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2006年10月05日

常任委員会の視察

 今日は厚生産業常任委員会の視察でした。他の常任員委員会は1泊2日での視察をしているようですが、日帰りなおかつ近隣にて、ちょうどいい視察先があったことはラッキーでした。
 視察先は2ヶ所。午前中に日野市の知的障害者の通所更生施設(すずかけの家)、午後から調布にある知的障害者授産施設(調布作業所)の施設の訪問をしました。

 養護学校卒業後にどのように社会参加をしていくのか、そしてまた就労の場を確保してくのかは社会全体の大きな課題です。そして多摩市では昨年度当初予算否決の最も大きな要因になったのが障害者の通所施設問題だったので、それ以来、議会としての責任をどう果たしていくのかが問われる問題の一つになっているところです。
 結局、学校跡地施設を活用した施設の建設は今のところの立ち消えになっており、社会福祉協議会から民間事業者に移譲されることが検討されてきた「つくし作業所」問題についても、今のところは大きく動きそうな雰囲気でもありません。 
 そして、この10月から障害者自立支援法が本格施行され、今までの規制なども緩和?・・・変更された部分もあるために、当面は現在の場所を移転することを考えなくとも対応していけるようです。ただ、現在のつくし作業所の施設は老朽化が進んでいることもあり、設備改修を進めるとはきいています。

 視察先の2ヶ所ともに共通していたのは、障害者自立支援法との関係で施設運営に厳しさが増していることでした。そのなかで施設運営の工夫をしているようですが、もともとの運営母体の基盤そのものが弱い場合には今後の運営に大きく不安の影が忍び寄っており、経営そのものが行き詰まりそうな青息吐息の状態が否めないようです。 
 特に、このような分野で要になっていくのは「人材」です。一人ひとりの個性と向き合いながら社会参加を進めていくことには時間もかかり、労力もかかります。しかしながら、現実問題としてそこに見合った対価を支払うことができる状況にあるかと言えば決してそういうわけではなく、人材確保が大きな課題になっていることは確かです。そのためにどちらかと言えば男性よりも女性の多い職場という現状があるように思います。実は、障害者と気長につきあうためにはそれなりの体力が必要です。特に男性の障害者の場合には対応出来るだけのPowerも必要で、女性では対応しきれないケースもあると聞いています。
 そういう意味で障害者の社会参加を進めるためのサポーターになれる人材が十分確保できる状況がなければいけないと思っています。

 このことは知的障害のみならず、精神障害の分野でもそれ以上に言われていることで、ジョブコーチを確保し、就労支援をコーディネートしていける人がいなければ、障害者自立支援法で謳われていることはすっかりと絵に描いた餅になってしまうのです。
 今は、その危惧の方が先立っています。「障害者の支援をしたい」という志を高く持っていたとしても、賃金水準の問題を解決しなければ若い人たちが進んで選べる職場にはなれないのが現状です。ここは多摩市だけで解決できる問題とは言えなさそうですね。

 そして、就労支援はもちろんのことですが、家族亡き後一人で生活しなければならない障害者をどう支えていくのかも大きな課題だと言えます。「障害者自立支援法」が本当に障害者の自立を支援するための法律であるならば、そのあたりの問題が地域レベルで着実に解決出来るような道筋が欲しいものです。
 いろいろと問題は感じるものの、やはり大事なことは多摩市でこれからどう取組んでいくのかだと考えています。どうしていきたいのかというビジョンをつくることだと感じています。本当は議会全体としての議論の取りまとめができればいいわけですが、なかなかそれは難しく、「障害者問題」を議論しているにも関わらず、いつのまにか議論の焦点が「政治イデオロギー的な対決」???にすりかわっているのでは?という場合も多々あり。ここが非常に難しいところです。
 そういう意味で議会運営や委員会運営をしっかりととりまとめていく委員長の力量が何よりも重要だと思われます。そのことを強く感じた一日でした。

投稿者 hisaka : 2006年10月05日

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