« 「移動の自由」は自己実現の条件 | メイン | 条例提案にむけては »

2004年06月04日

ゆりかごから墓場まで

 政府が手厚く手広くさまざまな公共的サービスを担うことを「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家と言います。戦後の日本でも福祉国家的にいろいろなサービスを政府が展開してきました。時代環境を反映しながらそのサービス内容の中味は変化し、充実してきたのだと思います。
 少子化時代に入り、「ゆりかご」政策にテコ入れしようとする一方で、不謹慎な言い方かもしれませんが「墓場」の心配も必要なのが現状です。今回の一般質問では「市民葬祭場」の充実につき、二人の議員がとり上げています。
 多摩市では独自で葬祭場を持っておらず、町田市、八王子市、日野市、稲城市と共同で出資をし南多摩斎場を運営しています。最近は自治会や管理組合の集会施設を使用した式をすることも少なくなっていて、セレモニーホール的な施設の使用が増えている傾向があります。南多摩斎場も多摩市民だけではありませんが、いつも混んでいるために、なかなか使用できないそうです。
 いわゆる斎場施設は人の一生を考えてみると生活に欠かせない施設ですが、一般的には「迷惑施設」とも言われ、その建設にあたっては非常に困難を極めます。南多摩斎場もとても不便な地域に立地していて、私も足を運ぶには至っていません。(一度は施設を見ておく必要は感じているのですが、何しろ車が運転できない人にとっては、ものすごく行きにくい場所にあるのです。)しかし、市民は利用するのです。

 これからの社会を展望すると、どうしても施設不足を否めないわけで、今日の質問でも増設の要望とともに、内容の充実を求めていましたが、5市で運営(経営)するという点では、それぞれの市の思惑や現状などが絡み合うために、なかなか足並み揃わず・…という状況です。5市の中でも町田市と稲城市以外は独自で斎場を所有しているため、南多摩斎場は選択肢としての一つと位置付けられるのですが、多摩市の場合は「ここしかない」ために、そして市内見回しても、今後、立地できる場所の確保を考えても難しいわけで、やはり増設の方向を他4市に働きかけることが一番の近道なのです。しかしながら、5市ともども厳しい財政事情を抱えている中では、なかなか実現可能性的にも見込めさそうな雰囲気でした。

 ところで、葬儀のスタイルも多様化していると思います。身内だけで葬儀は簡単に終わらるということもありますし、生前葬というものもあります。大げさな式はしないけれど、偲ぶ会的な会を持つことも増えています。私は今後は、今までのようなスタイルではなく、葬儀にも「自分らしさ」みたいなものを取りいれた式を望む人が多くなるように感じます。そういう式にも対応できるような施設が必要だなと思いながら、今日の質疑応答を聞いていましたが、セレモニーホールもやはりもう少し利便性の高い所に立地している方が望ましいことは確か…そのことを強く感じました。とは言え、「迷惑施設」として捉えてしまう傾向は、もちろん私もそのことを理解しますし、自分の気持ちの中で、何とも言えない味を噛み締めざるを得ませんでした。

投稿者 hisaka : 2004年06月04日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/706