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2004年06月09日

教育委員会にもっとがんばってもらいたい!

 総務常任委員会がでした。21日の「学校跡地施設の活用方針案」に対する全員協議会に先だって、素案の説明がありました。12月市議会では、既に南永山小学校の跡地施設の資産活用を考えなおして欲しいという陳情が提出されています。この陳情については、全員協議会の開催を待ってから結論を出すことになり、「継続審査」扱いとなりました。
 跡地施設の今後について、これは「市民の財産」ですので、やはり軽軽しく考えることはできず私たちも頭を悩ませ、よりベターな活用方策を編み出していきたいと思っています。

 私は12月市議会の時点で陳情が出され、その後色々と考えたのですが、そもそも学校とは「教育施設」であるという原点に立ち帰ろうと思いました。その時に見えてくることが、この施設の管理については教育委員会が責任を持つという部分です。
 教育委員会は自身で財政権を持つわけではなく、長と教育委員会との権限について法律を読んでみると、財政権に関する部分では長が責任を持つことがうたってあります。しかしながら、例えば用地取得などに関しては教育委員会の決定が必要ですし、ただ用地取得をめぐっての契約権限などのごく限られたお金にまつわる部分だけで長の権限が認められているようです。つまりは、教育財産の取得には教育委員会の判断がいるとなれば、手放す(売却など)の時にも同様に教育委員会としての判断を求める必要が当然に出てくるのです。

 さて、ここで、教育委員会に求められることは、義務教育のための「教育施設」でないとするならば、いわゆる市民の生涯学習という重要な分野があり、そのための施設活用を視野に入れた方針を打ち出すことでしょう。「生涯学習分野」に対する教育委員会の考え方がとても大切になってきます。「生涯学習」と趣味活動との違いや区別はし辛いとも言えますが、図書館の機能で考えるとわかりやすいと思います。趣味で読書をする場合と、何かしら自分の興味関心のあるテーマを図書館にある専門書でリサーチをする場合などあります。ここには趣味と学習との違いが見出せるのではないかと考えます。
 だからこそ、教育委員会が重要です。教育委員会として、市民の「学ぶ」機会をどう提供していきたいのか、また、生涯学習政策の柱の一本としてしっかりと立ててもらわねばなりません。これから、高齢化社会に入り、リタイアして地域で活動する人が増えることを予想すればなおさらです。

 ところが、学校跡地施設の活用方針については、企画政策部が音頭をとり、庁内の取りまとめをしてきました。もちろん「教育施設」として捉えるよりは、もう少し視点を広げて、「公共施設」の有効活用として、全市的な視野で、それから多摩市の総合計画も踏まえてとなれば、企画政策部でリードしながら、方針案を考えていくという手法もありだと思います。しかしながら、私はこの動きに対して、教育委員会がどんな風に関わっているのかが全然見えてこないことが不安です。多摩市には第2次多摩市生涯学習推進計画が存在します。これには当然に教育委員、社会教育委員などが深く関わり、多摩市での生涯学習政策をすすめてきたはずです。
 しかしながら、今までの経過の中で、確かに市民からのパブリックコメントなどは集めたと言うけれど、教育委員会や社会教育委員の会合などで正式議題に上げながら、考えてきたのだろうか?と疑問があるのです。そもそも「教育施設」だけれど「公共施設」として捉えて、活用方策を打ち出すことに教育委員会として承認はしているのだろうか?そして、教育委員会として、今まで跡地の活用をどのように議題に上げながら議論をしてきたのだろうか?この辺りがいまいちはっきりとできずに委員会での質疑を終えてしまいました。
 私自身も少し注意不足で、もっと前に気づいておけば…と反省もありますが、学校跡地施設をめぐっての教育委員会の関わりが希薄なのではないかと思わざるを得ません。

 この状況は…少し違うかもしれませんが、市立幼稚園廃止の時と似ている気がします。つまり、市立幼稚園の廃止についても、市長側が教育委員会よりも先に廃園方針を出してしまったような経緯もありました。そのために、現在、教育委員会からは6つの点における市長再度の見解を求めているところです。何となく、この流れと同じように、教育委員会で生涯学習推進における考え方がまとまり、その上で学校跡地の「教育施設」としての活用方針が決まり…となっていない気がしてなりません。
 ただ、教育委員会では「義務教育施設」としての使用を停止することは認めているため(廃校するためには条例改正が必要だからです。)、考え方によっては、その時点で教育委員会の施設活用における責任は果たし終えたとも言えます。そこに教育委員会としての判断があったとするならば、施設そのものを「教育施設」としてだけから見直すのではなく、全市的な視点からで捉えなおして、方針決定をするという行政サイドの整理も決して間違っていると言い切ることは出来ません。

 とは言うものの、これで教育委員会は納得出来るのだろうか?と思います。答弁では「教育委員会として・…」という枕詞で、いかにも教育委員会としての了承事項のように学校跡地施設活用方針案に対するコンセンサスが得られているような答弁もありましたが、それが確かなのかどうか、私自身が確信を持つに至るまで、確認をしなければいけないと考えています。生涯学習という分野における教育委員会の役割が今後ますます増えると思っているからです。教育委員会の立場的に考えた時、市民の生涯学習の場をどう考えているのか、その場としての学校跡地施設の活用状況をどう評価しているのかは聞いてみたいところです。
 
 いずれにしても私は教育委員会にはもっとがんばってもらいたいです。教育委員会が財政的なことを考えすぎた時、自由で広がりのある教育政策を考えることができないだろうというのが私の考えだからです。

投稿者 hisaka : 2004年06月09日

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