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2005年06月14日

指定管理者制度をどう生かす?

厚生産業常任委員会がありました。条例の審査が一つだけでしたが、これにかなりの時間を要しました。コミュニティセンター条例の改正の提案でしたが、指定管理者制度の導入を踏まえたものでした。
 指定管理者制度は簡単に言えば、民間活力活用のために導入され、公共的団体でなくても「公の施設」の管理、運営を行うことを可能にした制度です。多摩市ではコミュニティセンターをはじめパルテノン多摩、駐車場、駐輪場の一部から指定管理者制度を活用する方針で準備が進められています。指定管理者は原則公募により決定することになっているため、どの事業者を指定管理者にするのかを選定するための委員会が設置される予定です。現在、この委員会の市民委員を公募中です。

 さて、今日の委員会ではコミュニティセンターに導入される指定管理者制度について意見交換をしました。すでにコミュニティセンターに指定管理者制度が導入されることはわかっており、そのための条例改正が行われることも承知していました。指定管理者制度そのものについては賛否両論ありますが、私は決して否定するものではないだろうと考えているので基本的には条例にも賛成の姿勢で臨みました。
 ところが委員会で行政との質疑、意見交換をしているうちに思わぬ展開になり、結局は行政の提案に委員会として修正案を提出することとなりました。

 行政の提案では指定管理者の指定先として「地域住民によりコミュニティセンターを管理運営をするために組織された団体であって市長が指定するもの」となっていましたが、「コミュニティセンターを管理運営するため、地域住民を中心として組織された団体であって市長が指定するもの」と文言を変更したのです。
 本来であればすっきりと「法人その他の団体であって市長が指定するもの」というだけで十分です。しかしながら、多摩市のコミュニティセンターの歴史的な経緯も踏まえて「地域住民」により構成されている団体であることを一つの要件に加えてあると言えるでしょう。

 現在は各コミュニティセンターとも運営協議会により管理運営を行っています。行政の方針では運営協議会を指定管理者にしていく意向で、協議を進めているところです。しかし、本来の指定管理者制度の趣旨を踏まえるならば、利用する市民にとって、最も最善のサービス(効率効果的であることはもちろん)を提供できる主体はどこかを考えて管理者を選ぶ必要があります。

 先にも書いたとおり、指定管理者は原則公募されなければなりません。が、現在の実態、それ以上に過去からの経緯や蓄積も踏まえて考えていく必要もあるでしょう。そこで、昨年12月に制定された「多摩市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例」第5条には、公募によらない候補者の選定が規定されているので、コミュニティセンターの運営協議会はこれに該当するものとして整理されるでしょう。これについて異論はありません。
 
 しかしながら、指定管理者と言う新たな制度に対し運営協議会にどんな責任と負担が課せられるのかまだまだ未知な部分もあります。永続的に運営協議会が指定管理者としての指定を‘希望する’のかどうか確約を取れるわけではありません。現在でもボランティアによって組織されているのが運営協議会です。指定管理者になると権限が広がる分、責任も重くなります。それは財政面についても言えることです。行政の台所事情が厳しくなってくるとより一層指定管理者の自主的運営力が求められるでしょう。運営協議会が自主事業を展開し、自前の財源を獲得することが要請されるようになるのは予想の範囲です。
 その点からしても、今後の展開に予想がつかない部分もあり、運営協議会でなくとも指定管理者になれる余地を残すべきではないのかというのが私の考えです。重要なことは市民の声をきちんと反映させながらコミュニティセンターが運営されることです。そこを確保(もちろんそれが確保されているのかどうかを調査しなければなりません。)する仕組みさえあれば、運営協議会でなくとも指定管理者になれる可能性はあると言えるでしょう。

 そもそも指定管理者を導入する公の施設については、その施設の果たすべき公的役割を明確化させなくてはなりません。明確化された目的があり、指定管理者が施設の管理運営をするに際し、目指すべき目標や方向性が見えてくるわけですし、その目的が市民とともに共有されていくのだと思います。本来はコミュニティセンター条例の第1条に多摩市のコミュニティセンターの理念をしっかりと明確化することが必要と考えます。しかしながら、今日の議論でも「まったく理念が見えてこない。」という意見が出たように、条例におけるコミュニティセンターの位置づけはイマイチ釈然としないのです。

 目的や理念が明確化されていないことが今日の議論をややこしくした面がありました。そうであるならば第1条ごと改正してしまうのが望ましいと言えますが、大幅な条例改正に踏みこむまでは至らず、運営協議会に限らず地域の住民が中心になっている団体であれば指定管理者になれる可能性をほのめかした条文に変更をするだけに留めました。
 
 地域のコミュニティセンターなので地域ごとに住民が参加をしながら自主的な管理運営を進めていくのが最も望ましいかたちだと考えています。しかし、条例として制定をする時には運営協議会のみを限定するかのような、限定してしまう恐れがある文言整理では不十分です。「大した違いはないのでは?」と感じるかもしれませんが、ちょっとは違ってくるはずだと思っています。

投稿者 hisaka : 2005年06月14日

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