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2006年07月07日

成年後見制度

成年後見制度は知られているようで、あまり知られていない制度だと思います。2000年(平成12年度)の介護保険制度の開始とともに導入された制度です。

 私は今後ますますこの制度へのニーズが増えると考えています。介護保険法もそうですが、障害者自立支援法もでき、福祉の制度が「措置」から個々人の「契約」に変更される中で、この制度は個人の生活を支える仕組みのひとつだと考えるからです。特に、将来判断能力が十分でなくなった時に備え、予め後見人を選ぶことも可能な「任意後見制度」への潜在的なニーズはあるように感じています。
 現状では、先にも書いたとおり、まだまだ制度が知られていないこともあり、十分に活用されているとは言えない現状があるとのことですが、今後、制度が普及することにより、利用者は伸びていくのではないかと考えています。

 ところが、成年後見制度の中で今一番の課題とは「後見人不足」ということです。家庭裁判所は後見人として、親族など以外にも法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の公益法人(こうえきほうじん)その他の法人が選ぶ場合もあるようですが、予め、家庭裁判所には親族以外の後見人を必要とする場合に対応するため、弁護士、司法書士、社会福祉士の資格を有する者の登録制を設けています。
 とは言え、後見人登録をしているからといって、やはり一人の人間の後見人を引き受けるだけでも大変で、複数人の後見をしてくれる人は少ないのが実情で、需要と供給とのバランスがとれないのが現状のようです。


 その理由は・・・・「儲からないから」なんだそうです。後見人としての仕事は報酬が割に合わない場合が多く、もともと家庭裁判所に登録している専門家の数も少ないと聞きました。

 そこでこのような状況を打開すべく、東京都では「社会貢献型後見人」というものを始めています。これは一般市民を育成し、ボランティア的に後見人として活躍してもらおうとするものです。昨年からはじまり、まずは60名ほどの育成を行なったそうですが、今年も同様に研修を行なう予定です。(後見人になるためにとりたてて資格要件は必要ないので)
 成年後見制度の仕組みはドイツなどで非常に進んでおり、「社会貢献型後見人」が活躍しているそうです。東京都の取り組みも、これに倣っているようです。


 後見人の仕事は大変で割に合わないのかもしれませんが、一方の支援を受ける利用者の立場から考えると、費用負担(報酬なども含めて)は決して軽いものではありません。だいたい月額3~5万円の報酬が求められるからです。そこで、所得に関係なく「後見人」の支援を必要としている人への対応が求められます。東京都が要請しているボランティア的に支援をする「社会貢献型後見人」はひとつの手段と言えるのかもしれません。


 実は多摩市の場合には調布市・狛江市・日野市・稲城市とともに多摩南部成年後見センターを共同設置しています。ここは有限責任中間法人で、5市が100万円ずつ出資をし、各市とも年間約1200万円ほどの負担金を拠出し維持しています。事務所は調布にあります。現在は、正職員が4名、それから地域支援員と呼ばれる非常勤職員が2名体制になっています。
 このセンターを利用するためには、まずは各市の窓口への相談が必要で、多摩市の場合には高齢福祉課が取りまとめのをしています。現在のところ、多摩市では高齢者4名、障害者1名が南部成年後見センターによる支援(後見)を受けています。

 成年後見制度そのものも知られていませんが、このようなセンターの存在も知られていないので、利用状況をみると幾分余裕はあるようです。しかし、他市との共同で成年後見センターを設置し、セーフティネットとしての基盤整備をしている点は「安心確保」の面からも評価できるのではないかと思います。


 今日はセンターを訪問し、話を伺ってきました。センターの対するニーズが増えれば、その分、センターの人員も強化しなければならないとのことでした。そうなれば、当然に、各市の負担金も増えるはずなので、これまた財政との兼ね合いがひとつ課題になるなと感じた次第です。

投稿者 hisaka : 2006年07月07日

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