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2004年05月20日

堂々めぐりで議論は続く・・・

 国民健康保険運営協議会。これは法律で設置が義務づけられ、議員は「公益代表」として4名が加わり、簡単に言えば、市が保険者である「国民健康保険」に対する見張り役をする機関と言えます。
 国民健康保険の加入者は昨今の社会状況を反映してうなぎのぼり。そして所得が300万円以下の世帯が加入者の約80%を占めていて、非常に厳しい財政状況を抱えています。国民健康保険は特別会計ですので、独立採算性を取る必要がありますが、やはり単独で収支のやりくりをするのは困難です。そこで一般会計から繰入れをしていますが、昨年度はこの繰入れ額がなんと約20億円にも達する勢いで、議会でもかなり問題視されました。
 昨年度の協議会には今年の4月からの国民健康保険税率を上げることなど諮問されました。これは議会でもすでに議決されて改正になりました。さらには福利厚生的な事業のいくつかを整理・廃止することを決めました。でも、それでもどうにもならないのが現実です。どんなに自治体で努力をしても努力をしても、「小手先」での対応にしかならず、税率を上げたからといっても増収部分は約1億円ほどというのが昨年の協議会での説明でした。

 今日の協議会では「国民健康保険税の今後のあり方について」が議題でした。協議会の委員は2年ごと交替なので、それをにらみながら議論をしなければなりません。来年度の5月末までにはこのメンバーでの一定の方向性を出すことが求められます。
 健康保険は憲法の「健康で文化的な生活」を保障するためには不可欠で、セーフティネットの最たるものだと考えられるので、一般会計からの繰入れを行うことは致し方ない…とは思う一方で、この構造は、いわゆる会社の健康保険組合に加入している人たちは二重、三重の負担をしていることとなりますのでバランスを欠如していると言えます。私も何度もこのことを考えてきて、昨年の国民健康保険税率を上げることに対しても、総体として見ればほとんど効力がないのかもしれませんが、特別会計を独立採算で運営するため努力、それから一般会計をも厳しくなっていることを考えれば、税率改正もやむを得ないと判断しました。
 しかし税率が上がる方向でのむやみやたらでの改正は厳しいわけで、これからのことを考えれば、やはり「国民階保険」の制度のあり方そのものを見直すしかないのです。この問題に関しては、自治体へのしわ寄せを感じてなりません。結局は国での制度改正がなければ、いつまでたってもこの状況は続くのです。破綻しているのに、それをごまかして繕ったツケを払うのは…路頭に迷うのは国民であり市民です。

 そして、もう既に自治体レベルでの議論は先が見えないことを承知しつつも国民健康保険運営協議会で「今後のあり方」を議論しなければならないのです。虚しさを感じる一方で、置かれた状況の中でより‘マシな’方向性を見出さなければなりません。とても重苦しい雰囲気の中で議論が進みました。
 しかしながら、今日の議論で「医療費の抑制」という問題になり、「無駄な医療費」に対する指摘がありました。これはとてもよくわかります。高齢者などが定期検診に行って、大量の薬を持ち帰るわけですが、結局薬を飲むのが嫌いで、そのまま放置しておく…という状況が散見されるのも事実です。実際に私の身近にも存在する状況です。しかしながら、念のための安心を得るために病院にも通い、薬もきちんともらいを繰り返すわけで、それもまた「健康管理」をしているとの自負につながっている部分もあると思われます。病院の待合室が高齢者の集いの場になっているとも言われますが、これもまた高齢者と社会との接点の一つになっているかもしれないのです。そうなれば、無下な対応はできないでしょう。
 「あなたはそんなに頻繁に来なくていいですよ。」と告げる医師はヤサシイのかキビシイのか…。医者に通わなくても、それとほぼ同様に健康チェックが出来る場所が地域に確保できれば、医師の誘導により、人の流れを医者から地域の健康チェックへと振り向けられるのかもしれないと思います。でも、その時には地域での健康チェックがやはり通院するのと同じような安心感と信頼があることが大前提です。高齢化社会を見据えても、何とか医療費抑制に向けたトータルでの健康保持政策を講じるしかありません。しかしこれにもきっと限度があると思います。

 結局は現行制度をずるずるとこのままに放置しておくことが問題で、いずれにしても一自治体レベルで議論をし尽くすことができません。
 ただ一つ、税の賦課方式については多摩市の場合は所得割と均等割の2方式を採用していますが、これから安定した財政基盤をつくるためにはこの2方式だけ継続するかどうかは議論の余地があります。要するに税収だけに注目すれば、どうやって加入者が負担をするのかという問題です。今後の課税限度額がどうなるのかはわかりませんが、所得割だけに頼ってはいられないと思っています。他自治体では資産割や平等割という方法も採用しながら、税徴収をしています。多摩市では資産割、平等割を廃止して2方式にしてきた経緯はありますが、今の状況を考えた時、2方式のままでいくことに私自身は疑問です。

 私自身も使いますが、「みんなで支えていく社会」というのは本当に聞こえがいい言葉だと思います。

投稿者 hisaka : 2004年05月20日

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