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2005年01月14日

安心安全のまちづくり

 性犯罪者の出所後の住所について、法務省が警察署に提供する方針であることが明らかになりました。繰返す確率が高いと言われる性犯罪を未然に防止する目的であることが一番の理由だと思います。連携体制を組むことでより社会の安心安全を確実なものにしようとする方向性を否定するわけではありませんが、「公益目的」の名のもとで行政の保有する情報が警察に手渡されることは、いくばくか治安維持法時代を彷彿させます。

 さて、安心安全のまちづくりと言えば、現在の都知事はえらく熱心な取り組みをしています。「安心安全まちづくり条例」を制定していますし、防犯対策にはかなりの力を入れています。この都条例でもやはり警察との連携が位置付けられています。この連携の前進という部分では期待できるのかもしれません。が、その一方でこの条例制定は、「空き交番」を見てもわかるとおり、「警察には頼れませんよ。」ということを公に明らかにしたこという見方ができます。ここは認識すべきだと思います。

 ところで犯罪件数は増えていると言われます。そしてその割には警察官の数が少ないのだそうです。警察官対象の調査では犯罪が年々増加しているという実感が明らかにされていますし、実際にも時代とともに犯罪の質的変化もあり、解決困難な事件などが増えていることも事実です。そのような状況にあり、交番の「お巡りさん」というイメージで語られるような存在を地域に配置する余裕はなくなっているのかもしれません。そこで、地域のことは地域で守り、自らのことは自らで守るという発想が出てくるわけです。
 
 そう言えば、最近、近所でも蛍光色の防犯を呼びかける看板をよく目にするようになりました。看板があるだけでも犯罪の抑止効果になるそうですが、看板が配置されすぎても何となく効果が薄れそうな気がしますし、なおかつ看板の設置状況について倒れていたり、壊れていたりなど状態が良くないものについては、むしろ逆効果を呼びそうな危惧があります。そのまま無造作に放置されたままの看板は地域コミュニティの状況を知らせるものとも言えるからです。看板の立ち方ひとつが物語るコミュニティの姿…そこにその地域が見えてくるのです。

 安心安全のまちづくりには「ご近所」が欠かせない。でもそれは古き時代の「隣組」でないことは確かです。

投稿者 hisaka : 2005年01月14日

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