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2006年06月16日

少子化と学校と地域と

 「学校の一定規模及び適正配置等に関する審議会(第2期)」からの答申素案がまとまり、文教常任委員会での報告とともに各議員に配布されました。学校の統廃合については学区の見直し問題などでも保護者や地域に混乱を招くこともあり、とにかく「ていねいさ」が求められる課題です。素案を作成する前の段階でも地域に出向き説明会を行ない、今回も答申素案がまとまり審議会としての地域説明会を開催すると予定で、段取りとしては出来る限りの取組みをしているかのように受けとめられます。
 しかし、実は既に教育委員会の策定しているスケジュールに則って、着実に進められているだけ・・・という部分は心に留めておく必要があるでしょう。結局は教育委員会主導で事が運ばれていること、決して地域や市民主導になっているとは思えない部分もあるのです。

 今回は「竜ヶ峰小学校及び多摩第二小学校」と「豊ヶ丘中学校及び貝取中学校」の通学区域の見直しを進めているのですが、後者については諮問を受けた審議会でも教育委員会の示している統廃合の方向性もも概ね地域にも受け入れられ、これからの流れが進んでいくと思われます。しかしながら問題は前者です。私自身は、ここの地域はかねてからどうするのか課題にあげられてきたものの、手付かずの状態で今まで来てしまったことが一番の問題だと思っています。竜ヶ峰小学校は全校生徒が55名と小規模、しかしながら、立地条件が百草団地ということが事を難しくしてきました。ひと昔前の学区見直しについても話題には上がっていた場所ですがとりわけ通学距離や通学環境を考えて、隣の地域の多摩第二小学校との統合が進まなかったとの事情が在ります。
 さらには、いわゆる学校は地域の核とも言われるように、百草団地の住民にとって竜ヶ峰小学校は拠点になりうる施設です。学校が廃止されることについての抵抗感はそれはそれは大きいものがあります。そのことを考慮して、竜ヶ峰小学校をどうしていくのかは前々から多摩市にとっても大きな課題、普通に考えても高齢化が進むのに、百草団地のオーナーである都市再生機構が高齢者住宅として活用していくために事態がさらに悪化しつつあるとも言えます。学校が廃止されると言うことは尚更です。若い世代がますます住みにくくなる地域に追いやってしまう恐れが十分にあるからです。
 ここに問われるのが多摩市のまちづくりのビジョンであり、そのもとでの多摩市の教育構想だと思うのですが、そこが明確に示されたとは言えないまま、教育委員会のレールにのらされて審議会の議論を進めざるを得なかったようです。
 
 答申素案でも、「今回の素案作成にあたっては、教育委員会の諮問を受けてあくまで一定規模適正配置の考え方を前提として取りまとめたものであることを申し添えます。」と書いてあり、結論そのものが各委員の「苦渋の選択」であるとして強調されています。
 そしてまた、聞くところによると審議会の委員(第一分科会)の中でも、当該地域代表として出席をしている委員たちは最後まで教育委員会の示した考え方、方針には納得していなかったそうです。その他から選出されている委員たちは納得、でも地域の人たちは納得せず・・・これをただ単にエゴとして切り捨てられるのかどうか・・・最終的には素案はまとまりましたが、私自身も複雑な心境になりました。

 
 それにしても、前々からこの地域のことは課題になっており、特に中和田通りの安全性が指摘されてきました。小学生のみならず、中学校になれば和田中に通う子どもたちもいるので、そのことを考えれば、もっと早急に整備が図られていいはずです。でもそのことをずっと先送りにしてきた行政責任は問われるべきだと感じます。
 そしてまた、今日の委員会ではあわせて、多摩第一小学校の建替えの進捗状況が報告されていましたが、ここでも「学校の地域開放」とか「地域住民の参加でつくる学校」というようなニュアンスの言葉が交わされていました。そういうことから考えても、「学校と地域」とをどう捉えているのかもいささか疑問になりました。やっぱり多摩市の学校選択制もそろそろ総括する必要があるでしょう。

 少子化と学校と地域と・・・・これからの教育、これからの学校、これからの地域づくり・・・・今、多摩市において、そのことがどこでどう議論されているのかがよくわからない状況です。議論されている箇所はあってもまとまりがないと言えるのかもしれません。


 竜ヶ峰小学校を廃止する方向であるならば、百草団地の方々の防災拠点の問題、そして前々から課題になっているコミュニティ施設の問題などあわせて早急に議論する必要があるなと個人的には感じています。

投稿者 hisaka : 2006年06月16日

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