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2006年07月16日

多摩市立幼稚園廃園・・その後未来

 多摩市で唯一の公立幼児教育機関だった多摩市立幼稚園。市長部局、教育委員会、議会のせめぎあいのなかで、時期は一年延期されたものの廃園が決定しています。私も当時、悩んだ末に「廃園」に賛成をしました。その後の動き・・・・・。

 おそらく一番正確なのは市のホームページだと思うので、そこからの引用。

市立多摩幼稚園廃園後施設を活用した保育及び幼児教育の充実を図るための総合的施設について検討する多摩市子育て総合的施設検討市民懇談会を設置しました。

 つまりは、多摩市の子育て施策の発展に資する活用を目指すということになります。

 というわけで、今日は新たな活用方針を待つ多摩幼稚園でシンポジウムが開催されたので参加しました。もちろんのこと、「多摩市子育て総合施設の目指すもの~保育・幼児教育の一層の質の向上を目指して~」がテーマでした。ちょうど懇談会では中間まとめを発表し、4月にパブリックコメントの募集を実施しています(あんまり知られていないと思います)が、さらに、市民との意見交換や問題意識共有の場として本日の会合は企画されたのだと思います。


 パネラーは多摩市の次世代育成支援地域行動計画の策定メンバー、子ども家庭支援センター、私立幼稚園、私立保育園代表で懇談会の座長である金子先生がコーディネーターでした。
 懇談会の中間まとめでは①研修・研究機能(多摩市の幼稚園や保育園などのスーパーバイズ機能や各種機関のコーディネート機能等を果たす)②主に就学前子どもたちを対象として子育て支援施設(これは保育園と幼稚園の両方の機能を持っているイメージらしい)③地域交流の場という3つの柱で総合的施設を考えています。
 今日は、それも踏まえ、パネラーが各立場から総合的施設に望むものなどを出し合いつつ、これからの施設像を模索するかたちで議論は展開しました。

 結局のところ、最終的には「そこに税金を使う必要があるのかどうか」を吟味しなければならないということにつきると思います。このような施設を多摩市がつくることが本当に必要なのかどうか、同じ子育て施策に税資源を投入するのであれば、もっと有効な使い道を考えるべきではないかという部分に議論が集約されそうです。
 フロア発言の中で、ものすごく的を得ていると思ったのは「現在の子ども家庭支援センターの充実を先にすべきだ。」という意見でした。私もそう思います。業務量は増えに増えて大変なのに、人員配置もギリギリ以下の状況なことを見れば、もう少しそれなりの手当があってもいいと誰しもが思える場所です。さらに場所についても学校跡地施設の有効利用?と言えるのかわかりませんが、暫定活用になっているので施設の環境も相談室などもう少し整備されてもいいのではないかと個人的にも感じます。

 
 さらに、この施設は公設民営による運営を考えるようですが、運営事業者を選ぶことそのものが非常に難しい感じを受けます。多摩市の子ども関連施設や機関をすべてネットワークでき、なおかつ専門的なノウハウも持っているような事業者ってそう思いつくものではありません。大学?とか思うわけですが、それにしても大学の付属機関ではなく、多摩市の機関として運営する必要があるので非常に難しいと思います。それなりの機能を発揮するのであれば、運営主体の選定が鍵になると感じました。


 けど、いずれにしても私自身は多摩市独自の研究・研修機関を設置する気構えがどのくらいあるのかにかかっているように思います。要は税財源と密接にかかわり合う問題だからです。このような施設はいい人材の配置できなければ意味がなく、そのためにはしっかりと財源措置をしなければなりません。
 
 会の途中まで参加していた市長は「今日はみなさんの議論のプロセスを見るために来ました。」という感想を述べて帰って行きましたが、最終的に懇談会でとりまとめられた総合的施設のあり方が、市長の多摩幼稚園の廃園に踏みきった思いと構想にどうつながり、重なっていくのでしょうか。多摩幼稚園での幼児教育の実践とその蓄積がどのようになっていくのか・・・も含めて、税財源の問題も絡み、まだまだ議論を尽くさなければならないように感じました。「多摩市独自」という部分にこだわった機能を作るのであれば、それなりに「多摩市独自」が説明できなければならないと思いますし、保育園、幼稚園、小学校などの子ども関連の施設がなかなかネットワークできないとする悩みそのものは、新たな施設をつくらなくても解決の方向が見つけると思うし・・・。

 

 多摩市の幼児教育ってどういうコンセプトがあり、そしてどういう実践が積みあがっているのかをもう一度、捉え返してみたいと思っています。

投稿者 hisaka : 2006年07月16日

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