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2004年05月27日

MOVE US!!「ムーバス」の視察

  武蔵野市のコミュニティバスについては話を行きました。多摩市でもミニバスが走っていますが、もっと効率よく採算性もとれないかと頭を悩ましているところです。武蔵野市のムーバスはすでに開通から3年で黒字転換をしています。全国的に見ても成功事例は少なく、週に2回ほどは職員の方も視察対応に追われているとのことでした。武蔵野市は人口密度が全国第3位で、自動車の保有台数が0.46台/一世帯という事情があり、これも思わぬ運行収入増につながった要因だと分析しています。
 もともとムーバスも民間のバス交通網が整備されていない交通空白地区や交通不便地域に路線を開設していますが、そもそも、武蔵野市の成功要因にも深く関わりますが、市民の足として活躍していたのは自転車でした。多摩市と違って平坦なので自転車が辛くない環境です。しかしながら、高齢になると自転車に乗ることに不安を感じるようになります。もちろん運転もです。その市民の声をきっかけにして誕生したのがムーバスでした。今では、一日平均5千人の利用者がいて、コミュニティバスが市民には欠かせない存在となっています。ムーバスの利用者が増えたことは交通渋滞の解消などにも効果が見えているそうです。
 それにしても「黒字になることを考えていなかった。」ということで、黒字になってどうしようか…正直慌てたとの話には古き行政の美意識を感じました。

 人気のヒミツはバス停が近いこと、運賃が安いこと(ワンコイン制100円)、何しろ民間バス事業者網ではピーク時には交通渋滞によりバスが時間通りに来ない…ことはどこでも同じだと思いますが、ムーバスの路線は家々の路地を通るために時間が正確。15分間隔にほとんどズレがないとの話です。
 とはいうものの、もちろんムーバスが黒字に転換したところにはヒミツがあります。バス車輌は市が特注して買い取っているものですが、運転手さんは民間事業者に協力を求めています。当初は年間800万円ほどの人件費がかかっていたそうですが、退職した運転手さんを嘱託員として再雇用してもらえないかと調整をした経緯があります。これが、実は運行収入が黒字転換した事情だそうです。しかし、私が今日乗車したバスは比較的若い運転手さんで、乗車する人に対して非常に元気でハキハキした挨拶での対応。その明るさに乗車する人も思わず「挨拶」をし返してしまうというコミュニケーションがありました。まさに「コミュニティバス」だと思いました。
 さらに、担当職員の方の話の通りに「コミュニティバス」を意識してかどうかはわかりませんが、若い人が高齢者にすっと席を譲るという光景も眼にしました。ムーバスがひとつのコミュニティの場になっているかな…と感じました。

 それにしてもこのバスの愛称ですが、武蔵野市だから「ムー」なのかな?と思っていたところ、「MOVE US」でたまたま武蔵野の「ム」とかけたのが名前の由来です。このMOVEには動かす、移動させる、感動させる、…する気にならせる、行動させるという意味があります。
 ムーバス事業は市の高齢化政策にもつながっています。高齢者が家に閉じこもっているだけでなく、外に買い物へ行くなど「行動してくれる」ことが高齢化社会を乗り越えるためには重要なことです。ムーバスの事業費は当初2千万円ほど。この事業について、議会からは反対の声もありました。しかし市長は一言。「高齢者が一人老人ホームに入所することを考えればどうですか?その際の市の財政負担を考えれば、ムーバスの経費は高くない。」…私も同感ですが、きっと市民も納得できると思いましたし、同時に市長の力の大きさも感じました。

 多摩市のミニバスも東西線の利用者は増えている状況にあります。しかし本数の少なさ、乗車時間の長さは不便です。あとは乗車賃も高いです。この辺りをどうやって解消していけるのか、そのことが地域密着型でより便利な市民の足の確保へとつながっていくのだと思います。

投稿者 hisaka : 2004年05月27日

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