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2004年05月24日

日本では遅れているのが交通行政!

 今日は早朝に家を出発し、浜松まで行ってきました。「高齢者・障害者/地域交通のセミナー」に参加するためです。このセミナーは「第10回高齢者・障害者のモビリィティと交通に関する国際会議TRANSET2004」と併せて開催されたものです。これについては全く知らなかったことですが、3年に一度の開催されていて、日本での開催は今回が初めて、次回は2007年カナダに会場を移します。
 会場には交通事業者関係の人、コンサルタント会社、行政関係者を始め、私のような市民も数名参加していたようです。しかしながら、圧倒的多数はサラリーマンと見え、みなさんカッチリしたスーツ姿でした。海外からの参加者の中にも車イスの方もいらっしゃいました。
 静岡県はユニバーサルデザインのまちづくりを進めていて条例を制定しているのですが、さらに浜松市でも県の条例に頼ることなくユニバーサルデザイン条例を独自に制定してまちづくりをすすめているようです。今回の国際会議は「ユニバーサルな交通システムと道路デザイン~その成功のための戦略~」というのがテーマに浜松市はぴったりの開催地だなと感じました。

 ちょうど6月議会に向けて、多摩市で先般完成した交通マスタープランと「移動」の問題をテーマにした一般質問をやるので、急遽、このセミナーに足を運びましたが、内容が非常に盛りだくさんすぎて、どのセッションも時間不足のまま終了してしまったのが残念なところです。
 しかしながら、交通システムが抱えている課題、とりわけ日本では規制があまりにも厳しくて、鉄道、バス、タクシーなどが一体となって交通体系を考えてこなかったことが指摘されていて、もっと全体的に考えて、市民の利便性が向上するようなシステムづくりが必要だと研究者からは指摘されていました。また、交通バリアフリー法との関連では、ユニバーサルデザインのまちづくりには市民の参加が不可欠であること、特に障害者とともに‘まち’の姿をチェックしながら、バリアフリー化を進めることが重要だとの話でした。しかしながら、一言で障害者といっても、抱える障害は様々なので、障害者どうしでもどこから優先的にバリアフリー化をするのかについて話合い理解し合うことが求められるという意見もありました。これは障害当事者の方から出された意見だったので重みがありました。
 私も障害当事者に限らず、市民の参加が、市民たちがただ行政にお願いをする「要請」の機会の増加であっては全く無意味で、自分たち自身での意見調整こそ求められると思っているので、うなづきながら聞いていました。
 また、ユニバーサルデザインのまちづくりについて守山市の担当者が発表をしてましたが、これに対してコメンテーターの方より「担当者の情熱、やる気」は重要な要素だけれど(すでに発表者は人事移動で部署を変えている)、その職員がいなければ出来なかった…。では困りますよね。」との発言もあり、ここに私は思いっきりうなづいてしまいました。担当者のやる気に支えられている事業とは、人事異動があればそのまま先細りしてしまうことが多々あるからです。そうしないためのシステムづくりは今後の大きな課題でしょう。

 それにしても海外などの事例発表なども聞きましたが、交通問題を解決していくことが、「移動の自由」を確保するという視点としっかりと結び付けられている点でやはり日本の交通行政へのアプローチの仕方とは異なっているように思いました。パネルディスカッションでは「日本は遅れているんですよ。」と言い放っていた方がいらっしゃいましたが、ここには日本の官僚システムの弊害が存在していて、「縦割り行政」で物事を処理してきた結果が生じているように思います。
 現在でも国土交通省と厚生労働省との折衝に非常に時間がかかり、「移動制約」の問題がすんなり解決できないという事実は存在していました。やっと、ここに来て今回の一般質問とも関係しますが、高齢者や障害者のハンディキャブ問題について国土交通省がガイドラインを出したところだからです。

 日帰りだったので、浜松市内のユニバーサルデザイン化をゆっくり見る時間がとれずに残念でした。

投稿者 hisaka : 2004年05月24日

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