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2006年07月11日

児童虐待への取り組み

 児童虐待の件数は年々増えているようです。マスコミなどでもしばしばニュースになり、私たちの眼にも珍しくないと映っているのではないでしょうか?
 児童虐待防止法が改正されたのは約2年前。その際、虐待かどうか疑わしい場合にも通告する義務(第6条)が課せられるようになり、通告件数そのものが増加しています。虐待件数の増加は、通告件数が増加されていることに連動していると思われます。厚生省の資料からも、法律が改正されたことにより虐待件数が急増していることがわかります。おそらく、今までは水面下で、見えていなかったものが法改正により、一気に噴出したとも言えるでしょう。
 それだけに深刻だと考えています。内面傷ついたまま大人になった子どもたちが存在すると言えるからです。


 さて、今日は立川市の子ども家庭支援センターに行ってきました。目的は「市民型ソーシャルワーカー」という取組みです。
 「市民型ソーシャルワーカー」というのは、端的に言えば、児童虐待に関する相談に応じる市民ボランティアのことです。特に資格は必要とされず、ワーカーになるためには月に2回、1年間の講座を受講することが求められます。講座終了後卒業となり、「市民型ソーシャルワーカー」としての登録、そして実際の活動・・・となるそうです。実際の活動については、地域での相談活動がメンイになるようですが、地域ごとに設置される虐待防止ネットワークの会議などにも参加をすることが予定されています。

 今年度からまずは受講生を募集し、ワーカーの育成が始まったのですが、募集人数20名のところ62名もの応募があったとのことです。市民ボランティアなので何よりも優先されるのは「志」「熱意」ということで、とりあえず全員受け入れる体制で講座をスタートしていますが、講座のカリキュラムには「講義編(基本的な知識の取得)」と「実践編(カウンセリングの技術を練習するなど)」になっており、後者については大人数だとやりきれないという状況が見えているとのこと。そのために、予定していた講師の人数を倍に増やして対応を図りたいとしています。

 ・・・・でも、実はかなり予算をどう工面するのかについては厳しいのが実情。本来であれば養成講座も二年くらいかけて行ないたかったようですが、そこはなかなか調整が難しい模様でした。「東京都に補助金を申請しているんだけれど・・・・・。」と言っていました。補助金が決定するかしないかにより、来年度以降の取り組みが大きく左右されるような口ぶりでした。


 この「市民型ソーシャルワーカー」というのは、立川市の「夢育て・たちかわ子ども 21 プラン」(次世代育成支援行動計画)に家族デザイン研究所をやっている汐見先生が位置付けたんだそうです。
 このプランに基づいて着実に実行をしているようですが、現状としては「手探り状態」・・・・「この先、どのように位置づけながら活動していくのですか?」ということや「民生委員や児童委員との活動のすみわけは?」、そしてまた「継続的にワーカーとしての力量向上のための支援は?」など質問をしたのですが、具体的なところは関係機関などともう少し調整も必要・・・というような回答でした。どこかに「市民型ソーシャルワーカー」をやっている自治体などモデルはあるのかと尋ねてみましたが、これについても「おそらく、ないと思う。」ということだったので、一年後、無事に養成講座を終了した市民たちの活動がどう展開されていくのかその行方を追いたいと思っています。


 とにかく児童虐待の通告が増加している中、現在の体制では相談をやりきれないというのが現状なのかもしれません。そういう意味で、「市民型ソーシャルワーカー」という発想が生まれてきたのだと思っていますが、本来、ソーシャルワーカーとして必要な知識や技能を取得するにはそれなりの期間を要することを考えると、一年間だけの講座で・・・と不安もあるわけですが、看護婦やケアマネージャー、教師などなど多彩なバックグランドを持つ市民が受講している模様です。
 そこで、担当者は「市民型ソーシャルワーカー」と相談先とのマッチング作業が鍵になると思うと話していました。

 
 私の印象としては期待半分、不安半分というところ。来年以降にならないと実際に活動がスタートしないわけで、今の段階では「まだ、よくわからない。海のものとも山のものとも言えない・・・・」という感じです。


 ちなみに、 「市民型ソーシャルワーカー」になりたいと養成講座に応募して来た人の共通点とは・・・・「人の役に立ちたい」という思いの強さだということです。20歳から71歳まで。もちろん女性が多いそうですが、参加している男性はあと数年で定年を迎えるという‘団塊の世代’さんたちだと聞きました。

投稿者 hisaka : 2006年07月11日

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