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2005年09月05日

官から民へ

 昨日、多摩市学童クラブ連絡協議会の運営委員会があり、初めて会議の場に参加をさせてもらいました。この会議は、多摩市の全学童クラブの保護者会(っていうのだろうか?)の役員が集まり、意見交換や情報交換をする場です。多摩市の学童クラブのあり方を今後どのように考えていくのか、私も将来的には利用することになるはずなので、当事者の声を聞いてみたいと参加した理由です。

 そのこともあって、今日の一般質問では「学童クラブの民営化」に関するやりとりがあり興味深く聞いていました。多摩市では学童クラブの民営化については「一つの手法」として検討しているようですが、私も必ずしも民営化することが悪いとは言えないと考えています。「官から民へ」という流れは国でも、そして自治体でも進められているのですが、これを一概に否定することはできず、民に委ねていくことの方がいい場合もあると考えられます。ただ、そのとき、民でどんな受け皿があるのかを十分にリサーチしなければならないでしょう。

 「公立を民間に」という場合、例えば公立保育園を民間化しようとすると、ものすごい反対運動が起こります。それは今、公立保育園を中心に保育所を設置してきた自治体の状況をみればよくわかります。でも、多摩市の場合には公立保育園ではなく民間が保育行政を牽引してきた経緯もあり、「民営化されると保育の質が低下する。」という反対理由は通用しないと思います。私が反対運動の話を耳にするたびに「公立が質が良くて民間が質が悪い。」と最初から決めつけてしまってはいないかと感じます。もちろん「公立」であるだけで安心感は持てるのかもしれませんが、じゃあ、その内容が民間よりも優れているのかと言えば、自信を持って「公立のほうが民間よりも素晴らしい。」という風には言えないはずです。「公立」も「民間」も利用していてはじめて比較検討ができるはずなのに、「民間」と言うだけで、「質の低下が心配」とレッテルを貼ることは民間に対して失礼なこととも言うことが出来ます。私は公立保育園の民営化で住民運動をしている人たちには、多摩市の保育園を見てもらいたいなと思うこともあります。
 多摩市の状況を知っているからかもしれませんが、私は公立もあっていいし、民間もあっていいと思っています。(そういう点では公立幼稚園の廃止問題でもかなりその結論を出すために悩みました。)

 昨日の会議でも意見を求められたので、私自身は「必ずしも民営化が悪いとは言えない。」と意見を述べました。大事なことは民間に任せていこうという話が持ち上がった時、学童クラブの質を確保していくために行政がどのような役割を果たそうとしているのか、何ができるのか等、どのような話合いができるのかということです。鼻から「公立で無ければダメ。」と決めつけてしまっては、議論の余地はありません。子どもたちのために一体なにがいいのかをきちんと話し合い解決の道筋をつけていくべきだと考えています。私がそのような趣旨の意見を述べたところ、参加していた方からは「必ずしも民間がだめとは言えないだろう。」という意見もあり、そして「とはいっても、『公』が果たしてきた役割をちゃんと見据えるべき。」という意見が出されました。私も行政がそこに果たしてきた役割をきちんと総括し、その上で今後も公立ですすめるべきなのか、民間に委ねていくべきなのか、多摩市の方向性を決めるのが望ましいと考えています。もちろん当事者の声を聞くのは当然のことです。
 その点では、「一つの選択肢として考えている」という今日の行政の答弁に今のところは納得できるものでした。

 このことは「できるかぎり民間で」という「官から民へ」の流れが潮流になりつつあるさまざまな分野でもいえることだと思います。「なぜ、公立であるのか」という点を整理した上で、次のステップに進む必要があるでしょう。ただ、今は、その議論が不足していて、お金がないからどんどん規制緩和、民間に任せていくという感じがしています。だからこそ不安が倍増するわけです。

 今日の質問は質問者が「公立ありき」の視点だったので、なかなか生産性のある議論にはなりにくく残念でした。それにしても、学校教育のあり方など教育分野に比べて、学童クラブなどの子どもに関する問題に対する発言は少ないのが現実です。それは議員の中に当事者がいないからだと思っています。そのことを考えると、議員にももう少し多様性が欲しいところです。今の議会は議員の年代に偏りがあると感じています。

投稿者 hisaka : 2005年09月05日

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