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2005年11月08日

パルテノン多摩

 「官から民へ」の改革の1つとしての指定管理者制度。地方自治法の改正により、指定管理者制度の導入に踏みきるしかなくなってしまった・・・というのが多くの自治体の本音ではないかと思っています。国の法改正に地方が翻弄されている恰好の事例として「指定管理者制度」があげられると個人的には感じています。

 パルテノン多摩も指定管理者制度が導入されることになり、いよいよ12月定例会には指定管理者の指定を行うための議決が行われます。この議決は、すでに市長が決めた指定先事業者を追認するかたちで行われると考えてもいいでしょう。パルテノン多摩については、現在の「多摩市文化振興財団」を指定管理者にすることが決定しています。これまでの実績などを勘案し、原則公募という事業者選定の手続をとらず、「公の施設の性格、規模、機能等を考慮し、設置目的を最も効果的かつ効率的に達成することができる団体」として、財団が指定される運びです(参考:多摩市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例)。

 しかし、私は今のままの財団にパルテノン多摩を任せていくことが非常に不安でもあり、決算委員会などでも意見を述べてきました。
 そこで、今日はパルテノン多摩を担当しているくらしと文化部長、それから財団に市から派遣されている常務理事(市職員)が、わざわざ足を運んでくれ、財団を指定管理者にすることについての‘ご’説明をしてくれたのでした。つまり、これはぜひとも指定管理者としてパルテノン多摩を指定することをぜひともご理解いただきたい・・・(賛成してください)というための説得作業というわけです。
 せっかくの‘ご’説明でしたが、そもそもパルテノン多摩を文化行政の中核を担う施設と位置づけて、どのようにしてきたいのか、そのビジョンがいまいち感じられなかった(限りなくゼロに近そうだ)というのが率直な感想です。もしかすると壮大な計画があるのかもしれませんが、少なくとも、もらった資料からもその内容は読み取れませんでした。一生懸命に財団の今までの実績やこれからの経営改善計画なども含めて力説してもらったのですが・・・・。(がっかり)
 市長は経営感覚鋭い市政運営が公約だったかと思いますが、パルテノン多摩に対してはどのように経営感覚を生かしたのかがよくわかりません。経営感覚ってただの経費削減だけでないはずですから。文化行政に対するビジョンがあいまいなために、パルテノン多摩の運営状態もいまいちシャッキリできないでいると思っています。経営再建とか建て直しとか言っている割には、どこがどうなったのかが市民の眼にもよくわからないと思います。(施設だけは老朽化していることはわかるみたいです。長期修繕計画はすでに破綻していますし。)

 パルテノン多摩は全く何の役割も果たしてこなかったか・・・といえば、決してそう言うわけではないと思います。でも、私自身は「文化の鑑賞」から「文化の創造」のために、いかにパルテノン多摩が活躍してくれるのかが問われていますし、今後、ますます問われていくと考えています。
 今日の説明でも「市民活動支援」にも力を入れていきたいとの話がありましたが、まさに、文化の発信基地になるために「一体、どういう市民活動支援をしてくのか」という部分を具体的に示してもらう必要があります。でも、残念ながら今日の‘ご’説明では、そこまで具体的な構想は持ち合わせていないようでした。

 同じ会派の篠塚議員は葛飾区文化国際財団でやっている「かつしか文化工房」のようなものに具体的に取り組むべきだといっていましたが、私も水戸芸術館の取り組み等もぜひ参考にしてもらいたいと思ってます。
 しかし・・・これも篠塚さんが言っていたことですが、葛飾区の場合には「パルテノン多摩」に学び、現在の運営体制を確立したそうです。「パルテノン多摩の一体どこを学び、参考にしたのだろうか・・・・」そこを聞き逃してしまったわけですが、当時は他自治体の参考にされるくらい注目された施設であったということだけはわかりました。財団法人多摩市文化振興財団には再奮起してもらいたいものです。もう一度、他自治体からもお手本にしたいと思わせるような運営体制の構築をし、「税金の無駄遣い施設」とのレッテル除去を当面の目標にしてもらいたいです。

投稿者 hisaka : 2005年11月08日

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