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2007年11月13日

リサイクルの現場を見る。

 今日はリサイクル現場の見学をしてきました。午前、午後で2つの事業者の作業現場を見せていただきました。両方とも神奈川県の愛川町にあります。1つ目は総合リサイクルセンターとして日本で最大級の規模の工場。ここは今年の7月に稼動が始まったばかりです。そして2つ目は20数年前から廃プラスチックのマテリアルリサイクルに取り組んでいる事業者の工場でした。

○総合リサイクルセンター

 オープンしたばかりの工場は生ごみ、紙、ペットボトル、缶、ビン、発泡スチロールから、廃プラの全てを取り扱う総合リサイクルサービスの提供をしています。

 例えば生ゴミの場合・・・コンビニ弁当が破棄される→工場に運び込み→弁当の中味と入れ物を分ける→中味は生ゴミリサイクルへ/入れ物(廃プラ容器)は廃プラリサイクルへ→有機栽培用肥料に再生/建材用角材(擬木)に再生

 こんなサイクルになります。ですので、運び込まれたものはほぼ100%(どうしても出でしまう残渣は別として)の工場内にてリサイクルが可能で、そこで完結することができるのです。社長さんにお話を伺ったのですが、工場を建設するまでに近隣への説明を自ら100回以上は行ったとのこと。「施設の内容をわかってもらえば、必ず理解してもらえる」という信念があります!という発言にはリサイクルにかける情熱を感じました。もともとは産廃事業者として起業されたそうですが、埋立地や最終処分場の現状を見るにつけ、このままで進んではいけないとの危機意識をお持ちになったそうです。私たちが暮らしていく限り、ごみは出続ける。リサイクルがいかに大切なことであるか、工場が今後不可欠な存在になっていくことへの理解を得るために、自らが語り、周辺住民の合意を取り付けて行ったとか・・・・。

 その結果、工場立地にあたっては反対運動は起きることなく、むしろ都市計画審議会で立地を認めてもらうための手続きがあったそうですが、その際には地域の住民から「工場を立地して欲しい。」という同意書をとりつけるほどまでになっていたとの話です。ちなみに工場内では周辺地域からの雇用もしており、地域への貢献という視点も反映されています。「安全性などなど周辺の方が心配ならば、ぜひ工場で働いてみてください!実際に働いていただくことが一番の理解につながる。」ということもお話されていたのが印象でした。工場内はクリーンを徹底しています。ゴミ一つ落ちていないくらいの配慮が行き届いているところでした。
 
 総合リサイクルサービスを企画して実現するまでの間に7年ほどかけており、その間の苦労話は聞く価値がありました。


○廃プラマテリアルリサイクル工場

 工業団地の一角に設置してある工場。もともとはあるスーパーマーケットの方からのつぶやきにより・・・脱サラして起業した社長さんの経営でした。スーパーでは言うまでもなく毎日大量のごみが発生するわけで、そのごみ処理に頭を痛めていた経営陣の方が「何とかならないだろうか・・・・」と。リサイクルが全く注目されていなかった時代の起業でした。それについては周囲から「物好き」などと奇異な目で見られたと仰っていました。
 やはり社長さんの意識の中には最終処分場、埋立地問題があり、石油資源の枯渇への危機感がありました。ここでは50種類の素材別に分けています。例えば、ペットボトルのリサイクルはふた付、ラベル付ででもOKで、すべて砕いて比重により素材別に取り分けられるような仕組みで取り組んでいます。とある自治体から・・・粗大ゴミとして捨てられた大型のプラスチック製品(衣装ケース、犬小屋、洗濯干しなどなど)が運び込まれていましたが、金具がついているものは金具を外し、紙のラベルがついているものはラベルをはがし・・・という作業をし、とにかく素材別にきちんと分別するという作業の徹底振りを拝見しました。

 今、リサイクル業界では中国との取引をさかんに実施しているのが現状ですが、社長さんのポリシーは日本のプラスチック成型事業者(中小・零細企業が多い)との取引にこだわっているということ。中国との取引をしたほうが利益は出るのは事実。でも国内の事業者を大事にしたいという話をされていたのが印象に残りました。

 実際にリサイクルはどんな風に進んでいくのか?今日見に行った2つの事業者とも「なるべく焼却せず、埋め立てず」をモットーに精力的に取り組んでいます。そして民間事業者なので徹底的なコスト削減の努力をしていることも感じられます。人をそんなに多く配置できないとは言いながら、手作業が必要なところには人員を手厚く配置したり・・・・人手が不足するときには(というよりは来客がないときには)社長自らも作業員とともに汗を流して仕事をする・・・・現場の感覚を常に忘れずに仕事をする姿勢には頭が下がります。


 今日の見学でやっぱり思ったことは、プラスチックは焼却せず、民間事業者との連携でなるべくリサイクルを進めていきたいということ。現場を見れば、大きなプラスチック製品もあっという間に破砕され、素材別に処理して、再生品の原料になっていくこともわかりました。そして、廃プラスチックを擬木に製品化していく過程では温度調整の工夫により有害化学物質(今、わかっているところの範囲での)の発生を抑える技術があることも知りました。民間事業者の技術開発の努力など実際に確かめられたことは大きな収穫でした。

投稿者 hisaka : 2007年11月13日

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