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2004年06月21日

最終的には政治的な決断が求められることだから

 全員協議会が開催されました。学校跡地の活用方針案についてです。朝10時から協議会はスタート、最初の1時間は行政の提案内容が説明され、その後、質疑がやりとりされました。現在は6校の跡地の活用方針では資産活用をしていくことも示されています。ここが大きく注目されている点です。
 資産活用に対しては仮に売却されたとした後、土地利用で市が主導権を握れなければ良好な住環境が守れないという危惧や売却したことによって多摩市が受けてきた都の財政補完の行方などの心配が訴えられました。しかし、当然ながら、市としては、そのような点について十分に考慮し配慮をしながら最終方針案を提示しているとの答えです。今日のような協議会を開いたからと言って、どうも行政の方針案が変更されるとも思えず、途中から私は一体何のために、この協議会が開催されているのかと感じてしまいました。
 議論をしながら、理解を深めながら、例えば今回の提案に変更の余地がありそうならば、協議会の開催意義は大きいと感じます。しかしながら、行政は今後、議会や市民からのパブリックコメントなどを参考しながら、最終的な行政計画としていきたいとは述べているものの、生産的な議論が展開されているかといえば、傍聴者の感想でも「・…」と言うことで、私自身は「空振り」感を非常に強く抱いてしまいました。
 正直、行政がこの間議論をしてくる過程で、用いてきた各種の資料などと同等の情報収集などが出来ている状況で、議員が質疑をしているかと言えば、その部分での差が大きく、そのことが行政側にどうしても主導権を握られがち…感につながってしまうように思います。ここは議会として法解釈技術などを含めて大きな課題です。

 しかしながら、いずれにしてもこの問題は市長の大きな政治判断に委ねられると思います。例え、議員が個別に様々な意見を投げかけたとしても、そしてパブリックコメントを集めたとしても、行政計画を最終的に決定していくのは市長です。議決を要しないわけですから市長の責任は重大です。
 パブリックコメントなどは得てして、数ヵ所に集中した意見がどっと出される傾向があります。それは考えれば当然の話です。当事者は必死だからです。例えば、「資産活用」という方針について反対をしたいとなれば、そこに集中して異議を唱える見解が出されると言うことです。パブリックコメントを項目別に整理し、集約された意見数により判断し、その争点部分については見直しや変更をかけるという手法で取組んでいくのであれば問題がありませんが、必ずしもそうではありません。
 例え、多数のパブリックコメントが集中した争点があったとしても、その意見が全市的に見た時には、意見を提出した市民の思惑とは全く逆の結論が出てしまいます。寄せられた意見の「数」ではないというわけです。
 だからこそ、その判断に責任を持つのは、まさしく市長だと思います。選挙で民意を受けて選ばれた市長が、自分の信念に基づいて、政策判断に基づいて最終的な決断を下すのだと考えます。
 今回の場合は「資産活用」という点に対し、市長が自分のことばで、自分の政治信念などに基づいて、堂々と方針を語るべきと思います。もちろん今後の市民からのパブリックコメントを得て、方針を変えることもあるかもしれませんが、そうだとしても、現時点ではきちんと市長が明確な言葉でこの方針に対する見解を打ち出して欲しいものです。
 しかし、残念ながら、今日の協議会では、冒頭にご挨拶程度の言葉を述べただけで、あとは全て答弁は部長、課長任せ。市長はたったの一度も答弁に立つことはありませんでした。「最終方針案の検討には市長も加わっていた」…ということで部長の返答がありました。だったら、尚更のこと、市長は検討委員会での検討の経緯も含めて、自分のことばで語れるはずです・…と私は思います。
 議員の中には、市長がいちいち答弁する必要はないとか、市長は必要だと思った時に出てくるのだから議員がいちいち市長を指名するのはおかしいという野次を飛ばす人もいますが、私はそれは違うと思います。
 もちろん市長が重要だと感じるところと議員側で重要だと感じることにズレが生じれば、市長は答弁に立たないのかもしれませんが、今回のような「資産活用」、市民の財産を売却したりするという大きな決断をする場合には、市長は自分の責任で意見を述べるべきだと考えます。そうでなければ、私は市民も納得しないと思います。
 7月に3日間、この活用方針案の説明会があります。私はこの案に対する賛否は別でいろいろあると思いますが、市長自らが、市民に対して市長の声を届けてもらいたいと切に願います。

投稿者 hisaka : 2004年06月21日

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