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2005年07月14日

住み続けられ街を目指すためには

 生活者ネットワークの調査活動として、旧公団の賃貸住宅を中心に「住み替え」の調査を行いました。約300弱の方から回答をもらいました。一軒一軒訪ね歩いて、ヒアリングによる聞きとりをして少しだけその実態が明らかになりました。

 それは住み替えを希望している人のなかで約半数以上が、同じコミュニティー内での移動を希望しているということです。今、旧公団の賃貸住宅の中には高齢者に対応した低家賃の住宅がありますが、同じ住区の中の高齢者用住居に移動出来る確率はとても低いと言います。歳を重ねれば重ねるほど、肉体的にも精神的にも引越しは辛くなるものですが、特に、新しい人間関係をつくる意欲という点で考えても高齢者にとってはできれば今まで住みなれた地域で最後まで・・・・というのが一般的だと思います。そのことを考えると、同じコミュニティー内での住み替えを出来る限り可能にするような対応策が必要です。
 「住み替えたい」と思っていても、今の場所を離れたくないという思いを持つ人も少なくありません。その意味では画一的な間取りで提供されているような賃貸住宅の場合には難しいのかもしれません。本来は多様な間取りがあり、家族構成の変化や生活の変化によって、そのコミュニティー内で移動可能な環境があれば一番いいわけですが、「量」重視で提供されてきたニュータウンの歴史を考えると厳しいものがあります。 


 そしてもう一つ。この高齢者用住居は空室を全面的なバリアフリー対応にリフォームをしてあり、なおかつ家賃も低く押さえてあるわけですが、ここには大きな問題があります。というのは、同じ高齢という境遇に置かれていたとしても、以前からずっと住んでいる人の場合には、昔のままで老朽化がすすんだままの状態、そして家賃も高齢者用住居よりも高いという状況が発生しているというのです。私の住んでいるところもそうですが、旧公団の賃貸住宅の場合には入居した時には住まいの不具合などを言えば、直してもらえるのですが、一定期間を過ぎるとそのままの状況で、細かいところの補修などには手が回らないといった状況です。格好の例としては「郵便ポスト」があると思います。やはり雨風にさらされて、かなり痛んでいたとしてもそのままの状態というのが多いと思います。住んでいる人にとっては郵便ポストまで含めて、家主である公団に借りているという意識があるために、自分で鍵をつけかえるなどなどの対応をするかと言えば、そこまではしないのが現状です。
 一定時期を過ぎれば外装のし直しはあっても、家の中までの修繕には至らないので、昔から住んでいる人は昔のままの状態で今に至っているわけです。これについては、やはり「できるかぎりいい状態で長持ちをさせる」という観点からも何とかすべきだと思いますし、先に書いたように、「新しくてきれいで住みやすいけど低家賃」「古いままなのに高家賃」という差があることをそのままにするのは、やはりいかがなものかと思います。

 多摩ニュータウンでもとりわけ初期入居地域では住宅の質ではなく量が注目され、その供給がまず第一でした。しかしながら、やはり時代とともに住居にも「質」が問われるようになり、今では「居住福祉」という言葉もあるように、「住む場所」というのが人権問題にもつながるとさえ言われています。
 そのとおりで、「安心できる住まい」があってこそ、働いたり、学んだり、遊んだりなど等、くらしを愉しむことができるのだと思います。ちなみに私は「住まい」で重要なことは「落ち着いて眠れること」だと思っています。安眠が確保されなければはじまらない・・・ということで「よく寝る」のは極めて大事な要素だという考えだからです。

 ニュータウンについては分譲住宅の建替え問題と同時に、賃貸住宅の問題も視野にいれて、考えていかなければならないなと思っています。

投稿者 hisaka : 2005年07月14日

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