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2006年02月27日

公募型補助金

 今、多摩市では「補助金評価市民委員会」が設置されています。昨年度から議論を重ねていますが、既存の全補助金を見直し対象としてきました。夏ごろに提出された中間報告書がありますが、この報告書では行政にとっても市民にとっても耳の痛い見解が出されています。
 ところで、今年度から公募型補助金として「市民提案型まちづくり補助金」が始まりました。公募型補助金で補助金を獲得した団体は、その補助の成果を市民向けに報告をする予定です。既に来年度に補助対象となる事業の募集や審査も終了していますが、今年度引き続き助成が決定した団体もあります。つまり、今年度補助に関し、その成果など市民向けに報告をする前に(報告をしていないにも関わらず)、翌年度の補助が確定していることになり、よくよく考えてみると「???」と首を傾げてしまいます。これをどのように改善していけるのかは、課題のひとつだと思っています。

 多摩市がやっているように公募型補助金の取り組みを進める自治体は増えつつあります。それは歓迎すべきことだと思いますが、ただ闇雲に公募しても税金のばらまき感が否めないような気がします。ある論文で「・・・形だけの、あるいは杜撰に行なわれる提案公募事業は、時にその分野の活動に混乱をもたらし、関係する個人や団体の発展を阻害することにすらなる。」と意見を読みましたが、全くの同感です。
 例えば、女性問題、消費生活問題について行政が取り組むという視点から出されていた補助金(女と男が共に生きるフェスティバルや消費生活フォーラムなど)が廃止されてしまいましたが、補助対象とされていたイベントの企画内容の改善が課題であったにせよ、‘廃止’が意味するところをきちんと捉えておく必要があるでしょう。その他にも多摩市の一大イベントになっており、市内外から多くの人を集めてきた「TAMA映画フォーラム」も公募型補助金への移行を迫られた事業です。
 補助金見直しの必要性はありながらも、それとは別に各事業の発展を行政がどのようにサポートしていけるのかは大事な視点だと思いますが、確かに先の指摘のように補助金廃止とともに先細りが迫られるケースも少なくないようです。そのことを市民力のなさに責任転嫁されては困ってしまいます。女性問題、消費生活問題などは必要な政策課題だと思っているので。

 もちろん何が必要であるのかないのかについてはさまざまな意見があると思います。しかしながら「杜撰に行なわれる提案公募事業」の罪深さに目を向けていけねばならないと感じます。「なぜ行政が補助をしてきたのか」、そのことの意義、そこに果たすべき行政の役割を一つ一つていねいに検証しながら、精査してきたのかが問われます。何事も完璧にはいかないことを考慮したとしても、「提案型まちづくり補助金」事業があまりにも急いでスタートしたあまり、そのプログラムの組立てが不十分になっている気がしています。実は、そのような提案公募のプログラム組み立てなどに関して、日本社会にはその専門性がほとんど蓄積されていないそうです。要するに、取り組みながら考えていかざるをえないのでしょう。

 というわけで「公募型」補助金を取りいれたことだけに満足をせず、今後、この仕組みがよりよいものに発展していくための情報収集など、職員の力量に期待したいですね。

投稿者 hisaka : 2006年02月27日

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