« 市内の移動をスムーズに…「のりたくなる」「タクシー」 | メイン | 誤った認識、ゆがんだ認識・… »

2004年08月27日

これからの自治体議会

 幕張メッセで昨日から開催されていた自治体学会のこれからの自治体議会~政策判断と条例制定」をテーマにした分科会に参加し、報告者として多摩市の自治基本条例制定における議会の役割についてを話しをしました。
 従来のように中央のトップダウンで自治体で事務を執行してきた時代とは異なり、地方分権が進み、自治体で決定できること、しなければならないことは増加している分、ますます自治体議会の果たす役割も重視されなければなりません。そういう問題意識を抱える人が分科会に集っていました。自治体学会は市民、議員、研究者のネットワークとして活動をしているところですが、分科会の参加者はやはり半数ほどは議員で占められていて、その関心の高さが伺えます。他の自治体でどんな議会改革が行われているのかなどを参考にして、自分の所属する議会の活性化にも力を注ぎたいと考えているのだと思います。
 今回の報告事例は川崎市、銚子市、そして多摩市と3つの自治体の議員から、そしてそこに基調報告とコメンテーター、コーディネーター役の研究者が加わり、現在の自治体議会をめぐる状況や今後の方向性を議論するという内容でした。私自身は多摩市の報告をしたのですが、自治基本条例制定をめぐっての議会の活動が、果たして‘議会改革’だったのかどうかという点は保留です。けれども一つだけ言えることは、制定に至るまでの一連の流れが市民、行政、そして議会にとっても一つの経験になったという事実です。また、サブタイトルには「政策判断と条例制定」となっていましたが、純粋な政策判断だけで議員は動くのではなく、やはり政策判断の裏には大きく政治判断が関わり、それを左右するわけで、自分自身の政策を自分の思い通りにそのまま貫こうとするとやっぱりそれでは成功しないと思うと私が経験から感じたことを述べました。
 さて、事例報告で銚子から加瀬さんの「大学誘致問題」をめぐっての発表はとても興味深く聞きました。大学誘致を進める市長が提供する情報を鵜呑みにしてはいけないと、それに勝る正確的確な情報を議員有志を中心に収集し、それを市民に提供することで、誘致反対運動を展開している事例でした。議員が身を粉にしてする調査活動の例で、これには私も感心し、敬服しました。
 しかし分科会を通じて、まだまだ政策判断できるだけの力を兼ね備えている議会はほとんどなく、議会事務局スタッフの強化、調査費用の保障(真剣に活動をしようと思えば持ち出しが多いという意見が出ました)も含めての課題の克服を考えること、そして議会への市民参加をもっと進め、市民のための調査機関、議決機関として機能強化を目指すことが必要だという現段階での結論に落ち着きました。

 市民の参加…と言った時、どのくらいの市民が参加すればいいのか、市民への周知といってもどのくらいPRをしたのかとか市民の関心が高まったのか…という議論が必ず起こります。それについて研究者の方は、関心のある人だけでもいいのではないかという見解を述べられました。確かにそうだし、それが現実ですが、大事なことは関心を持った時にすぐに参加できる窓口が誰もに開放的であることだと思っています。
 議会改革を進めていくためには、もちろん内部から…と考えれば議員ですが、やはり行きつくところは市民自身の手にかかっているように思いました。市民自身が総体としてどんな議会像を目指し、そしてその改革ができる議員を選ぶのかに深く関わるからです。このことについても分科会では一致した見解でした。

投稿者 hisaka : 2004年08月27日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/723