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2005年02月12日

議員の口利きを記録する

 議員活動のことなどについて話し合う会がありました。その中で盛りあがったのは「議員の口添え」ということでした。
 例えば、道路補修工事などについて言えば、ある程度フリーで職員裁量に任されるかたちで予算が確保されている場合が多いです。そのような場合、議員から頼まれたところは優先的に工事着手されるようなケースが多々見受けられるというわけです。もちろん議員の口添えのあった維持補修が市民全体の利益から見て、客観的に必要性が高いものであればいいとは思います。しかし、そうでない場合が多々あるのが現状で、議員から頼まれたことで優先順位が格段にあがるのは‘当然’の暗黙の了解で行われているようです。
 先進的な取組みを進める自治体ではこのような議員と職員とのインフォーマルなやりとりをメモなどで記録することをルール化しています。そしてその記録も市民の情報公開の対象文書としています。この取組みをとりいれるかどうかは、議会からの要請というよりは、首長の姿勢によるものと言えます。多摩市ではまだ、このような取組みが行われていませんが、透明な市政を実現するということであれば、行政の説明責任、議員の説明責任のためにもインフォーマルなやりとりの記録し、情報公開対象にしていくことは有効な手段であると思います。

 「議員と親しい人はすぐに老人ホームにも入れるみたいよね。」とか「議員に頼んだら都営住宅に早く入れるんですか。」「保育の入所も優先的になるのかなあ…議員さんに頼んだら。」と言われることが多々あります。市民の中にも議員を知っていることで得をするとの事実に気づいている人がたくさんいるのが現実です。でも、本当に誰がみても必要だと言えるくらいの状況であれば別ですが、得てして、議員の口添えが公正、平等性を失墜させることがあります。「順番待ち」をしている場合にも平気で‘横入り’ということもあるのだそうです。これが行政職員が語る現実です。

 地域にはたくさんの困った問題がたくさんあります。それらをどうやって解決していくのかで議員は相談役を果たすことはもちろんです。しかし個人的な問題が地域の課題として不変的なものになり得るかが重要な視点になるのだと感じます。実は議員が親しい人だけが得をする状況を温存するのは誰のためでしょうか。もちろん便宜を図ってくれた議員のためとも言えるかもしれません。でも実は便宜を図るように依頼した市民のためとも言えるのです。つまり、便宜を図るように依頼するという行動そのものを市民自身も考えなければならないのです。そうでなければ、相変わらず個人の問題で口利きや口添えに奔走する議員の活動はなくならず、本来は普遍化すべき個人の問題も個人の問題として留まってしまう原因にもなっているからです。

 何しろ誰に対しても「等しく」という視点を欠いていては、公務員は仕事ができません。行政の職員、そして非常勤特別職の議員も公務員です。

投稿者 hisaka : 2005年02月12日

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