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2007年02月14日

新しい地域自治の仕組み「市民自治区」

 神奈川県の大和市に行き、「市民自治区」についての話を伺ってきました。地方自治体の話はマスメディアの話題になることは少ないなか、大和市は事あるたびに話題提供ができる自治体で、新しい取組みを次々手がけているという印象です。市長さんの強烈なキャラクターにリーダーシップがなせる技なのかもしれませんが、自治基本条例を制定し、住民投票条例(常設型)の制定、そして現在は(仮)市民参加推進条例、(仮)市民自治区条例に最近話題の(仮)寄付条例・・・・と勢力的にルールづくりを進めています。中でも住民投票条例では投票権について、16歳に年齢を引き下げたことで話題になったのですが、ここにはきちんとした裏づけがあり、自治基本条例の策定過程で高校生たちとの意見交換をした経験が踏まえられているのです。

 私が今日話を聞いてきた「市民自治区」というのは、市内を概ね10地区にわけて設置されるものです。大和市は人口が約22万人。1地区だいたい約2万人が目安です。既存の自治会活動がベースになりながら設置されるもののようで、地域ごとにいくつかの自治会がまとまりをつくり、そこに自治会だけではなく、市民活動をしている団体なども加わりながら、ゆるやかな(?)連合組織をつくり、地域でさまざまな人が話合いを行なう仕組みです。将来的にはそこに行政の権限や財源を移していこうとしているようですが、そこまでの道筋はまだはっきりと描かれているわけではありません。

 今は、順次「市民自治区」の設置を進めている段階ですが、あくまでも地域ごとの自発性を尊重しており、「やまと地域の底力事業」による支援を行ないながら、素地を作っているところです。この「底力事業」は2つ以上の地域活動団体(対象人口概ね1,500人以上)が行なう事業を支援する「はじめの一歩事業」と、活動目的の異なる複数の団体(対象人口概ね1万人以上)が行なう事業を支援する「市民自治区準備型事業」との分かれていて、どちらも地域が行なう公共的な事業への助成です。(上限と年数制限はあります。) 
 この底力事業を実施しながら、地域ごとに各団体をネットワーク化し、連携体制を構築、そして「市民自治区」の誕生となるわけです。市民自治区には総会、運営協議会、事務局があり、事務所も確保されます。今のところは二つのモデル地区が指定され、実際に事務所も開設されているそうです。

 ちなみに、はじめの一歩事業に取組んでいるところは8つあり、市民自治区準備型事業を実施している所は2つ。はじめの一歩事業では防犯活動、美化活動、健康づくり活動などがあり、2地区で取組んでいる準備型事業では地域の活動団体のアンケート調査(地域の課題把握)・駅前プロムナードの活用としてお祭りや太極拳教室、美化活動があります。

 大和市のホームページには市民自治区についても、いろいろな資料が掲載されていますが、今日の話では「市民自治の推進」をしていくための環境整備として、大和市全体の流れも掴むことができてよかったと思います。
 実際にこれからの課題は・・・と言うと「山積み」という答えが返ってきたように、進めていきながらぶつかった壁にひとつひとつ対応していくしかない・・・ということは、市民自治にはツキモノな気がします。地域の人間模様はさまざま・・・市民自治区の運営が簡単に進んでいるわけでないだろうことは察しますが、それが「市民の自治」ではないかと考えます。
 行きつ戻りつしながら、でも後から過去を振り返ってみたら、前進していることが少しはわかる・・・ということかなと。


 でも、大和市に学べることは、「市民自治の推進」に必要な仕組みや制度を次々と進めていること。市民からは「スピードが速すぎ。」という声もあるようですが、それでも、「必要だからやる。」として、新しい取組みに挑戦しているところです。どうやら「市民自治区」については市長があたためにあたためていた構想で、市長の思い入れも熱いとか。それには納得しました。市長の動かしていく力の大きさを目の当たりにした気がします。


 この取組みは多摩市でも十分に取り入れ、学べる部分も大きい感じがします。有意義な視察になりました。実際の市民自治区にも足を運ばなければいけないかも。

投稿者 hisaka : 2007年02月14日

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