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2004年05月23日

ユニークなニュータウンライフ

  多摩ニュータウン学会の総会とシンポジウムがありました。一応、昨年から‘理事’という立派な肩書きがついているので、スタッフとしてお手伝いをしました。正直、この肩書きは荷が重過ぎます。名称を変えてもらいたい気がします。「企画運営スタッフ」くらいにして欲しいです。
 今年度の統一研究テーマは「ユニークなニュータウン・ライフを創ろう~共同体から共異体へ~」です。一人一人、互いの相異を認め合いながらともに生きる地域社会を!という意味が込められています。

 さて、今日はシンポジウムとして基調講演もパネルディスカッションも全て出演者を女性でした。基調講演でお招きした朝日新聞の研究員の佐田智子さんは「もともと女性たちが地域でこんなに活動していること自体が‘ユニーク’で特異で、すでにニュータウンは‘ユニーク’さを持っている」と言っていました。彼女は「いかにも団塊の女性たち」の特徴について「偉ぶらないで、自分の感覚でモノを言う」と分析していました。多摩市には酢づけのように専業主婦がいて、彼女たちが地域で発揮してきた力は非常に大きいと言うのです。
 なるほど、それは一理あるなと思います。ニュータウンは多くの男性にとってはベッドタウンで生活サイクルの中では「寝るだけの場所」。男性がもぬけの殻の昼間に地域にいた女性たちが、男性の経済力に支えられて活動をしてきたという状況はいかにも‘郊外’の典型だと思います。しかし、特に団塊の世代があと数年後には都心から地域へと戻ってくるわけで、この変化がまた地域をオモシロクすると言うのです。
 
 私はすでにこの社会状況の中で、地域でビジネスチャンスを狙っていたり、または起業した父親と同世代の男性などを知っていますが、なるほど新しい地域の担い手が生まれているなと思います。実に、男性の地域デビューの兆しどころか、すでに男性が地域での自分の将来を真剣に考えている、考えさせられているんだなということは、今日のシンポジウムの参加者を見てもわかります。出演者が女性ばかりのこの場所にも関わらず、圧倒的に男性で、しかも団塊の世代付近以上だと思われる年齢層の方が多いこと。これこそ、まさに、男性が直面している状況を映し出しているのです。
 何か地域に求めて行こう…という意欲があるのだと思います。今日、初めて来場したと言う方も6月にリタイアするんだと話していました。新聞での案内によって、今日のことを知ったそうです。考えてみれば、ほとんどと言っていいほどに地域の情報が新聞に取り上げられることもなく、市の広報をすみずみまで見るような男性も少ないでしょうから、情報源が限定されているのが男性だと思います。おまけに、男性は仕事のために「日経新聞」を読んでいる人が多くて、地域情報を探そうと言う視点を持ちながら新聞に目を通すという観点にも不足しがちだと考えています。
 どうやって地域での人との出会いを探していくか…これは自分次第だと思っているので、ちょっと偉そうですが、私の考えをお伝えしました。

 さて、パネルディスカッションでは地域でそれぞれに活動をし、活躍をしている女性たちがパネラーでした。女性はそれこそ自分の感覚で歯切れ良く発言をするために、会場の男性たちは何か反発など感じないのかしら?と思いましたが、誰一人「反論」も「反発」もせず閉幕。私としてはとても残念でした。特に、パネラーの一人のより「男性は地域に戻ってきた時に評論家になりがち」という指摘があって、これについて何か感じなかったかな?と思いましたが、これもまた女性たちの方がいいか悪いかは別としても「思いつきでの行動力」があるということかなと感じます。失敗することに慣れている…と言うことかもしれません。
 団塊の世代ではキャリアを捨て、家庭を支えてきた女性が多いのが特徴です。その意味では「生き方探し」が上手で、自分らしいを探すために色々な壁にぶつかってきた経験が豊かと考えられます。だから、失敗する勇気があると言えます。この団塊女性のパワーには私はついていけないし、理解し難いと思うことは多々あります。特にネットの活動を支えてきたのは、まさにこの母親と同世代の人たちばかり。私の母親自身を見ていてもですが、どこから出てくるかわからない‘粘り強さ’みたいなものを感じます。ネットの展開してきた運動などには全く無縁の人ですが、ネットで「私たちの活動はネットワークをつくる運動。」と主張する部分にも当てはまる気がします。
 私はネットは‘運動’をしているのか?と考えた時、今はちょっと違うのではないかと分析しつつあるために、そこにある気持ちを理解できない部分を抱えています。それはきっと私に彼女たちの‘粘り’がないからかなと思ったりしますが・・・。

 いずれにしても、男性にハッパをかけると言う意味では大成功だったかもしれない今日のシンポジウムでした。しかし率直な男性の意見を聞けなかったのが残念でした。
 壇上から「男性たちよ!がんばれ!」みたいなエールを送る地域での先輩分で女性たちにとっても姉御肌の女性に圧倒されたのかもしれません。圧倒されてしまったとすれば、まだまだ地域はオモシロクなれない。女性たちで支える地域にも限界が見えているし、男性の力は不可欠です。むしろ、男性も参加しやすい地域づくりに、実は女性がもっと配慮しなくてはいけないのかもしれません。

投稿者 hisaka : 2004年05月23日

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