の批判でもあるわけですが、「そんなに報酬が安すぎていいのか。」「それ以上報酬を下げてやっていけるのか。」などと、住民から逆に心配されるような状況まで生まれており、これは数年前の状況とは異なっているそうです。


 つまり、住民も議会がその機能、役割を十分の果たし、議員がしっかりと仕事をしていることがわかれば、それ相当の報酬を支払うことを拒否しないと言うことだと思います。「働きに見合った報酬」・・・これは当然のことだとすれば、「報酬が高すぎる」という批判を跳ねっ返すことができない状況が問題だとわかります。まさに批判に耐えるだけの活動を展開を追求していくべきで、そのことがひいては議会の活性化、議員の質の向上などにもつながるのではないかと考えています。
 ちなみに栗山町の場合には議員報酬は19万8千円(月額)です。これは栗山町の近隣と比較して高い水準にあるそうですが、議長は「報酬を下げるつもりはない。」と述べていました。いい人材を確保するため、そしてまた特に若い人にも議員を志してもらいたいし、これ以上下げることは議会にとって町民にとってプラスにはならないということです。
 でも、きっとそれだけの議会活動、そして一人一人の議員の努力があり、議長の厳しい視点から見ても「みんなよくやっている。」と住民に自信を持って言うことができるのだと感じました。


 素晴らしいことだな・・・・と話を聞いていてつくづくそう思ったのですが、栗山町のことに感心してばかりはいられません。多摩市でも栗山町の背中を見ながら、議会基本条例の制定をすべく努力したいと思っています。私ひとりの力で条例を制定できるわけではありませんので、時間はかかるかもしれませんが、同じように議会基本条例を制定しようと考えている議員が多摩市議会にも存在していることは確かです。しっかりと意見交換をしつつ、議会基本条例制定の輪を広げていきたいと思っています。 

投稿者 hisaka : 2006年08月04日

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