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2004年05月26日

たましろの郷

 東京ネットの視察で青梅市にある「たましろの郷」へ行きました。ここはろう重複者生活就労施設で入所については30名定員のところ29名、通所は現在20名定員のところ18名が過ごしています。
 約2年前に完成した新しい施設で、設備も行き届き、入所者は聴覚に障害があることから、職員の方はもちろん手話を取得されています。私たちに対する説明も時折、手話を交えてでしたが、日常的に手話を使っているのでコミュニケーションスキルとして自然と身についていることがよくわかりました。
 ちょうど「たましろの郷」の隣には老人ホームがあり、また地域には知的障害者の施設も立地していて、青梅市に施設を建設することを受け入れてもらうためにかなり苦労がいったとのことでした。第一候補地だったところでは(どこの場所かはわかりませんが)、周辺住民の反対にあったので、ようやく自然豊かな静かな青梅市のこの場所に立地できただけでまずはひと段落だったのでしょう。現在の場所は市街化調整区域であり、周辺には民家がなく少し寂しい感じもありますが、それでも夜は星がきれいに見えそうな自然に囲まれたところにありました。
 施設ではちょうど作業中でした。その現場に立ち会うとお邪魔になってしまうので、最初に館内をめぐり、その後、お昼時間を少し過ぎてから、実際の作業現場を見せてもらいました。
 古紙利用をした植木入れ、陶芸、さきおり、雑巾ぬいなどが行われているようです。また、「たましろの郷」のグループで国分寺市に「かたつむり」とショップを出しているそうですが(作業所でつくったものなどが販売されています)、このショップへ通っている人もいるのだそうです。自立生活と労働意欲の向上を図って、社会参加を進めていく訓練施設との位置づけになっています。

 このような施設ではお風呂場の管理が徹底して行なわれています。風呂場での事故が少なくないからだそうです。「たましろの郷」のお風呂は男性と女性が時間制で交替で使用しています。実際にお風呂場を見せてもらったのですが、すみずみまでに行き届いた掃除、そして広々として小さな旅館の温泉のようなリラックス出来る場所でした。入所者の方は食事とお風呂が一番の楽しみな時間とのことですが、これは私でも同じだなと思いました。

 やはり気がかりなのは施設維持費ですが、これについてはものすごく運営が大変なのが実際の状況です。職員の数もギリギリでローテーションを組みながらまわしているそうです。支援費制度と介護保険制度が一本化するしないと論議されていますが、この行方が気がかりだとおっしゃっていました。とにかく、もう少し職員をきめ細かく配置して、配慮行き届いて接したいそうですが、ここはお金が許さない・・・という厳しさです。職員はだいたい二人体制くらいで作業現場で指導をするそうですが、一人の手がふさがってしまった時などはてんてこ舞いだそうです。職員はいつもフル回転状態のようです。
 
 一通りの説明を聞いた後、食堂へ行きました。そこではちょうど食事中の利用者たちがいました。そして、陶芸の作品、クッキー、球根つきの植木ポット、それから干ししいたけや畑で取れた新鮮なキヌサヤとスナックエンドウなどの販売がありました。私は手話がまったくわからないので、一生懸命に私に商品説明をしてくれ、コミュニケーションを図ろうとしてくれた男性の気持ちに応えられないことがもどかしくてなりませんでした。

 今日は次の予定が入ったため、午後の「東京都林業試験場」見学には参加できなかったのですが、この試験場は一度見る価値があるとのことで、ぜひまた足を運んでみたいなと思っています。

 この施設の利用者の方々のところには自治体で支援費の業務に携わっている職員の方が尋ねてヒアリングなどもなさるそうですが、「歩ける=移動できる」という形で判断するところなど、例えば障害を持っているので歩けるとしてもガイドヘルパーさんが必要であったりするにも関わらず、そのことを理解せぬままに支援費の支給額が決定される、また財政事情から、なるべくお金を出さないようにしようと意識からだと思いますが、各々自治体の判断基準もまちまちみたいです。
 支援費は当事者との契約で成り立つ仕組みですが、職員が精一杯のフォローをしながら、支給額の決定などにも関わっています。また、この施設では利用者一人一人の記録をつけているそうで、この記録がローテーション勤務の職員をつなぐ重要なツールになっているみたいです。一人一人の記録をつけるだけでも大変で、職員の方の労力には頭が下がるばかりです。とても勉強になった視察でした。

投稿者 hisaka : 2004年05月26日

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