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2007年10月12日

地域の「台所」を確保するためには。

 早朝に起床し・・・多摩ニュータウン市場、朝7時からの「競り」を見学しました。毎年の消防団の出初式でひっそりした市場内を見回したことはありましたが、実際に売買の現場を見て、東京都職員の方から話を伺いました。
 市場は土地・建物は東京都が管理運営しています。毎年人件費に5千万、施設の運営に5~6千万円かかっているそうです。場内には「卸業者」が1社(かつては2社だったが、1社は倒産)、そして「仲卸業者」が5社(最盛期は18社)で売買に参加している登録者は100社(毎日利用しているかどうかは別)あるそうです。
 しかし、取引高は低迷しており、国が中央卸売市場の基準として提示している「6万5千トン」を下回る「2万数千トン」で推移しているのが現状。東京都としても行革の視点から、いかに身軽になるのかが課題です。


 ところで、多摩市民にとって多摩ニュータウン市場は?


 存在そのものが「知る人ぞ知る」・・・・・市民からは疎遠な存在で、私たちの「台所」という意識は薄いのかもしれませんね。「今朝は早起きして多摩ニュータウン市場を見てきたんですよ。」と話題を振ったところ、「えっ、何それ?そんなところあるの。府中とか八王子とかは知ってるけど。」と言われました。認知度低し。
 予断ですが、多摩ニュータウン市場は法的には「中央卸売市場」との位置づけ。中央市場は登録した売買事業者しか利用できないのが決まりです。「地方卸売市場」は一般の市民も商品購入が可能になるのだそうです。府中や八王子は「地方市場」になるわけですね。多摩ニュータウン市場も地域の「台所」として活躍してないわけではありません。例えば、この近隣スーパーも買付などを行っているようですよ。

 さて、多摩ニュータウン市場ですが、すでに東京都は民営化の方針を固めています。そして、その受け皿の一つとして想定しているのは「東京多摩青果株式会社」(新聞情報あり)。この事業者は現在、多摩ニュータウン市場で「卸」をしている「東京ニュータウン青果株式会社」の親会社にあたり、国立で最新設備を備えた事業展開をしている企業です。何と!親会社である東京多摩青果さんはニュータウン青果の赤字を毎年数億円補填していたと伺いましたが、毎年数億円も年月重ねれば馬鹿にはできない金額になります。そのくらい多摩ニュータウン市場には発展性がないとも受け止められるのでしょうが、今後、どのような方向にしていくのか東京都の動きが注目されます。


 ということで、今日は合わせて「国立・府中インター」に隣接する東京多摩青果株式会社さんの市場にも視察に行き、いかに公設の施設が時代に取り残されているのかを痛感したわけです。今の時代にふさわしい市場のあり方をどこまでも追求するという姿勢で相当な設備投資をしていることは金額を聞かずしてわかります。これを東京都に求めても「無理!」。


 今や市場にて小分け包装、パッキング作業などが要請されること。そしてそれ以上に、産地から届く青果の鮮度を保つことを重視し、コールドチェーンを途切れさせないための保冷庫などを完備しました。(産地では野菜や果物を新鮮なうちに食卓へ届けるために、予冷施設で作物を冷やして(急冷する)から、出荷するところが増えてきました。しかし、市場に保冷設備がないために鮮度を維持することができず、市場で断絶されていたのが実情です。)「市場」が自ら、コールドチェーンの流れに入ることで、私たちの食卓によりよい安全安心の食材が届けることが可能なのです。


 そのために必要な設備投資をしていけるのが「民」の力になるのでしょうね。多摩ニュータウン市場にも新たな活力が求められます。東京都の職員は民営化の方針はあっても、その受け皿になる事業者の存在が問題だと話していました。翻訳すれば、「こんなに採算の合わない市場を引き受ける民間事業者を探すのは難しい。」ってことですね。


 それなら、いっそのこと「廃止」してしまうという選択もあるのかもしれませんが、それは一足飛びにすることもまた難しいようです。そして多摩ニュータウン市場には立地条件的にも「将来性がある」という希望的観測も述べられていたので、民間活力の導入で何とか「リメイク」していきたいというのが東京都の意向となるのでしょう。言ってみれば「マイナスのマイナスのマイナス」くらいの場所に民間事業者を呼び込もうとしているわけで、東京都の今後の交渉力が試されることでしょう。新聞情報では、東京多摩青果さんと条件面での交渉の入った模様なのですから・・・・。要注目!


 多摩市はこのことについて何か意見や要望を携えているのでしょうか。ここもまた要チェック!ですね。地域の「台所」をいかに確保していくのか。災害時に市場が果たせる役割・・・なんてことも視野に入れることも大切です。

投稿者 hisaka : 2007年10月12日

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