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2006年07月28日

栗山町に学ぶ

 北海道栗山町が全国で初めて議会基本条例を制定したことが話題になっています。多摩市でも自治基本条例を制定した流れで、議会基本条例を制定する必要があるのではないかと考えていたのですが、いまいち議会の雰囲気全体がまとまりきらず、その気運も高まっていないのが現状です。
 
 そんな中、今日は栗山町議会から東京に来られた議長さん、議会事務局長さん、そして議会運営委員会のメンバーである議員さんにお会いする機会を得ました。議会基本条例を制定したことで、栗山町には他自治体議会からの視察やら、マスコミの取材やら殺到しているとのことです。食事をしながら、意見交換をしたのですが、やっぱり最後には「熱意」に尽きる!と思いました。
 もちろん、議長さんのリーダーシップがなければ進まないわけですが、それ以上に、議会事務局長さんが果たしてきた役割が素晴らしいな!と思いました。

 ・・・・というのも、定例会の一般質問をするためには、議員が事前に通告書を提出するわけですが、その内容に目を通し、「これは、一般質問としてどうなの?」というようなアドバイスをするとのことです。それはなかなかすごいことです。議員のプライドを傷つける恐れがあるので、そのような助言をする議会事務局長さんは全国探してもほとんどいないのではないか・・・と思います。
 つまりは、そこまで言えてしまうだけの議員との信頼関係があるという証拠。議会事務局の職員は、市長のお抱え職員が人事異動で配属される部署になっているのが現状で、市長と議会と・・・「一体どちらの顔色を伺いながら職務遂行するのかな?」と言うのは、私のかねてからの疑問です。そういう意味では残念ながら、本来あるべき議員と議会事務局との信頼関係が築きにくい状況にあることは事実です。
 しかし、栗山町議会の事務局長さんの立ち位置は多摩市の場合や、その他自治体の一般的状況とはかなり違って特異です。「私は議会に存在している」という立場を明確に示し、行政執行部などと対置することも恐れずに議論をするという心意気がありました。
 

 例えば、多摩市には経営改革推進委員会というのがあるのですが、そのメンバーの一員に議会事務局長が加わっています。私はこのメンバー構成に疑問すぎるので、そのことを指摘していますが、いまだ改善される動きはありません。二元代表制で首長と議会との関係を考えれば、メンバーに加えるべきではありません。・・・・というように、このこと一つを採り上げても、多摩市の議会事務局の位置づけ方というか、首長部局の議会事務局に対する認識・・・というか・・・結局は「どちらの顔色を伺っているのか?」が疑問となってしまうわけです。


 この事務局体制については、議長さんは「議長には職員の任免権があるわけで、それについては執行部側にしっかりと主張し、議会にとって有用な人材をきちんと確保する」とおっしゃっていました。「なるほど・・・・。」だから、議会事務局長さんもある意味で‘のびやかに’職務に取り組むことができるのだろうと理解をしました。
 視察用に準備された資料をいただいたので、読んでみると、そこにも次のように書いてありました。

「任面権と議会費については執行側に一言たりとも言わせるつもりはない。議長が強く任面権を発揮して、より良い事務局体制を整えることが改革成功の大前提である。」
・・・全くの同感です。

 
 栗山町の議会基本条例の詳細に関しては、多摩市議会の事例とも重ね合わせながら、機会あるごとにお伝えしつつ、多摩市でどのように議会改革に取組んでいいのかも考えていきたいと思います。一点だけ・・・条例の最大の特徴は「反問権」。これについても視察用資料では以下のとおり説明されています。

 

「一般質問や議案において議員の質問質疑がどうもおかしいと思うことはしばしばあることですが、現行であれば執行側は何とか無理やりでも議員に欠礼ないよう答弁している光景が多く見られました。これを続ければインターネットやTV議会の模様を見ている住民は何ともそのすれ違いにはがゆい思いをするに違いありません。また議員も十分な調査をしない一般質問などがでてくる恐れもあります。」

 つまり、答弁に徹しなければならない執行部に対し、議員に反問することを認めることにより、論点などをより明確にしようというのです。
 さらに、資料では・・・・「そこまで言われるなら議員が考える代案をお聞かせ願いたい」と執行部側が言うようなシーンも見られるようになることを望むというのです。きっと、そのことを市民も望んでいるように思います。(実は、多くの市民は議会を見たことがないので、もしかすると議会ではもう既にこのような活発なやりとりが行なわれていると誤解しているのかもしれませんが・・・・・。)


 栗山町議会の取組みはこれからも注目をし、学んでいきたいと思います。機会を見つけて、栗山町議会が行なっている住民への議会報告会などに出向いてみたいと考え中です。現場の緊張感を味わいつつ、そしてまた議会報告会の進め方などを実際に見ることの意味は大きいと思うからです。

投稿者 hisaka : 2006年07月28日

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