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2007年10月16日

食物アレルギーと子どもたち

 都の福祉保健局が主催した「子どもの食物アレルギーシンポジウム」に参加しました。会場は満員、子どもたちと「食」に関心のある方々の多さにびっくりしましたが、保育園や学校などで栄養士などをなさっている方、アレルギー児を抱える保護者などが主・・・・会場にいるのは圧倒的多数で女性だったことが印象に残ったシンポジウムでした。

 アレルギーを持つ子どもたちの「食」を考えると言えば、保育園での食、幼稚園での食・・・・そして何よりも学校給食のことが即座に思い浮かぶのですが、多摩市の学校給食はセンターは新しくなり、食器も変わりましたが、アレルギー対応の給食を提供するまでには至っていません。給食センター方式でアレルギー対応の食事を作ることは困難だ(例えばアレルギー児一人一人の状況をきちんと把握することが求められます)とも言われますが、給食センターでアレルギー児のための「代替食」対応を図っている自治体もあります。もしくは「除去食」対応をしている場合もあります。

 *代替食・・・・メニューについて食材を変えて対応する。
 *除去食・・・・食べられない食品を除去して対応する。
→多摩市の給食センターはまだ対応し切れていません。

 この問題は「子どもたちの育ちの環境」をどう確保していくのか、それぞれ自治体の考え方が反映されるところだと考えていて、子育ち施策においてどこまで肌細かな対応をしていくのか、できるのか、そして・・・したいのかに関ってくるものと考えています。
 例えば、仮に多摩市でアレルギー児対応を実施するとしたら、まず先にそのために必要な人材を確保しなければなりません。アレルギー児専門の管理栄養士さんは必須です。さらに、アレルギー対応の場合には調理器具なども全て別個に準備し、そのための専用調理室も必要になります。新しい展開をさせていくためには、人的にも財的にも「テコ入れ」が欠かせないわけです。つまり、そこまでやる必要があるかどうかの最終判断はその自治体ごとの方針に大きく委ねられる・・・・ここで「費用対効果」の話が出るとしたら、市長の裁量が問われてきますね。


 アレルギー児を抱えている家族の方の話を伺うと大変な苦労話を多く聞きます。給食を食べることができず、給食メニューとそっくりのお弁当を持参したり、給食の中で食べてはいけないものは残したり(子どもたちが自分で除去する)・・・実は、アレルギーで苦しんでいる子どもたちの存在をまずは周囲が正しく理解することが求められます。「アレルギー児だけ特別扱い」という視線にさらされて嫌な思いをすることも少なくないそうです。
 また、現実問題として働いている親の場合には毎日のお弁当持参もかなりキツイものがあります。なので、私は給食センターでもアレルギー対応の給食が実現できる道を考えるべきと思っています。食物アレルギー児はその数も増えているのが実態。そして何よりも子どもたちにとって「給食の時間」は他にも変え難い楽しい楽しい時間であることを思えば、その時間に「苦痛」を感じてしまう子どもたちがいる現実を変えていきたいものです。その意味では、「必ずしも、みんなで同じものを同じように食べる」ということが前提の給食のあり方も変えていくことが必要でしょうね。「必ずしも、みんなが給食を食べるのが当たり前」というのも古典的な発想になりつつあるのかもしれません。

投稿者 hisaka : 2007年10月16日

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